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高濃度ビタミンC点滴療法の効果や価格について
- 高濃度ビタミンC点滴療法の効果については賛否がありますが、多くのサイトでその効果が語られています。しかし、日本では研究や注目度が低く、国立がんセンターも取り入れていません。
- 価格については通常の点滴用ビタミンC製剤と比べると高額であり、その差額は輸入や特殊な製造方法によるものとされています。
- 医療機関やメーカーが安価なビタミンC製剤を作る理由については不明ですが、一部の医師や患者にとっては高価な点滴療法の効果や安全性に疑問が残っています。
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悪性疾患に対するビタミンC大量療法を最初に提唱したのは、ノーベル化学賞・平和賞を計2回受賞した、ライナス・ポーリングでした。予防医療におけるメガビタミン理論(B1 B2 C を同量ずつ摂取)でも有名です。そういうわけでビタミン療法は数ある代替療法のなかでもインテリ信者が多いのが特徴です。 昔 わたくしが和訳した文献の一部をご参照下さい↓ http://www.gankeijiban.com/bbs/read/kenkoushoku/1150972935/18-19 「ビタミンC大量療法 ビタミンC大量療法はライナス・ポーリングによって癌治療として提唱された。 ポーリングは、ビタミンCで治療した患者は近隣病院のビタミンC治療を 供与されていない患者よりも長期生存したとする非無作為化治験報告を発表した。(文献9) 彼は「ビタミンCが癌に対する「宿主抵抗力」を改善する」と推測した。(文献10) がん治療としてのビタミンCに圧倒的注目が集まったため。150人の進行がん患者に ビタミンCか偽薬のどちらかを受ける無作為化治験が行われた。生存期間は両群とも短かった。 80%以上の患者は12週以内に死亡し、両群に有意差はみられなかった。(文献11 「以前に化学療法を受けて免疫能が低下しているかもしれない患者が含まれている、 そのため免疫メカニズムの改善によって作用する治療の評価が無効になった」 とポーリングは治験を批判した。そのため、前に化学療法を全く受けていない100人の 進行結腸直腸癌患者でさらなる治験が行われた。 結果はビタミンC群のすべての患者が2年以内に死亡し、 またもや両群に差が見られなかった。95%の信頼区間でビタミンCが生存期間を2 5%以上改善する可能性が除外された。(文献12) 近年、ある研究者らはビタミンCの静脈注射よりも経口の方が悪い結果をきたすかもしれないと論じている。(文献13) しかしながら、一般にビタミンCは経口剤の形で代替がん治療として宣伝・販売されており、 科学文献の現在の状況では有益であるとするのは著しく不適当なようだ。」 文献11と12は最も権威有る医学雑誌 NEJMに掲載され、それぞれ150人・100人の大腸がん患者に対する前向き無作為二重盲検試験です。これ以上科学的統計学的に正確な方法は無い、そういう方法で否定されています。 ビタミンC信者はこの結果を受けて じゃあ経口摂取じゃだめだ 大量静脈注射だというわけです。 そうなるともう、文献9で教祖ポーリングが提唱した、そもそもの根拠である経口摂取と無関係になります。 実はいまだに癌研究者の中にも信者が居て、超大量静脈内投与で3人に効果があった、なんて論文もみたことありますが、文献11・12の信頼性には遠く及びませんし、そういう歴史的経緯があるからほとんどのがん研究者からは相手にされてません。 仮説としてがんの治療法を考案・提唱することは容易です。しかし、その効果を検証するには数十人から数百人のがん患者の命をもってしか検証する方法はありません。(もちろん 予備実験もしますが) 幸いにしてビタミンC療法は明確な根拠を持って否定されていますが、未だに検証されていない代替医療は多数あります。検証することなくして否定することは科学的ではありませんが、人の命を賭けて臨床試験で検証するからにはある程度の科学的根拠を固めておくべきであり、多くの代替療法提唱者はそういう手順を軽視していると思います。「圧倒的注目が集まった」から治験せざるを得ないとは尋常なはなしはありません。
お礼
大変大変参考になりました。こんなにくわしく、本当にありがとうございます。 ライナス・ポーリングさんの発表は、やはり非無作為化の試験なのですね。 そして無作為化試験では、やはり結果がでなかったのですね。 そして条件を変えてやり直してもやはりダメだったと…。 しかし、それでまた 「じゃあ経口摂取じゃだめだ 大量静脈注射だ」 なんて…いったい何回やったら気が済むんだって思ってしまいますね。 >そうなるともう、文献9で教祖ポーリングが提唱した、そもそもの根拠である経口摂取と無関係になります まさに、その通りですよね。それをいうなら権威づけの為に「ボーリング」の名前を出さないでほしいものです。 でも実際支持されてる方々も、結果はやらなくてもわかっているのでしょうね(やらないですし)。 最近の研究でも、 「高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOL(生活の質)に関する前向き調査研究」 という、非無作為化の、しかもQOLを調査するなんていう、ある意味で「後ろ向き」な試験をやるみたいなんです。内容に自信のなさが出ている様な気がします。そんなものやらなくたってQOLが上がるにきまってますよね。 きっと「最新の研究でもQOLが上がったという報告がある」なんていう宣伝したいが為の試験なんでしょう。きっと数年後には「やっぱり驚くべき効果が!」などとネットにまた出るのでしょうね…。 >仮説としてがんの治療法を考案・提唱することは容易です。 >幸いにしてビタミンC療法は明確な根拠を持って否定されていますが、未だに検証されていない代替医療は多数あります。 >多くの代替療法提唱者はそういう手順を軽視していると思います たしかにそうですよね。ビタミンC療法だけではないですものね。 ガンの方やその家族がもう打つ手がないと知らされると藁にもすがりたい気持ちになるのはとてもよくわかります。 しかし、そういう人の気持ちを利用して金もうけするのは許せないと思います。 そういう代替医療は、今現在保険のきく漢方薬だけで十分だな、と思いました。 なお、今すぐにでもベストアンサーに選ばせていただきたいところですが、もう少し色々な意見(特に出ないとは思いますが反対意見)が聞きたいのでしばらくは質問を受けつけたいと思います。 大変ありがとうございました!