職質・検問はなぜ任意?
警察官による職務質問や交通検問に強制力を与えた場合のデメリットについて教えてください。
警職法2条1項による職務質問や、交通検問(これも一般に同条項によるとされるのが判例とみられるようです)は、よく知られている通り、任意規定として少なくとも法律の解釈上は(建前上は)拒否をすることができます。
適正手続きの保障の観点からも、また人権保障の観点からも、警察権力が好き勝手に国民に対し権力を振りかざすのはもちろん許されるわけはありません。
その意味からも、逮捕要件を充足しない段階での身柄拘束や、連行についてはもちろん厳密な適正手続きの要件を満たさないかぎり許されるべきではないと思います。
また身体検査や、住居等への捜索差押なども現行通り、裁判所の発行する適正な令状を厳格に求めるべきだと思います。
ところで警職法が認める職質や検問は、なぜ任意規定とされているのでしょうか?
警職法は昭和23年の制定なので、職務質問に法的根拠を持ちたい警察当局と、少しでも警察権の行使に抑制をかけたいサヨク的勢力の妥協の産物として、このような規定になったのかもしれません。
しかし現実には、職質が任意規定であるままにされていることには、大きなデメリットがあると思います。
後ろめたいことがある人間にしてみれば、職質が任意であることが大きな武器になってしまいます。
また、中には格別後ろめたいことが無くても、警察に逆らいたいとか、面白いから拒否してみようなどと考える輩もいて、中にはそれを「武勇伝」でもあるかのようにネットに拒否する様子をアップしたりする輩さえ存在します。
これを任意規定のままにすれば、社会の防犯上もデメリットですし、また後ろめたいことが無い人間との間で、「任意だろ!」 「いや免許証の提示をお願いします」などと何時間もやりとりをするなど、税金の無駄とも言えます。
まあ、実際の判例では、車のキーを抜くとか、腕をつかんで引き留めるとかは合法だとの判断も出たりしていますが、いっそ身分の確認や免許証の提示(道交法の提示義務はありますが)、今なにをしていたかなど、比例原則の範囲で合理的な範囲の質問については、いっそ警察官に強制的質問権のようなものを与えたほうが、都合がいいのではないでしょうか?
職質・検問などを、そのまま任意規定にしておくメリット(=強制と法改正するデメリット)を教えてください