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当事者に争いのない事実と経験則
判決が当事者間に争いのない事実を基礎とするのは当然ですが、仮に当該事実が自然法則、科学法則及び経験則上あり得ない場合には、どうなりますか?仮に自然法則、科学法則及び経験則上あり得ない認定事実を控訴理由とするとすれば、いかなる控訴理由になるでしょうか?
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原告が訴状で「A駅からB宅までは徒歩で約1分間かかる」と記載し、被告が、この点を争わなかったとします とありますから、第一審判決のなかで、「A駅からB宅までは徒歩で約1分間かかる」事実については当事者間に争いがない。といった記載がされていると思います。 これは、原告の主張にかかる当該事実について、被告が、認める、争わないといった認否をしたからです。 経験則違反又は事実誤認 とおっしゃってますが、裁判所が、とある証拠からは通常経験に従えば、Aという事実を認定しなければならないのにBと事実認定した場合、裁判所が、1事実、2事実を認定したならば、通常経験に従えば、Aという法律効果を認定しなければならないにもかかわらず、これを認定しなかった場合などにおいて、原審の当該認定は、経験法則に違背していると主張できるわけです。 事実誤認とありますが、これに関しては、原告のAとの主張、被告のBとの主張、つまり対立する主張につき、裁判所が証拠により認定した事実が、Bであった場合、原告から見ると原審の認定事実は、事実誤認(私はあまり使いませんが)と主張できるわけです。 ご質問の件は、原告の主張に対し被告がこれを認め、控訴審で被告がこの事実を争うのは、自白の撤回であって、原審の当該認定事実は、事実に反していることを主張したうえ、証拠をもって証明することとなります。 他方、原告の過誤により誤った主張をなし、被告がこれを認めた場合、控訴審で、原告が主張すべきなのは、原審での当該主張が誤りであり、主張内容を別の事実に訂正、変更することを説明したうえ、その新事実を改めて主張し、これに対し、被告が改めて認否することとなるわけです。 ですから、ご質問者がおっしゃっている裁判所による経験則違反による認定とはならないものと考えます。 事実誤認の点に関しては、上記にご説明したとおりです。 控訴審は事実審ですから、あまり用語にこだわることなく、被告の主張の誤っている点、原判決の認定事実で誤った点を単に指摘したうえ、これを立証できる証拠を提出し第二審の審判を仰げばよいわけです。 あまり難しく考えない方がよろしいかと思います。
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当事者間に争いのない事実であっても、裁判所に顕著な事実、おっしゃるとおり経験則に反する事実、法律評価に関する事実などは、当事者間に争いのない事実であれ擬制自白であれ裁判所を拘束しません。 たとえば、「原告は、月を所有し、被告は、これを占有している。よって、右所有物の返還を求める。」 との請求原因に対し、被告がその答弁書ですべて認めると答弁しても、あるいは、被告が初回の口頭弁論期日に出頭せず、そのまま弁論終結されたばあいでさえ、このような事実関係に基づく被告の答弁、擬制自白には裁判所は拘束されず、この場合、原告の主張は、主張自体失当とされることとなります。 たとえば、損害額の評価に関し、原告が百万円を主張し、被告が擬制自白したものとみなされたとしても、 判決では、 被告は、原告の請求原因事実を明らかに争わないからこれを自白したものと看做す。しかしながら、右自白の拘束力は、損害額の算定に関しては当裁判所に及ばないところ、右争いのない事実、本件に現れた諸般の事情を総合考慮すると、原告の損害額は、金三十万円と認めるのが相当である。 といった感じで自白をそままま判決では認めないわけです。このことは、当事者間に争いのない事実でもおなじことがいえるわけです。
お礼
丁寧なご回答をありがとうございました。
補足
例えば、原告が訴状で「A駅からB宅までは徒歩で約1分間かかる」と記載し、被告が、この点を争わなかったとします。そこで、判決は、争いのない事実として「A駅からB宅までは徒歩で約1分間」と事実認定しました。ところが、実際には、A駅からB宅までは約3kmあったので、徒歩1分間では行き着くのが物理的に不可能だったとします。仮に控訴審でこの点を争うとしたならば、経験則違反又は事実誤認ですか?
- ROKABAURA
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もしそれが現実に起こったことであれば 如何なるものでありえるということ。 起こりえないとされていたものであれば まず「起こりえる」その証明が必要です。 例えば「呪った」という被害で「病気になった」 を証明することは出来ませんが 「いやな行為を何度も行われた」 「精神的にまいって病気になった」なら証明可能です。 「視線で心臓を止められた」は難しいですが 「暗示をかけられて催眠術にかかった」なら証明可能です。 しかしこのように置き換えることの出来ない事実を証明するのは普通は無理です。
お礼
どうもありがとうございました。
お礼
丁寧で納得のいくご説明を感謝いたします。