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有限要素法について
以下、電磁場解析における質問です。 一般的に境界要素法では解析対象物の表面を分割するだけですが、 有限要素法は解析対象物を含む空間全体の要素分割が必要です。 境界要素法では物体表面のある値(たとえば電流など)を求めて、 その値を基に特性(たとえばアンテナ利得など)を求められると思うのですが、 有限要素法で空気領域が必要な理由は何でしょうか? ご回答よろしくお願いします。
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グリーン関数の方法はご存知と思うのですが、境界要素法は、現代風にアレンジされたグリーンの方法の数値解法版です。 古典的なグリーン関数は、境界条件も支配方程式も満たす点源に対する解(基本解)を求めておいて(多くの場合、手計算)、ソースに関して基本解を積算し、ソースに関する解を算定します。 ところが境界条件も満たす基本解の算定が、一番難しかったりします。そこで鏡像法など色々な技法があります。しかしコンピュータの性能と手軽さが向上して、境界条件を満たさない基本解を用い、境界条件を満たさない余りだけ、数値解法に載せようという方針が生まれます。 境界要素法の基本解は多くの場合、支配方程式を満たす点源に関する等方性のある解φ*が選ばれます。理由は、簡単に求まるからです。φ*を用いてグリーンの方法を分解すると、以下のようになります。φを本当の解,ρをソース分布として、 φ=∫φ*ρdv+境界条件による補正(境界積分項). 上記の解は、自明に支配方程式を体積V内で満たします。そして境界条件は支配方程式と無関係です(だから境界条件を、外から与える必要がある)。要するに、グリーン関数を決め打ちしておいて、元の系と等価になるような境界条件を逆に求めよう、というのが境界要素法の基本的発想です。 ソースがなくても境界条件のみで決まる解の存在は、ご存知と思います。よって支配方程式だけ満たすような解の形を最初から選ぶので、半分解析的に解いた事になり、領域メッシュは不要になります。残った境界条件の調整部分は、境界条件だけの問題なので、境界メッシュでOKという訳です。何故なら、境界条件なので、境界項だけで調整できなければ不合理です。 確かに重み付き残差法の立場では、FEMもBEMも同列に定式化できますが、発想は全然違います。BEMの基本はグリーンの方法であり、FEMの基本は差分法と等価です。変分原理に基づいたFEMが一番綺麗なので、FEMも積分方程式法のように見えますが、出てくるものは差分法と等価です。 変分原理の前処理により、領域で積分平均した差分法方程式を与えるのが、FEMだと言えます(だから領域メッシュが必要)。 これに対してBEMは、グリーンの方法が基礎にあるので、本当の積分方程式法です(半分解いた形なので、積分方程式で、境界メッシュのみ)。 ただしBEMがこう上手く行くのは、線形系だけです。グリーンの方法は線形系にしか使えません。非線形系にも、境界積分法は適用可能ですが、ソース以外の体積積分が残ってしまい(でもBEMと言われますが)、計算効率が極端に悪化します。これがBEMが、汎用ツールにならなかった理由です。逆に線形系しか扱わない予定なら、BEMは最強と思えます。
お礼
私自身、電磁場解析の手法を勉強し始めたのが最近の事でして ddtddtddtさんの回答を読み解くのも四苦八苦の状態です。 おっしゃることはなんとなくは分かりましたが、完全理解には まだまだ勉強が必要だと痛感しております。 非常に詳細なご回答ありがとうございました。