泉北線沿線の住民にとって運賃が高いとの言葉が独り歩きしています。まず、鉄道の運賃は隣の駅まで○○円ではなくキロ○○円なのです。泉北高速鉄道は南海や市営地下鉄と比べてもキロベースで運賃は高くありませんし、日本一高いといわれるのは嘘です。泉北高速鉄道を南海電鉄と統合してしまえば、泉北+南海の合算運賃から南海の運賃に一本化となって安くなるとの意見が多く見受けられますが、泉北線各駅から中百舌鳥までの運賃で見てみると栂・美木多からを除き運賃が高くなります。つまり、泉北線内から南海高野線へ通して乗車する利用者には運賃値下げとなりますが、中百舌鳥で市営地下鉄に乗り換える利用者には運賃値上げとなります。泉北線から中百舌鳥で市営地下鉄に乗り換える利用者が半分以上の現状で、単純に泉北と南海が統合すれば運賃が安くなるとの意見には問題があります。
現在、南海電鉄は、JRの利便性向上による難波-和歌山の利用者減と関空低迷による難波-関空の利用者減、市営地下鉄の中百舌鳥延伸による高野線の利用者減、景気低迷による橋本・林間田園都市地域の住宅販売落ち込み、で経営は芳しくありません。そこで、南海では昭和30・40年代の電車を現役で走らせたり、駅員や車掌の非正規社員化により経費削減を進めています。経営状態の良くない南海電鉄に泉北高速鉄道が吸収されてしまえば、泉北線の売り上げを奪われてしまい泉北線のサービスが低下するのは目に見えています。
運賃値下げには、運賃表の書き換えや券売機・改札機・精算機などのプログラムの更新に莫大なお金がかかります。そんなお金があるのなら運賃値上げの先送りに回した方が良く、JR西日本は民営化となってから消費税分以外運賃値上げを見送っています。
泉北・南海の乗り継ぎ割引額は20円ですが、都営地下鉄と東京メトロは70円です。泉北高速だけに運賃値下げを要求するのではなく、「乗り継ぎ割引額の引き上げ」をできるように南海にも要望したり、「乗り継ぎ割引実施」をするように市営地下鉄にも要望していくべきです。
また、3・4人の家族連れ利用者の負担が軽くなる「割引率の高い割引回数券(6・8綴り)」を泉北だけでなく南海・市営地下鉄を含めて考えていく時だと思います。
経営責任と経営効率化を高めるためには民営化を進めることは良いかもしれませんが、交通手段の多様化と少子高齢化の今、鉄道各社は安易に運賃の値上げもできず経営安定のために苦労しています。
大阪府都市開発株式会社は、鉄道事業の泉北高速鉄道と流通事業のトラックターミナルの2本柱を持っており、流通事業と鉄道事業を分割しグループ会社となるか、経営が安定している流通事業を親会社として鉄道事業を子会社にするか、が良いのではないでしょうか。