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『天国と地獄』のアメリカ人の描写について
最近、あるアメリカ人から黒澤明監督の『天国と地獄』について質問を受けましたが、 自分の知識では答えきれない部分がありました。 この映画は1963年製作で、当時の「現在」が舞台です。 映画の後半、「根岸屋」をモデルにしたとされるバーか何かで、 多くのアメリカ人エキストラを見ることができます。黒人もいれば、白人もいます。 横浜なら当然だろ、と気にもしなかったのですが、 先のアメリカ人はこの場面を見て「当時のアメリカ国内ではありえない」と言うのです。 確かに、1963年と言えばアメリカではまだ公民権法も制定されておらず、 日本占領中に作られた「進駐軍クラブ」も黒人専用のものがまだ残っていたと聞きます。 しかし、この場面では黒人と白人が同じ店の中にいるだけでなく、 談笑しているようなところも見受けられます。 そこで質問ですが、当時の横浜で、このように同じ店の中で黒人と白人が一緒に楽しんでいるなんてことがあったのでしょうか? (これらのエキストラは本物の米兵だったそうですから、 ありえない設定なら「自分たちは同じ店で遊んだりしない」とか言いそうなものです。) 要するに、意図はともかく、この描写は当時の風俗として現実的なのか、ということを知りたいのです。 当時の横浜、特に伊勢崎町や「根岸屋」をご存知の方がおられたら、教えていただけないでしょうか。
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当時、叔母が米人(米兵に限らない)相手のバーを営んでいました(特定されてしまうし、時効とは思うが他の問題もあるので、場所は勘弁)。 小学生だった私は自転車で行ける場所だったので、夕方までそこで遊ぶ(ピンボールなどがあったので)ことがあったのですが、よく、米兵に遊んでもらったり、小遣いをもらいました。白人、黒人、どちらもいましたよ、既に部隊編成は人種混合だったはずだし、外地ですから戦友という意識もあったのかも知れませんが、白人黒人一緒に遊んでいました。 少なくとも、米兵が遊びに来るときは白人黒人一緒に来店することは珍しくなかったです。
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- isoiso0423
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63年当時のことを知る人だと、70歳前後でしょうから、正確な回答はなかなかないでしょうねぇ。 場所は横須賀ですが、以前ある在日米軍客相手のバーにお世話になったことがありますが、ベトナム時代を知るマスターによると白人も黒人も分け隔てなく店には来ていたようです。 ベトナムに飛び立つ前に「帰ってこれますように」とドル紙幣に何か書き込むのが験担ぎのお守りだったらしく、そういうドル紙幣がけっこう残ってました。白人兵や黒人兵が一緒にうつった写真もあったと思います。 映画「天国と地獄」はまったくその当時の時代のままで、当然シナリオハンティングにロケーションハンティング、さらにセットを作るためにモデルとなる店を黒澤監督始めスタッフが足を運んでいるでしょうから、リアルなんじゃないですかね。 下記にロケ跡を訪ねているファンの方のHPがありました。 http://www.tokyo-kurenaidan.com/kurosawa-tengoku3.htm
お礼
横須賀でのお話は興味深く読ませて頂きました。ありがとうございます。 (こういう話だけでも映画1本作れそうですね。) 私も、黒澤組の仕事のしかたからすれば、きっと当時は概ねこんなものだったのだろうと思います。 しかし、私自身の知識・経験の範囲では「一人の日本人はそう考える」というだけで、 アメリカ人相手に「なぜか」を説明するのには説得力不足なので、 こういう関連情報はありがたいです。
- Leonardo_A
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断言できないことばかりで、自信が無いのですが、参考になれば良いと思って書きます。 1963年当時の、時代として考えた場合。 ・エイブラハム・リンカーンの奴隷解放宣言が1862年(差別が解消されるかどうかとは別の話ですが、とにかくこれでアメリカが前進した) ・国連の人権宣言が1948年採択 ・1964年公民権法、1965年投票権法で黒人の権利が法的に整備される。 ・テレビドラマ「スタートレック」で、黒人女性と白人男性のキスシーンが放送される。1967年(宇宙人による強制的な行為だったが、本人同士の信頼関係は確立している) ・「招かれざる客」という映画が1967年製作。 白人女性と黒人が結婚できるかどうかというテーマです。 若い女性が、偶然出会った黒人医師を家へ招き結婚したいと言い出す。それで、家族は困惑するという物語です。父は、長年新聞記者として働き、人権問題など糾弾してきた人物ですが、我が身のこととなったとたん、拒絶反応をおこします。 ということで、白人経営の店で黒人が飲めないというのはよくある話ですが、黒人と談笑できる白人も多くいる時代でしょう。 日本国内の、日本人経営の店の中で、黒人と白人が一緒にいるのは、さほど不自然ではないと思います。 むしろ、差別意識の強い者がこの状況を見る場合、「黄色の店だ」という心理もありますから、黒人がいることそのものよりも、その程度の店だと感じるのではないでしょうか。 それから、全く別の視点で、映画製作者の気持ちとして考えた場合、色を問わず、アメリカ人が一緒にいた方が良いのではないでしょうか。 黒人が蔑まれた状況を描いたとして、それでは、差別意識を捨てようと言う良識ある白人をバカにすることになってしまいますし、当然、黒人もバカにすることになってしまいます。 黒人と白人が仲良くしていることも、現実としてあるのだから、それを映画にするのも、良識の一つではないでしょうか。
お礼
初めての質問だったので不安でしたが、 早速の回答をありがとうございます。
お礼
貴重な経験をお持ちですね。 大変参考になりました。 ありがとうございます。