こんにちは。
電車運転士をしております。
実務での経験、また、学科教習中での「運転理論」の知識、
これらを元に回答させていただきます。
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最初に、
6両編成⇒12両編成にすると、確かに列車の定員は単純に2倍になります。
しかし、実際の輸送力がそのまま2倍になる事はありません。
◆ 長編成列車になると改札に近い車両に乗客が集中し、乗車率に偏りが出る。
◆ 列車の編成長が伸びれば、当然、追突事故を防ぐため信号と信号の間隔(閉塞)が伸びます。1時間辺りの列車本数が減ってしまうため、単純に2倍とはならない。
20M車体で10両編成、最新スペックの加減速能力を持つ車両で、閉塞を詰めるような形の路線で、停車時間を踏まえて計算すると、概ね、30本/1時間が限界と言われています。
京王線や東急田園都市線あたりをイメージしていただきたいです。
これより編成の伸びるJR東海道線や常磐線だと、大体詰めて3分間隔。
列車編成長の短い地下鉄銀座線や丸ノ内線で、1分50秒間隔。
列車のダイヤは分単位で表示されていますが、プロは1秒単位で、運転士になると制動操作はコンマ何秒単位の判断で仕事しています。
もし、編成が伸びてしまった故に2分間隔⇒3分間隔に限度が変わってしまうと、
◆ 2分間隔⇒30本/1時間
◆ 3分間隔⇒20本/1時間
・・・・これだけ輸送力が変わってきてしまうのです。
編成を伸ばせば、確かにその列車の定員は単純に2倍にはなりますが、
乗車率の偏りや、閉塞が伸びてしまったが故の片道の運行可能本数の減少を踏まえると、単純に2倍にはならないのがご理解いただけるかと思います。
そして、
>(2)最初に列車Aの部分を駅に停車させて乗客の乗降を行い、
次に列車Bの部分を駅に停車させて乗客の乗降を行う。
もしくは、列車Aの乗客は終着駅近くの駅でのみ乗降させて、
中間部分の駅では列車Bの乗客のみを乗降させる。
地方の2両編成くらいのワンマン列車を見ていただければ分かると思うのですが、
この内容では、1列車の乗車率は偏りますよね。
乗客の心理からすれば、「真っ先に乗りたい、真っ先に降りたい」というのがありますから、「列車A」の部分に集中してしまうでしょう。
そして、列車のダイヤは、
◆ 加速時間
◆ 惰行時間
◆ 減速時間
◆ 停車時間
・・・・・これらの組み合わせ。
ホームに合わせて、列車A⇒列車Bを移動させる時間は、
当然、駅での停車時間が延びてしまうという欠点を含んでいます。
結果として、列車の1時間辺りの運行可能本数がどんどん減っていき、輸送力が却って減少してしまうのです。
移動させない、列車Bを限られた駅だけで開扉させる(はみ出し停車)としても、地方のワンマン列車の事例のように、
乗車率は偏るでしょうし、降車する乗客が満員ギッシリの車内を列車A⇒列車Bへ移動するのは現実的ではありません。
コスト云々以前の問題です。
したがって、
ラッシュアワーの混雑率の解消にはいずれも繋がりません。
もしラッシュアワーでの混雑率を減らすのならば、
◆ 信号と信号の間隔(閉塞)を今以上に詰められるような保安装置(ATSやATC)を整え、列車本数を増やす。
◆ 停車時間を少なくするため多ドア車を使い、列車本数を増やせる要因を作る。
◆ ほかの路線への誘導(最近だと、東急大井町線の溝の口延伸⇒東急田園都市線からの誘導)
◆ 車体の幅を広げる(ここ10年来、東京でのJR線の方針)
◆ 複々線工事や新線工事。
・・・・これらの方法になってきます。
お礼
貴重なご意見・ご指摘ありがとうございました。