すでにいろいろと回答出ているようなので、少し補足を。
車やバイクで「ニトロ」と言えば、ナイトラス・オキサイト、亜酸化窒素ガスのことです。
日本ではニトロ、ニトロと発音しますが、窒素の英語発音は正確にはナイトロジェンになるので、アメリカではナイトロと言われます。
亜酸化窒素ガスは、ニトログリセリンやニトロセルロースのような爆発性のある物質ではなく、常温では非常に安定しており、医療用の麻酔ガスにも使われ、別名笑気ガスとも言われます。
別に吸い込むとゲラゲラ笑ってしまうわけではなく、頬が引きつって笑ったような表情になるため、この名がついています。
亜酸化窒素噴射装置には、いろいろなメーカーからいろいろな種類が出ていますが、一番知名度が高いのはホーリーのNOS(ナイトラス・オキサイド・システム)でしょうか。
(たしかワイスピで使われていたのもNOSだったかと思います)
基本的には、タンクの中に低温、液体で充填された亜酸化窒素を、エンジンの吸気側に噴射することで、液状の亜酸化窒素が蒸発し、さらにエンジンの熱で窒素と酸素に分解し、通常より大量の酸素をエンジンに送り込むことが可能になります。
言うなればターボをつけたようなものです。
さらに、低温、液状のガスが蒸発することで、気化熱で冷却されるため、通常に吸入された空気も収縮するために充填効率がアップします。
これは、インタークーラーと同じ効果があります。
つまり、ナイトロとは、インタークーラーつきターボをつけたのと同じような効果があるため、パワーアップするわけです。
ただし、ただ亜酸化窒素を噴射するだけでは、さほどパワーは出ません。
酸素が増えても、ガソリンもそれに合わせて増やさないとならないからです。
なので、燃料噴射のコンピュータと連動してガソリンの噴射量を増やしたり、亜酸化窒素と一緒に追加のガソリンの噴射装置も取り付けたりして、ガソリンも同時に増量するのが普通です。
ナイトロは、ワイスピなどではスイッチオンで爆発的なパワーを出していますが、もちろん限界はあります。
ターボでも、あまりブースト上げ過ぎるとエンジンブローするのと一緒で、あまり噴射量を増やしすぎてパワーを上げ過ぎるとエンジン壊します。
一般的には、スイッチオンでの噴射時間は30秒とか1分程度で、ここ一発の勝負どころで使うようなセッティングにしてることが多いですが、逆に噴射量を低く設定し、パワーアップもわずかなものにとどめれば、エンジンの負担も少ないため、長時間の連続噴射も可能です。
(それ以前に、大量の噴射量で長時間噴射しようとしても、ボンベの容量には限りがあるので、あっというまにカラッポになってしまいます)
もともと、この亜酸化窒素噴射装置は、第二次大戦中のドイツのメッサーシュミット戦闘機などが使い始めたシステムで、実はかなり歴史ある装置だったりします。
日本やアメリカの戦闘機にも、亜酸化窒素ではありませんが、水メタノール(水とメチルアルコールを混ぜたもの)噴射装置というのがついており、これも似たような効果が得られます。
離陸の時や、空中戦で急上昇したい時など、特にパワーが必要な時に使われたようです。
なお、ニトログリセリンではありませんが、ニトロメタンという燃料で走る車は存在します。
アメリカのドラッグレースでは、1000馬力級のガソリンエンジンの上のクラスが3000馬力級のメタノール燃料、さらに上の5000馬力級のクラス(トップフューエルクラス)がニトロメタン燃料です。
このニトロメタンも、常温では非常に安定した物質で、ガソリンやメタノールのように気化して引火することもなく、ニトロメタン燃料のエンジンを分解整備しながらタバコ吸ってるメカニックもいるそうです。
ニトログリセリンやニトロセルロースのように、強い衝撃でも簡単に爆発するような燃料は、危なくて車には使えません。
あ、そうそう、さっきも言ったように、亜酸化窒素ガスは麻酔にも使われるような、非常に安定して無害な物質なので、ワイスピ1の中で、ブライアンの車がジョニーに銃撃されて爆発したり、ワイスピMAXでドミニクが車を降りるときにナイトロのボンベを開けて、シガーライターで爆発させたり、みたいなことは映画の中だけ、と思ってください。
お礼
初めまして、 そうですか~ 参考になりました。