従来の買取制度は、太陽光発電の主体は家庭に限定されています。つまり地方自治体や企業は参入できない。しかも買取単価は安く買い叩かれて、国や地方自治体の税金を原資とした補助金を得ても、初期投資を回収するまでに数十年もかかるものでした。そして太陽光発電に限定されていて、家庭で仮に水力発電をしても電力会社には買い取る義務はないのです。また家庭で実現できそうな再生エネルギーは太陽光発電だけです。
これに対して再生エネルギー法案はどこが違うのか。
1.発電主体は家庭に限定していない。むしろ、地方自治体・一般企業を発電主体と想定している。
2.発電方法を太陽光発電に限定していない。太陽光発電を含めた再生エネルギー全般を想定している。
3.電気事業者に高値での買取を義務付ける代わりに、負担金を需要者に求めることができる。
従来の制度とは似て非なる制度です。国は税金を出さない。電気事業者(電力会社)も懐が痛まない。従電力消費者の懐が痛むだけです。
反原発派は例によってお花畑の頭で、勝手に脱原発法案と思い込み、諸手を上げて賛成していますが、これは決して脱原発にはつながりません。
再生エネルギー法案は、一言も脱原発など謳ってはいない。
「エネルギー安定供給の確保、地球温暖化問題への対応、経済成長の柱である環境関連産業の育成のため」と謳っているように、これは脱火力を目的とした法なのです。
平成22年6月11日(金)菅総理は所信表明演説で新成長戦略の第一として以下のように論じました。
「第一の「グリーン・イノベーション」には、鳩山前総理が積極的に取り組まれ、二〇二〇年における温室効果ガスの二十五パーセント削減目標を掲げた地球温暖化対策も含まれます。その他にも、生物多様性の維持や、人間に不可欠な「水」に係わる産業など、期待される分野は数多く存在し、その向こうには巨大な需要が広がっています。運輸部門や生活関連部門、原子力産業を含むエネルギー部門、さらには、まちづくりの分野で新技術の開発や新事業の展開が期待されます。」
この政策の具体化が再生エネルギー法案です。一口に言えば、電力需要者の負担で新産業を興しましょうということなのです。