名誉毀損罪、侮辱罪の成立について
はじめまして。
最近、法律を趣味で学ぶにあたり、よくこのサイト内で検索をかけて閲覧しています。
一応検索したものの、わからないことがあったので、質問させてください。
(1)刑法230条でいう「公然」というのは、「不特定又は多数」ということだそうですが、そこで摘示した内容が他者を通じて伝播する恐れがあるというだけで、「公然と」の要件は満たすのでしょうか?
そうだとすれば、守秘義務のある者同士である会議等でない限り、たとえば一対一、若しくは一対複数の日常の世間話などで、ある特定の人物の評価を落とすような発言をしたら、かなり広く名誉毀損罪は成立するのでしょうか?
(2)名誉毀損罪が成立するためには、実際に社会的評価を低下させたという結果は必要でないらしいですが、結果が発生していない状況で結果が発生する恐れがあるというのは、どのようにして判断されるのでしょうか?
たとえば、ある人を名指しで公然と、
・煙草を吸うから口が臭い
・鼻糞を食べるから気持ち悪い
・過去にグレていたから短気だ
・結婚してから○○キロ太って、だらしがない
等という、いわゆる具体的な事実も含めた悪口、陰口の場合には、社会的評価を落とす事実として根拠が薄いから、本罪は成立しないのでしょうか?
本サイトで、以前「あいつは馬鹿だ」と公然と言うのは侮辱罪、「あいつは試験で0点だったから馬鹿だ」と言うのは名誉毀損罪という記述を目にしたことがあるのですが、「馬鹿」ということと社会的評価を下げる恐れがあることの因果関係があるかどうかというのは、結果が発生しない状況でどうやって判断されるのでしょうか?
(3)名誉毀損罪と同じく、侮辱罪も社会的評価を下げる恐れがあるような侮辱を公然とした者に適用されるそうですが、侮辱罪の成立に必要なだけの侮辱というのは、どういうものでしょうか?
(2)で、単に馬鹿ということが侮辱罪になるらしいということを書きましたが、最近「おバカタレント」という表現からもわかるように、一種の個性に過ぎないという考えが広まりつつあります。
この条文における「侮辱」というのが、あくまである言葉の辞書的な意味によって侮辱とするのか、世相や状況によって侮辱ととれるもののみ侮辱とするのかがわかりません。
(4)(3)と関係するものですが、侮辱される対象の社会的地位等によって、侮辱と見なされるかどうかの判断は変わるのでしょうか?
たとえば、一般に基礎学力が必要とされる者(教師、医師、弁護士、学者、大学生等)を名指しで「頭が悪い」、「馬鹿」等と言うことと、一般に肉体を使って働く職に就く者(プロのスポーツ選手、とび職、各種運転手等)を名指しで「頭が悪い」、「馬鹿」等と言うこととで、社会的な評価が下げられる可能性というものは変わってくると見なされるのでしょうか?
(5)判例で、「デブ」と言うことが侮辱罪に当たるとしたものがあるらしいですが、太っていることを指摘することが社会的評価を落とすという根拠を教えてください。
身体の特徴を示す「デブ」という言葉が侮辱に当たるというのは、判決が「デブは悪いこと」と言っているように思えて仕方ありません。
他にも、私は世間と見方が違うのか、馬鹿が悪いことだとは思いませんし、ブサイクも本人の個性の一つでしかないと思ってしまうのですが、判決はあくまで世間一般にどういう評価が為されるか、ということに着目しているでしょうか?
逆に、「ヤセ」、「ガリガリ」、「ガリ勉」、「顔が綺麗すぎる」、「性格がよすぎて騙されやすい」等といった言葉は侮辱に当たらないのでしょうか?
(6)名誉毀損罪の2項には、公共の利害に関する事実の摘示は名誉毀損罪に当たらない(事実が真実である場合のみ)とされていますが、「公共の利害に関する事実」というのは、どうやって判断されるのでしょうか?
マスコミが影響力のある人物の真実の内容を報道する件についてはわかりやすいのですが、では塾の講師が生徒に「この問題集は、解説が不明確でわかりにくいから買わない方がいいぞ」と言った場合は、どうなるのでしょうか?
公共の利害に当たるから違法性がないのか、生徒の勉強をはかどらせるための正当な業務に当たるから違法性がないのか、それとも違法になるのかがわかりません。
(7)個人が数人に対して、若しくは公園等の不特定の人に聞こえる場で、「あの人の授業わかりにくいよな~」ということを言った場合、名誉毀損罪に当たるのでしょうか?
(6)や(7)まで規制すると、言論の自由が制限されてしまう気がするのですが、どうなのでしょうか?
非常に長くなり、申し訳ありません。
本当は業務妨害罪、強要罪についてもお聞きしたいのですが、あまりに長くなるため、質問を分けさせていただきます。
どれか一つについてでも構いませんので、お答えをいただければ幸いです。