こんにちは
イラク戦争(OIF)の直前に米軍がシュミレーションして、対抗側(Red Team)
にコケ負けした、って話は以前聞いたことあるのですが、こいつだったのですね。
さてこのMillennium Challenge 2002(MC-02)のズバリの資料が、DoDも
USJFCOMでもなかなか見当たらなかったので断定は出来ないのですが、断片的
に得た情報によれば かなり面白い経過、結果になったようです。
Red Team(対抗側)の指揮官 Paul K.V. Riper退役将軍(海兵隊)がとった
作戦とは・・・
1) Blue Team(米軍)の地上広域軍事通信系のインフラを破壊し、衛星ないし
は民間(携帯電話とか?)のインフラに頼らざるを得ない状況を作り出し、
米軍のNCWの遂行能力を著しく低下させた
2) 自軍(Red Team)同士のコミュニケーションには 衛星や無線は一切使用
せず、なんとメッセンジャー(自転車/バイク便とか?)を使って情報の保秘
を徹底した
→ これが有効に機能するのかどうか、ちょっとアレですが・・・。
これだけの事で Blue Teamは混乱し、Redの意図が解らなくなり、ともかく
不必要なところにまで(予防のためか?)大きな兵力を展開しだす。
翌日の演習で(大兵力を背景に)「降伏勧告」を出してきたBlueに対して、
なんとRedは"先制攻撃"を行います。
3) メディアなどの公開情報から 米軍が展開している海軍兵力を割り出し
ミサイルへの対処能力を精査する
4) 陸上、海上、の戦力(っても移動式のランチャとかミサイル艇などですが)
を総動員して前項の能力を上回る数の対艦ミサイルによる同時飽和攻撃を
しかける
この結果16隻ものBlue艦艇を行動不能にし、2万名もの将兵が負傷、死亡という
結果に・・・。
Blue Teamは文字通り"真っ青"になり、それを見ていた演習の統裁官が「中止」
を宣言、「えーーっと 、これナシ」ってことになったそうです(爆
まぁこのRiper司令官のとった作戦も「現実的に機能するのかどうか」は やや
微妙なところは もちろんありますが、コミュニケーションインフラを機能不全
にしてしまう、というのは現在の米軍にとってもアキレス腱のひとつである
ことは間違い無いでしょうね。
余談ですが
Red Teamの指揮官を務めたRiper退役将軍はすごい人でした。
1956年に一兵卒で海兵隊に入隊し、1965年にはベトナム戦争に従軍し負傷する
も、68年に再び前線に戻り、69年にはJFK特殊作戦学校の教官に赴任。その後
順調にキャリアを重ね、1977年には今のPKOの前身となるUNTSO(国連休戦
監視機構)のオブザーバとして中東に派遣、85年には沖縄でも勤務していたの
ですね。
88年には指揮幕僚学校の校長さんになり、翌年に出来た海兵隊大学校の初代
学長に就任! そして97年に除隊と。
叙勲歴はパープルハート、ブロンズスター各1回にシルバースターが2回!
もう、唖然とするよう経歴の持ち主です。
こんな人が現実に敵の指揮官だったら、もう恐ろしくてたまらないですね。
お礼
解答ありがとうございました。 現代戦でも、指揮官によって結果が変わるのですね。 Riper退役将軍の知略には感動しました。