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アメリカの歴史:人種差別問題と不法入国者の権利
- アメリカ政府が不法入国者の権利を守る理由とは?
- アメリカの歴史における黒人の移民の実態は?
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ええと、まずこの映画、確か、とりたてて時代設定の説明がなかったと思うので、普通に考えたら、映画が製作された1998年とほぼリアル・タイム、つまり、Derekがそのセリフを言った当時は、1970年代末以降であると考えるのが自然です。 では、ちょっと【整理】しましょう。米国に住んでいる黒人の大半は、何世代も前に奴隷として連れてこられた人の子孫です。つまり、生まれた時から市民権を持っている合法的な住民ですよね。すなわち「不法」ではないし「入国者」でもないわけです。 一方で、不法入国者のうち、アフリカやジャマイカなどから来る肌が黒い人は、当時も今も、アメリカに限らず、いろいろな国にいます。日本にもいますよね。もちろん、その人たちは他の国から来る不法入国者と、ほぼ同じ扱いを受けるわけです。 また、「移民」=「不法入国者」でないのもご存知ですよね。アメリカでも日本でも、多くの移民は合法的に入国します。 さて、話は変わってDerekの心の中はどうなっていたのか。「黒人だけを差別する差別主義者」というものは稀です。これは、どこの国でもだいたい同じで、日本でも「黒人だけ」とか「○○人だけを差別する人」って、そんなに多くないと思うんです。そういう人はたいてい、他の国から来た人のことも嫌っているし、他の肌の色の人も嫌っていたりするものです。とにかく自分の人種以外は嫌い、というタイプです。 あの映画全体を見て察するに、当時のDerekもそうだったのではないでしょうか。「自分たちは昔からここで真面目に生きてるのに、異人種が勝手にやってきて、勝手に犯罪の巣窟をどんどん作って、世の中を悪くしてやがる。なのに、政府は異人種を守るために俺達の血税を使ってるときた」と思っているのではないでしょうか。そして、いつの間にか彼の中に「異人種=犯罪者」という図式ができているのです。もっと厳密に言うと、Derekの心にあるのは「黒人=犯罪者=黒人=異人種=犯罪者」という図式なので、古くから住んでいる黒人も、新しく来た黒人も、黒人でない異人種も、いっしょくたになっているのです。 実際に政府が30億ドルを投じて援助したのは「移民」なのであって、「犯罪者」でないのは、言うまでもありません。ただ、Derekとしては、古くから住んでいる黒人のうちの貧しい人々に「生活保護という名の税金」を投じているのも、きっと気に入らないのでしょうね。実際には、犯罪の巣窟を作っている貧しい白人だって当時から大勢いたわけだし、社会に貢献して税金をたくさん払っている黒人や移民だって大勢いたのに。 というわけで、改めて【回答】します。 >当時(1960年代のストーリーでしょうか?)残酷な差別を受けていた黒人たちも、他の南米やアジアから来る移民たちと同様に、政府から面倒を見られていたのでしょうか? 1960年代にも、70年代にも、80年代以降にも、「黒人」に限らず、白人でも誰でも、貧しければ生活保護などの公的援助を受ける場合がもちろんあります。また、「黒人」であっても「移民」でなければ、「移民のための援助」を受けることは、もちろんできません。しかし、もちろん「移民」の中には「肌の黒い移民」も当時からいました。 >奴隷解放宣言以来、各国から移民が絶えずアメリカへ渡ってきていたようですが(?)、その中にはアフリカから来る黒人もいたのでしょうか? 1862年、すなわち19世紀の奴隷解放宣言が、移民を増やすきっかけとなったと考えるのは間違いです。ただし、この世に船がある限り、アフリカからもいろいろな大陸からも、常に移民は来ますよ。日本にだって来ます。 【まとめ】ます。アメリカであろうと日本であろうとどこであろうと、移民というものは常に来るのですよ。「鎖国」と言われた江戸時代の日本でも、国交のあるところから合法的に移民が来ていたし、国交のないところからも、海を漂流して人が不法に来たりしていたんです。 来ちゃって困ってる人に、税金を使ってとりあえずの食べ物や宿を提供するのは、仕方がありません。見殺しにはできませんから。しかし、手厚く保護するか、そっけなく母国へ帰すか、拷問を加えるかは、受け入れた国や時代によって違います。今の日本でもかなりの不法入国者を受け入れていますが、アメリカでは、もっと積極的に受け入れています。理由は前回書いたとおりです。 あ、ひょっとしてこういうことをお知りになりたいのでしょうか。きっかけは「不法」であったとしても、入国先の国に大いに貢献する人は大勢います。日本でも、不法に入国していながら、日本語を熱心に勉強し、工場などでつらい労働に従事して、日本を豊かにしてくれている外国人が大勢いますが、そういう人たちの子供には何の罪もないので、日本政府は義務教育を施していますし、不法入国者本人についても、貢献度を評価して永住権を与え、「不法」でなくする場合があります。映画で襲われた店が本当に不法入国者のものだったのか、Derekの思い込みだったのか、観客にはわかりませんが、真面目に店を構えて、地域に貢献していれば、ある程度は税金の恩恵に預かっていたとしても不思議ではありません。 一方で、既にアメリカ合衆国では、移民が大きな割合を占めていて、その多くは不法に入国した人やその子孫なわけなので、移民や不法入国者に対して寛大にしていれば、選挙で票が集まるのです。 しかし、それを「気に入らねえ!」と差別する人は、どこにでも大勢います。その典型が、セリフを言った当時のDerekなわけですよね。しかし、のちに、Derekは考えを改めます。いずれにしても、『アメリカン・ヒストリー X』は、遠い昔の遠い国のお話ではないのです。そして、映画でも描かれているように、差別はたいてい「無知」から生まれます。 以上、長くなってしまいましたが、わかりにくい点があれば、また書いてくださいね。
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- ucok
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すみません、その映画、観たんだけど、細かいところは忘れてしまいました。「その当時」って、どの当時? 基本的に、政府が大金を投じて、不法入国者の最低限の人権を守ろうとするのは、先進国では、たいてい当然のように行われていることです。 ただ、とりわけアメリカ合衆国は移民の国ですよね。つまり、ネイティヴ・アメリカン、いわゆるアメリカン・インディアン以外の国民は、だいたい17世紀以降にヨーロッパから移民してきた人の子孫に始まり、全部、アメリカ合衆国以外の土地から来た人の子孫なわけです。ヨーロッパのように、千年以上も昔から白人がいたわけではないのですよ。 そういう国の成り立ちもあって、移民には寛大です。美しく言うと「どんな人でも人間なのだし、もともといた人たちだって同じ移民だから」。でも現実的には、地続きの国境を次から次へと渡ってくる不法移民を、あまりないがしろにしていると、勝手にコミュニティを作られて犯罪者集団になっちゃうんで、税金を使って教育したり、生活を保障しようとしている。そんな感じです、おおざっぱに言うと。 で、「その不法入国者」とは、どの不法入国者? 確か、映画では、とりたてて限定はしていなかったような?? アメリカ合衆国には、もちろん、奴隷とは別に、アフリカから自ら望んで移民してきた黒人などがいますよ。日本にもいますよね。 そもそも「その時の彼の台詞の内容」って、どんな内容でしたっけ? 以上、回答になっていますでしょうか。
お礼
ありがとうございます~。とてもわかりやすく教えていただいて。その時の彼のセリフは、「今、200万人の不法入国者がヌクヌクとアメリカに住んでいる。政府は去年30億ドルを使って、このよそ者たちの面倒を見た。彼らの犯罪を検挙するのにも4億ドル。なぜなら、移住帰化局が罪人の入国に目をつぶるからだ。政府は無関心だ。国境は形だけ。政府は正直で勤勉なアメリカ人を不当に扱って、国民でもない者の権利を守ろうとしている…」という感じです。 ここで疑問なのは、当時(1960年代のストーリーでしょうか?)残酷な差別を受けていた黒人たちも、他の南米やアジアから来る移民たちと同様に、政府から面倒を見られていたのでしょうか?Derekは黒人に恨みを持っている人種差別主義者ですが、ここでは得に「黒人」と限定せずに不法入国者全般に怒りをぶつけていますよね。奴隷解放宣言以来、各国から移民が絶えずアメリカへ渡ってきていたようですが(?)、その中にはアフリカから来る黒人もいたのでしょうか?