No1,No2の回答は,いずれも不正確です。
訴訟費用は,民事訴訟費用法という法律で定められています。
民事訴訟費用法は,「当事者が負担すべき訴訟費用」という言い方で,訴訟費用の範囲を定めていますが,それによると,当事者が負担すべき訴訟費用とは次のようなものです。
訴訟提起などの手数料(訴状に貼った印紙のこと)
送達費用
証人などに支給した旅費日当(予納した額)
裁判所外で検証や証人尋問をした場合の裁判所の旅費日当
当事者が出廷するために要した旅費日当(実額ではなく裁判所の定める額)
代理人が出廷するために要した旅費日当
訴状その他の書面及び証拠の写しの書記料
書面の提出費用 など
この中には当事者が委任した弁護士の着手金・報酬などは含まれません。
次に,判決で負担を命じられるのは,各当事者につき,相手方が負担した訴訟費用です。分かりにくい表現ですが,質問のように,原告に1/3,被告に2/3とされた場合には,原告は被告が負担した訴訟費用の1/3を負担し,被告は原告が負担した訴訟費用の2/3を負担するということになります。この原告が負担した訴訟費用と,被告が負担した訴訟費用は,それぞれ別個独立に算定されます。
より具体的にいうと,訴訟費用の負担は,判決が確定した後に訴訟費用額確定処分の申立てという申立てをします(民事訴訟法71条)。原告が申立てをする場合には,自分が負担した訴訟費用,すなわち,訴状に貼付した印紙代,原告自身又は原告代理人が法廷に出廷した回数,証人尋問や検証をやるために原告が裁判所に予納した金額,原告が提出した訴状や準備書面の枚数,証拠の写しの枚数などを,申立書に記載して提出します。被告がどのような訴訟費用を負担しているかは,この場合,全く関係がありません。あくまで,原告が負担した分だけを申し立てるわけです。
そうすると,裁判所書記官が,その数や金額をチェックした上,旅費日当などについては裁判所で定める一定額に出廷回数などを掛け,準備書面などでは1枚あたりの書記料として決まっている額を掛けて,原告が負担した訴訟費用の総額を算定し,その2/3を被告が負担すべき(原告の)訴訟費用であるという確定処分をしてくれます。
この確定処分を被告に送達することにより,訴訟費用の取り立てが可能になります。
逆に,被告も,原告と同じようにして被告が負担した訴訟費用の項目を裁判所書記官に申し立てると,裁判所書記官は,原告が負担した訴訟費用とは全く別個独立に,被告が負担した訴訟費用の額を算定し,その1/3が原告が負担すべき(被告の)訴訟費用であるとする確定処分をしてくれます。
ちょっとややこしいですが,訴訟費用の負担というのはこのような仕組みになっています。