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微生物について
病原微生物がもつ病原性ということの意味は何ですか。 また、ウイルスが「ろ過性病原体」といわれる理由は何でしょうか。
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獣医師でウイルスに専門知識を有します。 病原性というのは、感染した生物に「病気」を起こす性質のことです。 全ての微生物が病原性を持つのかというとそうではなく、むしろ病原性を持たない微生物の方がおそらく遙かに多いです。 また病原微生物でも全ての生物に対して病原性を持っているのかというと、これもそうではなく、特定の生物以外には病原性を持たない微生物も多いです。 例えば牛ウイルス性下痢ウイルスは、牛と豚と羊に感染するが、豚と羊には病原性を持たない、等々です。 濾過性病原体、というのは別に現在そう呼ばれているわけではありません。 ウイルスの存在が知られていなかった昔、細菌を除去することができる目の細かいフィルターを通しても病原性を失わない謎の病原体がある、ということが知られた時期にそのように呼ばれたわけです。 病原体の存在を証明するには、病気を起こした動物の病変部位の乳剤を作製し、それを他の健康な動物に接種して「同じ病気」が再現されるかどうかを調べます。これは現在でも使われる手法です。 細菌を除去できる目の細かさのフィルター(およそ0.4μmのフィルターでウイルスを除くほとんどの病原体を除去できます)に乳剤を通すと、病原体が細菌の場合はその乳剤を接種された動物は病気を起こしません。 ところがまだ細菌までの微生物しか知られていなかった時代に、そのフィルターを通した乳剤を接種しても病気が再現される現象が確認されました。 それはつまり、細菌より遙かに小さな病原体が存在することを意味します。 その頃はウイルスの存在を人類は知らなかったので、その病原体を「濾過性病原体」と呼んだわけです。 ですから現在は特にその呼称が用いられているわけではありません。ウイルスも除去することができるフィルターもありますし。
お礼
ご丁寧なご回答ありがとうございました。 今月、看護学校に入学し、微生物学の教科書の 「近代微生物学のいしずえ」という目次で ろ過性病原体という言葉が出てきました。 >ですから現在は特にその呼称が用いられているわけではありません。 ウイルスも除去することができるフィルターもありますし。 現在は用いられていないんですね。 とてもわかりやすく勉強になりました。 ありがとうございました。