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信号機の連動は交通安全に役立つ?
信号機の連動は交通安全に役立つ? 交通信号機には「一度赤につかまれば、次も赤」のような連動の仕組みがありますが、無意味な場合が多いと感じます。交通の流れを細切れにしすぎると、ドライバーにストレスがたまり、逆に危険です。信号の連動は交通安全に役立っているのでしょうか。=埼玉県熊谷市の自営業、市原裕司さん(43)
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■「時間差」がポイント 急ぎのドライバーにとって、信号待ちは確かに大きなストレスだ。警察庁によると、全国に約20万機ある信号のうち、約半数が周辺の信号と連動して動いている。仕組みはどうなっているのだろうか。 「連動している信号は、おおむね規制速度で走れば、一番ストレスがたまらないように設定されています」 説明してくれたのは、同庁交通管制技術室の彦坂正人室長だ。 連動でポイントになるのは、隣の信号との「時間差」。青になる時間を一定間隔でずらすなど、適切に調整することで、事故防止やスムーズな交通の実現を目指している。 例えば、4個の信号が連なった直線道路を考えてみよう=図参照。規制速度で走った車Aは、すべて青信号のまま一度も止まることなく通過できる。 一方、規制速度以上で急いだ車Bは、2回も赤信号にかかり、「一度つかまれば、次も赤」のような状態になる。最終的には、A、Bで目的地に着く時間は変わらない。 「追い越しを繰り返したのに、信号待ちが続いて、最終的には追い越したはずの車に追いつかれた」という、車Bのような経験があるドライバーも多いはず。急ぐ気持ちを抑えて、規制速度を守った方が、ストレスが少なくて済むことも多いようだ。 時間差の設定の仕方はさまざまだ。図の信号(1)と(2)では、青になる時間に差を設けてあるが、(2)と(3)では全く同じ。「必ずしも時間差があればよいわけではなく、交通量などによって変えている」(彦坂室長)という。 ■交通量の多い側優先 こうした連動の設定は、速度抑制につながるため、事故防止にも重要な役割を果たしている。 愛知県内のある道路は、時速60キロで最もスムーズに進めるよう設定していたが、倍の120キロでも、赤につかまらず進むことができるという?穴?があった。実際に速度超過の死亡事故が起きたことで判明し、設定を変えたという。 また、同じ道でも、「上り」と「下り」のどちら側をどの時間帯に走るかで、快適さは変わってくる。一般には、交通量の多い側を優先し、信号の連動を設定している。 「上りを優先した場合、下りが『行っては赤、行っては赤…』になる可能性もあります」(同)。朝の通勤時間帯にオフィス街から住宅地へ向かうなど、全体の流れと逆行する場合、多少の「我慢」も必要になるようだ。 連動は、図のような「線」上に並んだ信号だけではない。多くの道路が交わる都市部などでは、一定の「面」内の信号同士が連動し、より複雑だ。 ほかにも、時間帯や曜日による連動パターンの切り替えに加え、車両検知器のデータをもとに、時間差を管制センターで微調整するといった、さまざまな仕組みが取り入れられている。 信号機同士が情報をやりとりすることで、交通状況に素早く対応できる、?考える?信号機(プロファイル信号機)など、信号自体も進化している。 流れが悪いと、つい信号にいらだちをぶつけてしまうのがドライバー心理。しかし「信号のない高速道路でも渋滞する。交通量が多すぎれば、信号でも制御しきれません」(同)。悪いのは信号ではないのだ。 もちろん、連動の設定が適切でなく、無用なストレスの種になっている場合もありうる。 警察庁では、信号に関する意見を専用ウェブサイト「信号機BOX」(http://www.npa.go.jp/koutsuu/kisei/singou/index.htm)で受け付けており、「すべての信号の設定が現状に即しているわけではないので、スムーズな交通を実現するためにも、ぜひご意見を寄せていただきたい」(同)と話している。 (千葉倫之) ◇ 「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。