JAXAのイカロス、「光の圧力」で進む、とは？

質問

JAXAのイカロス、「光の圧力」で進む、とは？

ニュースでイカロスの帆が全開し、今度は「光の圧力」で航行を開始する予定で、空気抵抗のない宇宙空間では秒速100メートル程の速度が出る予定だ、と報道されていました。

この「光の圧力」とは何ですか？
ヨットと言われると「風」の影響を受けて進む、と思ってしまうのですが、そうすると「太陽風」を受けて進むのでしょうか？
だとすると地球より内側にある金星には逆風の中を進む事になりませんか？

回答No.3

debukuro

太陽風と電磁波の輻射圧で推進します
アーサークラークの短編SF「太陽からの風」ハヤカワSFに詳しく書いてあります

回答No.2

iamyou

【光の圧力】光は、電磁波（電波など）の一種としての波動の性質と、光子と言って一粒一粒に分けてカウントできる粒子としての性質の両方を持っています。そしてその伝わる速度はいわゆる「光速＝約30万ｋｍ／秒」と言われて、森羅万象の中でこれを超えることは出来ないというスピードで進みます。即ち、粒子が速度をもって他の物質に衝突すればそこに力（衝突の衝撃）が発生します。これが光の圧力と言われるものです。ただし、その大きさは極めて弱いもので、普通の概念では物質を動かすような大きさとは言えません。従って、私たち自身も真夏の強烈な太陽の光を浴びていても全く何も力のようなものを感じることはありません。

【光波推進】光波推進とは上のような光の圧力を「推進力」として利用して物体を動かす方式を言います。しかし、光の圧力は上に書いたとおり、極めて弱いものですから極く特殊な条件での推力としてしか利用できません。その特殊な条件とは「無重量状態にある物体であること」です。無重量状態ではどのような物体でもごく僅かの力で動かすことが出来ます。ただし、物体を或る速度で動かすには初速ゼロからスタートして目的の速度まで加速しなければなりません。
力を加えて得られる加速度は目的物体の質量に反比例します。つまり、物体の質量が大きくなると得られる加速度は極めて小さいことになります。従って、目的の速度になるまで多くの時間が必要です。
また、粒子（光子）を受けて発生する力（反力＝推進圧力）は、粒子を受ける面積に比例します。
以上をまとめると、光波推進では出来るだけ広い面積（例えば帆のようなもの）で光を受けて、なるべく軽い物体を動かす、という工夫が必要です。こういうことでイカロスの構造・形状が決められました。

【太陽風】太陽風というのは太陽から発せられている「電離したプラズマ粒子」の流れのことです。これは太陽の黒点活動などによって発生しているプラズマ粒子が、太陽の電磁現象によって高速（光速ではありません）で宇宙空間に放出されているもので、太陽から発せられている光（光子）とは別の粒子流です。光は電磁現象の影響は受けません。

【地球より内側にある金星には逆風の中を進む事になりませんか？】地球から発射される人工衛星の進路は、発射と同時にいきなり目的の惑星に直進する訳ではありません。惑星間航行はごくおおざっぱに言えば、一旦地球の公転軌道に沿って進行し、徐々に目的の惑星へと軌道修正していきます。従って、金星に行く場合でも、その航行期間の内の多くの期間は地球公転軌道とほぼ並行して進むことになります。つまり、帆の角度を調整することで太陽光の圧力を推進力に変えることが出来るわけです。なお、この場合、人工衛星が慣性飛行（つまり無重量状態での自由航行）であるが故に光推進のような微弱な力でも加速出来る訳です。ただし、一定の時間はかかります。

もっと詳しい知識を望まれるなら、それぞれの用語でネット検索すれば沢山出てきますよ。

回答No.1

469437

＞この「光の圧力」とは何ですか？

光には波と粒子の両方の特性があるので、粒子が帆に当たれば圧力が発生します。

＞そうすると「太陽風」を受けて進むのでしょうか？

太陽風も受けていることになります。
太陽風には水素・ヘリウム・可視光線・電磁波・紫外線・放射線が含まれており、それらは全て「風圧」となりえます。
しかし太陽風は一定の強さではなく、嵐になる時もあるので、常に役に立つとはいえないでしょう。

＞地球より内側にある金星には逆風の中を進む事になりませんか？

人口衛星は、地球と同じ公転速度（＝公転軌道）で太陽の周りを回っています。
イカロスは、帆の角度を調整することにより、太陽風から受ける力の向きを変えることができます。
それにより、公転速度を減速すると、公転軌道は、より内側になるので太陽に向かっていく軌道を取り、結果として金星に向かいます。

詳細はJAXAのHPで解ります。
http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_channel/pdf/presskit0506.pdf