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アイゼンを使った滑落停止
10年ほど前にアイゼンを使った滑落停止が、 ありましたが、現在はどうなっているのでしょうか? 何か不都合で、現在は使わてていないのか? どこかで使われているのか?知りたいのです。 遊歩登山学校が始めたそうですが、多分、今は消滅いているようです。 アイゼンを使った滑落停止をご存知の方がいらっしゃいましたら、 詳細を教えて下さい。
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- joshuatree
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もしかしたらなんですけど・・・ 吉尾式滑落停止法タイプIのことですかね? 多分絶版になっている本になりますが”ヤマケイ登山学校10 冬山”に記載があります。 検索したところあまりいい解説がないようですので、出来れば図書館で探すか古本屋を当たるのがいいと思いますが、一部引用しておきます。 ヤマケイ登山学校10 冬山 P88より ”深雪や軟雪状態の斜面(ー略ー)を滑落した時には、ピッケルのピックを打ち込んでも効きません。こんな時は(1)両足を思い切り開き(最初の段階では開いた両足に雪がかき集められ、股のところへ雪が絞られてくる段階で制動効果を生みます)、(2)ピッケルをグリセード式に握って身体の後ろ側に保持し、(3)次いで腰を浮かせて両足とピッケルの3点に強く荷重して制動をかける。 これが吉尾式滑落停止法のタイプIです。 ー中略ー この方法は軟雪の斜面に限られますが、アイゼンを付けていても同じ姿勢でよく、軟雪なのでアイゼンの爪が引っかかって体が飛ばされる危険がないこと、むしろアイゼンの爪を利用して制動力を高めることが狙いとなっています。” 現在発売されている”ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書 雪山登山”ではP77に ”軟雪で転倒したとき 軟雪で転倒した場合は、ピックを刺しても、効きがわるく止まらない。そこで、両手両足を突っ張って止める方法がある。さらに止まらなければ、両腕で雪面の雪を抱え込むようにして止める。” との記述があります。 深雪や軟雪状態でアイゼンですからカチカチの所と混じった所での話ですし、いわゆる滑落停止とは同列には考えられない物ですね。 ご参考までに。
登山歴30年と少しです。 私はこの遊歩式滑落停止というのはよく知らないのですが、 >何か不都合で、現在は使わてていないのか? 滑落停止時にアイゼンを使う、というのは現在は使われていない、というより、「不都合だらけ」です。 元々のセオリーでは「絶対にしてはならないこと」とされていたことですから、一時的に誰かが提唱しても、一時的にでも広く使われていたという形跡もないです。 滑落停止動作中にアイゼンが雪面に触れると、良くてもんどり打って「滑落停止動作」は最初からやり直す羽目になる、悪いともんどり打ったときにアイゼンやピッケルで自分を傷つける、最悪の場合は足首が折れる、ということになります。 全て実例を目前で見たことがあります。良い場合の「もんどり打つ」は自分でもやってしまったことがあります。 滑落停止訓練では、まず最初に滑落停止の姿勢、すなわちうつ伏せになってピッケルのピックを雪面に刺した状態から、ピックを抜き、しばらく滑ったところで再びピックを刺す、という形から始めます。 そしてだんだん「加速距離」を長くとっていって、どこまで止めることができるか、を身体で覚えていくのですが、学生時代に文部省のリーダー研修会で訓練を受けたときは、これがまたとんでもない急斜面でした。 これでピックを抜いて3つ数えて刺し直しても、もう止まらなかったです。やっと止まったと思ったらもう200mくらい滑落していて、単に傾斜が緩くなったから止まった、みたいな感じでした。 余談ですがその傾斜で、最終的にはザックを背負って頭を下に、しかも仰向けで、さらにピッケルを手から離して飛び込む、ということをやらされました。 その体勢から頭を上にしてうつ伏せになり、ピッケルをたぐり寄せて滑落停止姿勢を作るのですが、体勢を取ろうとしている間にとんでもない速度になっているので、まあ止まるわけないです。 まあその訓練の意義とは、「滑落停止では止まらない」ことを知る、ということだった、というわけです。というより、「滑落停止で止まる程度の傾斜で転ぶようなやつは冬山は無理だからやめろ」と講師は言ってましたが。 「本当にヤバイ傾斜では躊躇なくザイルを出せ」とも言ってましたが。 まあそれはそれとして(そんなこと言ったって転ぶときには転ぶからなぁ)、もうひとつの意義は、「初期制動が何より大事」ということです。 つまり転んだ瞬間に止める、ということです。この時は姿勢はどうでも良いんです。とにかくピッケルのピックを刺して止める、というわけです。 例えばピッケルの持ち方ですが、登りの際はピックを前にして持ちますよね。でも下りの際に登りと同じようにピックを前にして持っていると、転んだときにピックを刺すまでの時間は、ピックを後にして持つときよりコンマ数秒遅れます。このコンマ数秒は傾斜によっては致命的です。 で、この初期制動の時でしたら、アイゼンを使うこともあるでしょう。とにかくピッケルでもアイゼンでも何でも刺せるモノは刺す、というのが初期制動なので。 でも・・・そもそもアイゼンを刺せなかったから転んだわけで、その時にアイゼンをとっさに刺せるの?という疑問と、そのその初期制動には決まった形がないので、それが「○○式滑落停止」というような"スタイル"にはならないだろうな、という気がします。 もうひとつ、頭が下になって滑落しているときはアイゼンが使えます。もちろん止まりゃしませんが(その体勢で止まるような傾斜で転んだのなら、それこそ冬山はやめた方が良いです)、体勢を作るまでの間にできるだけ加速を抑えておく「あがき」はする価値はあるでしょう。 でも、これも「○○式」にはならないなぁ・・・わざわざ頭を下にする体勢を作る、というのはもっとあり得ないし。止まるわけないし、障害物に頭から突っ込むことになるので死亡率が飛躍的に高くなりますよね。 というわけで、結局よく判りません。 私が滑落中にアイゼンを引っかけてしまったときは、それはそれは激しい勢いでもんどり打って雪面に何回か叩きつけられ、その衝撃で意識を失いました。滑落ラインにあったブッシュに引っかかって助かったのですが、まあ単に運が良かっただけです。 同様にアイゼンを引っかけてもんどり打った現場は3回見たことがあります。そのうち1例は元々滑落したら助からない場所だったので、アイゼンを引っかけようが引っかけまいが結果に違いはなかったのですが(当然死亡事故、というか夏まで遺体が発見されなかったそうです)、1例はもんどり打った弾みでピッケルの石突きを腹に刺してしまい、死亡事故になってしまいました。そこは100mほど滑落すれば傾斜が緩くなっていたので、アイゼンを引っかけなければ助かった可能性が高かった場所だったのですが・・・ なので、ぶっちゃけ、「ありえねー」と思いますが・・・
お礼
Jagar39様、ありがとう御座います。日頃、Jagar39様のサイトや回答を読ませていただいており、具体的で合理的な分析をいつも参考にさせてもらっています。伝統的な(あるいは正統な)滑落停止中にアイゼンが引っかかってもんどり打った貴重な経験をアップ下さり参考になりました。遊歩式の前田さんも、不用意にアイゼンが引っかかると非常に危険だとの認識があり、体勢を固めた上で、左右同時に雪に刺すという方法をとっておられます。Jagar39様のご体験の通り、、伝統的な滑落停止でもほとんど止まらないなら、別の方法も探す必要があるのでは、との思いで質問致しました。今回の質問でわかったことは、アイゼンを使った滑落停止は、山岳界で広がったこともなく、、その停止の事故も知られてなく、有効性、危険性とも不明だということが、わかりました。
- superski
- ベストアンサー率19% (388/2010)
うつ伏せになり、膝を曲げて足(くび)を上げ ピッケルを立てて、減速~停止 が滑落時の基本姿勢だと100年以上前からおこなわれていると思います。 数センチ滑る程度であれば踏ん張って停止出来るでしょうが、 それ以上の滑落になった場合にアイゼンを地面に触れさせたら、 アキレス腱断裂、膝から下の骨折、足首の断裂の後 地面から突き放されて、大車輪のように回転しながら滑落して行くことになると思います。
お礼
ありがとうございます。伝統的な滑落停止中にアイゼンが接触する危険性は、認識しております。初めから、アイゼンを使うという 前提での滑落停止法の有効性、危険性を知りたかったのです。
- titokani
- ベストアンサー率19% (341/1726)
>何か不都合で、現在は使わてていないのか? 10年ほど前に講習を受けましたが、滑落停止はピッケルで行うものと習いました。 その際、アイゼンが雪に引っかからないように足は上に上げるべしと厳命されました。 アイゼンが雪に引っかかると、跳ね飛ばされたあげく足首を骨折するのがオチであるといわれました。
お礼
ありがとうございます。私も先輩から同じ事を聞かされておりました。同時に、滑落停止はあまりあてにならないとも。 それで、もう少し効果の有りそうな方法はないのかと探しておりました。
お礼
ありがとうございます。吉尾式滑落停止法は、質問後同じ本で偶然知りました。ピッケルの握り直しの間に5メートル落ちると山の雑誌にあったので、うつむく時間を減らそうとするのは、合理的な 思考なのでしょう。質問は、実は、この停止法ではなく、前田利明さんが、自分の登山学校で始まれれた遊歩式のことです。 吉尾式滑落停止法のタイプ2は固い雪を前提にしていますが、 実際はどうなのか知りたいものです。