AIM-Japan (Pilotのマニュアルとお考え下さい)には以下の記述が有ります。
高高度の影響 低酸素症の項
「夜間視力の低下は5000フィートに相当する機内気圧のもとでも起きるが、普通の健康なパイロットにとっては12000フィート未満ではこの高度の増大にともなうハイポキシアによる顕著な影響はあらわれないとされている」
(5000フィート=約1600メートル、12000フィート=約3700メートル、ハイポキシア=Hypoxia=低酸素症=高山病)
このことから、ご質問に照らして考えますと、
・まず、ここでいう高度とは飛行機の高度のことではなく、客室(=操縦室)の気圧高度のことです。
・低酸素症の症状のひとつとして、夜間視力の低下という減少があります。
・夜間視力の低下については、上記記述のとおりです。5000メートルと記憶されていますが、AIM-Jを読む限りでは5000フィートの間違いではなかろうかと思われます。
・一般的に、与圧装置を装備した旅客機(ボーイング747やエアバス340など)の客室高度は、飛行高度が上がるとそれにつれて客室高度も上昇(気圧は低下)するよう設計されています。ボーイング747の場合だと機体構造強度上、最大差圧は1平方インチあたり9.4ポンドです。この制限があるため、客室高度は上昇限度の45100フィートを巡航する場合、最高8600フィートまで上昇します。
・このことを考えると、与圧装置のある旅客機のパイロットも、高高度では夜間視力の低下が起こりうるということを認識して乗務するべきというのがAIM-Jの記述の趣旨と考えられます。ただし、だからといって酸素マスクを常時着用しなければならないということはない、なぜなら健康状態に問題がなければ12000フィートまではそれほど顕著な夜間視力の低下は起こらないから、というふうに解釈できます。
それから、#2の方がシベリアと赤道直下について述べられているのは、空気密度の違いのことをおっしゃっているのだと思います。空気密度は気圧と温度により決まります。しかし現実には激しい運動でもしない限り、地上でもシベリアと赤道直下の空気密度の差は体感できるほど顕著なものでは有りません。上空でもそれは同様です。航空機の離着陸性能などは空気密度で大きく変化するので、性能計算上は重要な概念ではありますが。
お礼
>ここでいう高度とは飛行機の高度のことではなく、客室(=操縦室)の気圧高度のことです。 納得できました。 有難う御座います。