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物性についての違いと特性は?
- 物性には動的粘弾性と静的粘弾性(クリープ)、ノーマルフォース、応力緩和の4つがあります。これらは物体の異なる性質を知るために用いられます。動的粘弾性は物体が外力や振動に対してどのように応答するかを測定するもので、静的粘弾性は物体が持つ形状を長時間にわたって保持する力を測定します。ノーマルフォースは物体に加わる力に対してどのように変形するかを測定し、応力緩和は物体が外力を受けた後にどのように力を解放するかを測定します。
- これらの特性はそれぞれ別々の方法で測定する必要があります。動的粘弾性は一定の周波数や振幅の振動を物体に与えてその応答を測定します。静的粘弾性(クリープ)は一定の荷重を物体にかけてその変形を測定します。ノーマルフォースは物体に垂直な力をかけてその変形を測定します。応力緩和は物体に一定の外力をかけて時間の経過とともに力を減衰させる過程を測定します。
- 物性の理解は物理的な概念が関わるため、難しい部分もありますが、例えばバネをイメージするとわかりやすいです。動的粘弾性はバネが振動する様子を示し、静的粘弾性はバネが長時間にわたって変形を保持する様子を表します。ノーマルフォースはバネに力をかけて伸びたり縮んだりする様子を示し、応力緩和はバネに力をかけた後に力が徐々に減衰していく様子を表します。
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先の回答から、物体には1)力が働くと瞬時に変形し、力を抜くと元に戻る金属やバネの様な 弾性体と2)力に応じて徐々に変形し、力が抜かれても元に戻らない液体の様な粘性体が有ることが お解りかと思います。 金属でも高温では流れるようになり、液体も急激に掛かる力に対しては堅い物として振る舞います。 つまり、物体は弾性的な面と粘性的な面を常に併せ持っています。 物体が力に対してどう反応するかは力の性質と、観測する時間、温度等の環境条件によります。 物体のこの性質を記述するために、弾性要素と粘性要素を直列や並列に組合わせたモデルが 使われます。このモデルの力学的な挙動はそのパラメータ(緩和時間や遅延時間)によって 記述されます。 しかし、1つ2つのモデルパラメータで実際の物体の挙動を完全に再現させることは不可能です。 そこで、モデルを2つ3つから無限個まで組み合わせて、さらに精緻化します。 ここで、2つのモデル要素aとbからなるモデルを考えると、それらからの応答の大きさは 1:1では無く、A:Bの様になります。モデル要素aとbのパラメータを横軸に取ると、 高さがAとBの棒グラフができます。 さらにモデル要素の数を増やしてやると、横軸aからnまででそれに応じた高さの棒グラフ。 さらにはn→∞とすると、縦軸は連続した関数のグラフとなります。 これを、横軸のパラメータに応じて緩和時間または遅延時間のスペクトルと言います。 つまり、物体のこのスペクトルが決まれば、この物体に掛かる力や変形に対する応答は 常に計算できることになります。 例えれば、ある人の運動能力を記述するパラメータのスペクトルが完全に解れば、 この人が拳に対してどう反応するか、ボールに対してどう反応するかは算出できる訳です。 粘弾性でも同じです。スペクトルは刺激に対する応答を基に計算で求められます。 十分に広い範囲のスペクトルを求めるためには、刺激と環境条件と測定時間を変えて 広い範囲で測定を行わなければなりません。 その測定法として、 動的:強制的に変動する刺激を与えその応答を見る。短時間で行える。得られるスペクトルの 範囲は狭い。 静的:初期刺激に対する応答を気長に観察する。スペクトルの長時間側が得られる。 の2つが有ります。 その時の挙動をそれぞれ 1) 動的粘弾性 2) 静的粘弾性(クリープ、応力緩和) と言います。 動的粘弾性の測定では周期的な振動を入力します。その時に出力は弾性的な挙動を表す 部分と粘性的な挙動を表す部分に分かれます。(異なる温度での測定も行われる。) タイヤの例では、前者がタイヤが弾む弾性的な特徴を、後者がタイヤが発熱する粘性的な 特徴を表します。 こういう用途の物体の挙動を把握するためには、この測定が有利です。 静的粘弾性の測定では変形や力を変える他に異なる温度での測定も行われます。 これは温度―時間換算則を使い、より長い時間での挙動を限られた時間の測定から 予測するための手段です。 地下に埋設される上水道用ポリエチレン管の耐用年数は欧州では100年です。 こういう用途の物体の挙動を把握するためには、この測定が有利です。 どちらか一方の方法で完全なスペクトルを得ることができるなら、原理的には他の方法の 結果は測定しなくとも計算で出てきます。(緩和時間と遅延時間のスペクトルは数学的な 操作を経て相互に変換できます。) しかし、そういう物体は現実には存在しないために、目的に応じて測定法を使い分けています。 ノーマルフォース(法線応力)は高分子溶融体の測定で観察されるものです。 興味有る点は、固体に付いて測定された粘弾性挙動のスペクトルを使い溶融体の粘度と 法線応力を溶融体のレオロジーの構成方程式から計算できることが知られています。 これはある特定のポリエチレングレードに付いて、多くの研究室が分担してスペクトルを 求め、その結果が活用された極めて希な例です。 一般的には、それぞれの用途に適した測定法が選ばれ、その範囲内で測定結果が議論 されています。
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- tac351115
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まず、粘性と弾性を理解してください。次に、それらを合成した粘弾性が理解できます。最後に動的・静的の違いを理解します。 応力緩和はまた別の話なので、後回しにしましょう。 粘性とは粘り気のことです。水はサラサラで粘性が低いですが、粘土は粘性が高いですね。粘性が高いほど、その中で動こうとしたときに大きな力が必要です。 弾性とは、バネのような性質です。つまり縮めたり伸ばしたりした長さに比例する力です。 粘弾性とはこれらをひっくるめた言葉です。 こちらをご参考に。 粘弾性 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%98%E5%BC%BE%E6%80%A7 応力緩和 応力とは、ひずみによって生じている物体の内部の力のことです。例えば、縮めたバネはひずめられて、内部の材質に力がかかっています。応力緩和とは、このようにひずんだ状態で放置しておくと徐々にそのひずんだ形になじんでしまい、力が減っていく現象です。例えば、バネに力を加えて縮めたまま放置すると、力をなくしても元の長さに戻らなくなるような現象です。 こちらをご参考に。 応力緩和とクリープ www.materion.jp/alloy/tech_lit/june00.pdf
お礼
お礼が遅くなりすみません、 大変参考になりました。 イメージが描けたおかげで粘弾性の話しがわかりやすくなってきました。 ありがとうございました。