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電磁気の定数について知りたい
- 電磁気学の定数の値について疑問があります。
- k0、kmが再定義された歴史的な経緯について知りたいです。
- 磁場Hと磁束密度Bの違いや透磁率μについて理解したいです。
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●の流れは正しいと思います。 電磁気の単位が構築されたのは、理論がけっこうわかってしまった後の比較的最近(?)の事で、理論的に色々いじれるので、二つも三つも単位系が出来て上がってしまったというのが実情と思えます。 例えばクーロンの法則、 F=k0・q1・q2/r^2 で、力F=1(N),電荷q1=q2=1(C),距離r=1(m)の時で、k0を定義するとします。これで良さそうなのですが、電荷1(C)(クーロン)はどう定義するの?という問題が生じます。そこでk0=1(無次元)とおいて、逆にそれを、1(C)の定義にするなんてやり方もあります。このやり方だと、C=N^(1/2)×mになるので、電磁気の固有単位はなくなり、全て力学単位で表せますが、ちょっとやり過ぎでは?というのが正直な感想です(もちろん、正しいんですけど・・・)。 というのは力学単位は、万有引力の法則、 F=G・m1・m2/r^2 なんかから出てきたものなので、電気力とは力の起源が違うのだから、電気量の固有単位Cはあった方が気持ち悪くない・・・^^。 というわけでCを採用します。そうするとk0の決め方は色々あるわけです。k0・q1・q2全体が、F×r^2に等しければ良いだけなので。 電磁気学の基本法則は5つ(実質4つ)あります。ファラデーの法則,アンペールの法則,電場と磁場のクーロンの法則の微分形,電荷保存則。これらの式が綺麗になるようにk0やkmを決めます。決め方には一長一短があり、さっきのk0=1方式(今度は無次元でない)だと、電気は綺麗になるけれど、磁気はどうかな?といった具合です。なので、平等に綺麗に(汚く?)なるようなのがいちおう妥当であろうと・・・^^;。それで調整した結果、k0やkmは、あんな不思議な値になりました。 ここで話をややこしくしたのはウェーバーさん(磁荷の単位)です。当時、磁場が電流から発生し、電流は電荷の流れである事はわかっていたので、アンペールの法則から、1(m)離れた平行一定直線電流間にはたらく力が1(N)のとき、1(A)(アンペア)と決めよう、みたいな事を言い出します。そして1(A)の電流が1秒間に運ぶ電気量が、1(C)だと・・・。ここが電磁気学と現実の世界との接点です。後は法則を順次たどって実験にかけ、k0やkmを決めます。この立場だと、光速はε0とμ0から決まります(こっちの方が、なんか嬉しい^^)。光速とμ0からε0を決める方が、より普遍的とは思いますけど、要は現実との接点をどこにするかです。 >なぜその比例定数がμになるのでしょう? たんなる単位合わせの結果だ、というのはいちおうの正解だとは思います。でもμって、物質定数なのはご存知ですよね?(真空も物質の一種と考える)。という事は、同じ磁束密度B(電流値で決まる)であっても、まわりの状況によって磁場H=1/μ×Bは変わってくる。こういう場合、比例定数によらない(まわりの状況に左右されない)物理量Bの方が、磁場の正体だ!と考えたくなります(説明になってないかな?^^;)。
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もう概ね解決しただろうと、想像しています。なので一言だけ。 自分の意見では、ウェーバーさんが1(A)の定義を言い立てた裏にあったものは、C(クーロン)の定義をはっきりさせたいと思ったからではないのかな?、と思えるからです。というのは、電磁気の固有単位Cを採用し、クーロンの法則からε0を定義しようとする限り、1(C)の定義がどうしても必要になるからです。
お礼
>もう概ね解決しただろうと、想像しています。 はい。そんな感じです(^^)/ 本当に助かりました。ありがとうございます。 >C(クーロン)の定義をはっきりさせたいと思ったからではないのかな? そうですね。 本当はアンペアよりクーロンを基本単位にしてくれた方が すべてにおいてすっきりする気がします。 (だったら、きっとこんなに悩まなかっただろうなぁ) しかも、k0=1であればすっきりするけれど 電磁気全体を見通して今に至るみたいで。。。 実は私は高校理科教師。 化学が専門なのですが、これから物理IIの電磁気を教えるんです。 で、授業の予習をしていたら迷宮入り。 今回知ったことを授業で直接やるわけではありませんが、 これらを踏まえて、何とかいい授業ができたらいいな、と思います。 本当にありがとうございました。
- nzw
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電磁気学の単位は、互いに関係しあっているので、4単位のうち独立量は2つ。 また、力学量との関係もあるので、比例定数の取り方にも制限がでます。 お考えのとおり、どれかを出発点に、他をMaxwellの関係式から出すという手順で 単位系が構築されています。 単位系は、SI以外にも独立量と比例定数の取り方により、メジャーなものだけ でも3種ほどあります。 この話は、以下の資料に詳しく書いてありますので、ご参照ください。 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014958 #電磁気学単位の話は、物理学専攻の学生にとってもややこしいもので、 単位系を間違えて計算をやって、とんでもない値をだしてビックリという こともよくあることです
お礼
お返事ありがとうございます。 教えていただいたURLがとても参考になりました。 完全に理解することは難しそうですが、 何となく、自分の中で整理することができました。 本当にありがとうございました。
お礼
さっそくのお返事ありがとうございます。すごく参考になりました。 >●の流れは正しいと思います。 よかった!何だか嬉しいです(^^)/ >アンペールの法則から、1(m)離れた平行一定直線電流間にはたらく力が1(N)のとき、1(A)(アンペア)と決めよう、みたいな事を言い出します。 これは???と思いましたが、1(N)ではなくて2×10^-7(N)のとき、とした現在のSIの定義のことですよね?実はこの定義が、今、電磁気学の迷宮に入り込んでいる原因の定義の1つです。「何で1(m)離してはたらく力が2×10^-7(N)なんだろう?1(N)なら納得いくのに・・・」と疑問に思ったのがきっかけです。 >ここが電磁気学と現実の世界との接点です。 また質問になってしまいますが・・・例えば磁気のクーロンの法則F=(1/4Πμ0)×(m1m2/r^2)の式において 比例定数が1となるようm1、m2に1/4Πμ0を組み込んでしまってm1/(4Πμ0)^1/2=m1' m2/(4Πμ0)^1/2=m2'としてF=m1'm2'/r^2となるように、1Wbを定義すればわかりやすいけれども、そうしてしまうとm1'やm2'は無理数Πを含んでしまうし、値も大きくなりすぎてしまうので現在のような、「真空中での強さの等しい磁極を1(m)離しておいたとき、磁極にはたらく力の大きさが10^7/4Π^2(N)となるときの磁気量を1Wbとする」なんていう、変な値の定義になるのでしょうか?あとは、理論が体系的に整理される前は、1Wbは別の基準で決められていたのでしょうか?(昔は1(s)=1日の86,400分の1の時間だったけど、 今はそれに近いセシウムの放射周期の91億9263万1770倍という定義になったみたいに)で、昔から使用されている値に近くなるように1Wbを定義したら比例定数が変な値になった。。。とか。 >この立場だと、光速はε0とμ0から決まります(こっちの方が、なんか嬉しい^^)。光速とμ0からε0を決める方が、より普遍的とは思いますけど、要は現実との接点をどこにするかです。 μ0を定めるとkmは決まりますが、ε0(とk0)は決まらないのではないのですか? μ0とε0を結ぶ関係式は導出過程は理解できていないのですが、v=(1/μ0ε0)で、 実験結果よりμ0とε0を求めて、この式に代入したところ、光速cとほとんど同じだったため、 光が電磁波であることが予想できたと書いてありました。ここではε0も定めているのでcが計算で求まりますが、μ0を定めただけでは、cもε0も求まらないので、どちらかを定義する必要がありますよね? で、私はcの値が測定値より決められているのかと思ったのですが、ε0の方が決まっていて、光速が計算値ですか?あ、そうか、それで現実との接点をどこにするか、なんですね。。。 教科書の値はどちらの立場で書いてあるのでしょう。。。 >同じ磁束密度B(電流値で決まる)であっても、まわりの状況によって磁場H=1/μ×Bは変わってくる。こういう場合、比例定数によらない(まわりの状況に左右されない)物理量Bの方が、磁場の正体だ!と考えたくなります つまり、磁場をつくり出す電流をもとに定めたBはまわりの状況に左右されない磁場の本来の大きさ、 それが空間に伝わって、他の電流や磁極に及ぼす力をもとに定めたHはまわりの状況に左右されるので、 Bと値が異なってくる、その係数がμということですか?ということは、μは磁場の伝えやすさみたいな値と考えていいのかな。。。 すごく長くなってすみません。 質問は尽きない気がしますので、お返事は分かる範囲で結構です。 電磁気学って考えれば考えるほど謎だらけ。。。 でも、すごく深くて面白い。と今、感じています。 高校生のときにはそんな事、みじんも感じなかったのですが。