人類の細胞も、DNAの最後に回数券のようなくり返し配列が(50回ほど)
あり、一回細胞分裂するごとにくり返しが1つ減って、なくなるとそれ以上
細胞分裂できず、新陳代謝できずに老化して死ぬようになっています。
生物は、有性生殖以前の「突然変異による多様化と、その淘汰による選択」
という人まかせで遅い進化に対して、交配する事で、遺伝子の配列をシャッフル
して多様性を生み、また交配のための種内の競争による選択という、すばやい
進化を可能にしたのです。
そこにおいて、世代交代しなければ個体数が増える一方なので、自ら寿命を
制限しているのです。
細胞分裂で増えるゾウリムシ(単細胞生物)は、有性生殖など必要ないよう
ですが、実は時おり、他の細胞とくっついて遺伝子を交換する、「接合」を行います。
もし接合をせずに、細胞分裂だけしていると、百数十回ほど分裂したところで
それ以上分裂できなくなり、死んでしまいます。
接合をすると、また若返って、百数十回分裂できます。
それほど「遺伝子の交配」というのは、進化に有効なのです=長生きは退化。
死は世代交代を意味し、その有性生殖において愛は生じ、親や子供は
存在するのです。
人は往々にして不死に幻想を抱きますが、人も愛さず、子供もいない、
そんな社会が魅力的には思えません。
逆に愛があれば、自己の肉体の限界を超えて、意志(=精神的充足)は広がります。
生と死は対立概念ではなく、「より良く死ぬことが、より良く生きること」なのです。