海流・潮汐流による応力の計算について(長文)
趣味で発明等を行っていくつかの特許なども取得している者です。海流や潮汐流を利用して大規模な発電を行う方法を考案したので、3Dの作図ツールでプラントの概念図をモデリングしてみたのですが、必要な強度の計算などに今ひとつ確信が持てません。計算の誤りや、コンセプト段階で理論的に破綻している部分がある、または大きな問題はないなどのご意見を伺えれば思っています。※出力の試算については、以前に運動エネルギーをワットに変換する方法について質問させていただいたときに解決済みです。特に難解な計算をしているわけではないのですが、前提となる条件が少し多いため、まず動作の仕組みと全体的なコンセプトを説明し、その後に応力等の試算結果について記載しました。
基本的な原理としては、図のような設備を用いて、大型タンカー サイズの浮体構造物を海流や潮汐流の力でピストン運動させ、それを回転運動に換えて電力を得るといった仕組みです。ピストンの役割を果たす大型の構造物は、メガフロートの下にボックス型の流路を設け、前面と背面に開閉式のスリットを備えた構造になっています。両サイドのピストンの容積は中央のピストンの半分になっており、サイドと中央は滑車の作用で交互に前後運動するように係合されています。右上と右下の図のように、ピストンが最前部付近に達するとスリットが閉じて水流の抵抗を受け、最後部付近に達するとスリットが開いて筒抜けの状態になります。最後部付近で筒抜けの状態になったピストンは、滑車の作用で前方に戻っていきます。滑車にかかるベルトは鋼鉄製で、自転車やバイクのチェーンを大型化してフラットに並べたようなものです。
潮汐流は1日に4回流れの向きが変わるため、流れに対して前面に位置するスリットは、ピストンの位置に関係なく開いた状態に固定されます。この動作には電動式のサーボやクラッチ機構を利用しますが、通常の開閉動作はピストンの慣性力を利用します。具体的には、左下の図のような切り替えスイッチの役割を果たすグレーの部品が、滑車の台座に固定された突起物に衝突して前後に移動し、この移動が自転車のブレーキワイヤーやシフトワイヤーと同じ仕組みを介してスリットの開閉動作と連動するようになっています。
従来のプロペラ型のタービンを使って大規模な発電を行うには、無数の発電ユニットを海中に沈めるか、もしくはタービン自体を極端に大きくする必要がありますが、例えば直径が数百メートルもある回転体を造ることは困難であり、水面下で多数の発電ユニットを長期安定的に管理することも容易ではないと考えられます。本発電設備の場合、全長300メートル、幅60メートルもある大型タンカーに匹敵するような質量の運動エネルギーを一箇所の発電器にまとめて集約することができ、単位体積あたりのエネルギーが少ないという問題点を実用レベルまで克服できる可能性があります。また、ケーブル以外の電機設備を水面より上に設置できることから、保守管理上の負荷も大幅に軽減されます。エネルギーの変換効率は少し低くなると予想されますが、15~30%程度を見込んでおり、これについては、模型などで実験するしかないと思います。送電方法は、欧州では既に海底ケーブルによる長距離送電のインフラが実用化されているので、技術的には同じことが可能かと思われます。
係留設備については、FPSO(Floating Storage and Offloading system)と呼ばれる油田開発のフレームワークがあり、これを大規模な吊り橋用のケーブルで補強したような構造物が必要になると考えています。例えば、明石海峡大橋のメインケーブルのようなストランド構造(鋼材の筋の集合体)の太いケーブルを防水のシールドで覆い、さらにそれを束ねたようなものをイメージしていますが、このケーブルと滑車にかかる金属ベルトに必要とされる強度については、第三者によるご意見がほしいといった状況です。
かなり大雑把な概算値ではありますが、今のところ下記のように考えており、計算が間違っているか、または合っているか、そもそもコンセプト自体に問題がある等のご意見もありましたら、その理由と共にご教示いただければと思います。コンセプトの説明だけでもかなりの長文になってしまい、大変申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします。
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1辺が60 メートルのボックス型の流路を3基備えた場合、海水の比重を1.025とすると、内部の海水の重さは約66万4千トンになる。
60 (m)×60 (m)×60 (m)×3 (基)×1.025 = 664,200 (t)
潮汐流の最大速度は秒速5メートルとし、この速度で移動する66万4千トンの海水は、スリットが閉じた瞬間から短時間で急激に減速される。係留ケーブルのたわみがクッションとなり、例えば、スリットが閉じた瞬間から1秒間に秒速2メートルにまで減速したとすると、流れとは逆方向に3 メートル毎秒毎秒の加速度を与えたことに等しい。この場合の係留ケーブル等に発生する引っ張り応力は、次のように約20万トン(tf)に達する。
<i>F = ma</i>(F:力,m:質量,a:加速度)
66.42万 (t) = 6億6,420万 (kg)
6億6,420万 (kg) × 3 (m/s^2) = 19億9,260万 (N)
19億9,260万 (N) ÷ 9.8 = 2億333万 (kgf) = 203,330 (tf)
1平方センチメートルあたり4トンの荷重に耐えられる鋼材を使用した場合、係留ケーブルの断面積の合計は。少なくとも50,083平方センチメートル(約5平方メートル)必要となる。
203,330 (tf)÷4 (tf/cm^2) =50,833(cm^2)
図の例では、6本の金属ベルトがすべて二重がけになっているので、ベルトの引っ張り応力はそれぞれ12分の1に分散される。
203,330 (tf)÷12 = 16,944 (tf)
1平方センチあたり4トンの荷重に耐えられる鋼材を使用した場合、金属ベルトの断面積の合計は、少なくとも4,236平方センチメートル必要となる。
16,944 (tf) ÷ 4 (tf/cm^2) = 4,236 (cm^2)
これらに適切な安全率を掛けた面積が実際の係留ケーブルや金属ベルトに必要とされる断面積となる。
お礼
さっそくのご回答ありがとうございます。ボーリングマシンというのがあるのですね。私は単にトンネルを掘る機械は全てシールドマシンと呼ぶものだと思っていました。メンテナンスは当然必要なのではないかと思います。ただ、ほとんど同じ標高を狙って導管が曲がっているのが、そのための出入り口かなと想像したまでです。ただ、メンテナンスといっても、曲がってるところは道もない単なる山の中ですね。