妻のことを奥さんと呼ぶのは?
自身の配偶者のことをさして、第三者に話すとき、妻と言うことになっていると思います。多分、辞書や用法の辞典などをみるとそうあります。
しかし実際は、「奥さん」というひとが、かなりいます。かなり一般化しており、妻というのが少ないのではないかと思うほどです。(ちなみに私は徳島と広島に長年住んでいましたが、そこではほとんどこの違和感を感じたことが無いので、辞書通りの用法が多いのではないかと思います。大阪の人と、やはり東京の人(現在東京ですが)で、「奥さん」というのをよく聞きます)
松下幸之助の講演録音などで、自身の配偶者を、やはり「奥さん」と言っていました。この用法は、関西地方では一般的なのか、あるいはどこかの時点から一般化してきたものなのでしょうか。あるいは一種の尊敬・追従的な意味合いを込めた冗談のようなものとして、本来、相手や第三者の配偶者の人称名詞である、「奥さん」を自身の配偶者に使い始め、広まったというようなものなのでしょうか。あるいは実はそっちが歴史的に古い用法なのでしょうか。
漱石などでは自身の妻は「細君」といっていたと思います。やはり他人の配偶者の場合と、自身の配偶者の場合では、使い分ける方が、個人的にはすっきりした感じがしますが。多分第三者をさす敬称的な語を、本来へりくだって謙譲的に扱うべき身内に使っている不自然さといったような。(多分、細君も妻も、そういった意味合いだったと思います)
いずれにせよ、そのへんの語の発生的ないきさつ、多少のヒントでもよいのでわかる方教えてください。
(また、my wife, your wife, my spouse, your spouse これら配偶者をさす語を、自身のと他者のとで、同じ単語で扱うか、別の単語で扱うかには、存在論的な、文化的な相違があるようにも思えます。平等性・相対性を重視するか、特別性を重視するかといったような。)