ドイツの例に関してですが、「議会制民主主義」を政治の根幹として「基本法」で決めています。しかし、思想信条の自由が認められているため、個人レベルにおいて議会制民主主義を否定し、それを主張することに対しては、それが暴力と結びつかない限りにおいて認められます。もっとも「ナチ党」を支持し、ハーケンクロイツを付けたり、ナチ式の敬礼をすることは「個人レベルの主張」と認められず、逮捕の対象となります。しかし、こうした思想信条の自由は、個人に対して認められるものであって、「政治結社・政党として認められるわけではない」という立場を取ることになります。この判断には「基本法」のみが基準とされ、それ以外の法律は関係しないことになります。
これは、ワイマル時代にナチ党や共産党など、左右両翼の「議会制民主主義」を拒否し、暴力介入を辞さない政党が政局を不安定にし、暗殺やクーデターなどの手段で議会政治を破壊していったことに対する反省から制定されたものです。
「共産党」の禁止についてですが、これは「ドイツ共産党 Kommunistische Partei Deutschlands」という一政党が禁止されただけで、「共産主義政党」の全面禁止ではないので、間違えのないよう。KPDは、自らを闘争政党として位置づけており、武力革命をも視野に入れた政治的立場を取っていました。また、議会制民主主義ではなく、プロレタリアート独裁を主張していたことも禁止措置を招く一因となりました。KPDの禁止後、Deutsche Kommunistische Partei (翻訳するとやはりドイツ共産党)という政党が設立され、議会制民主主義に立脚した共産主義の実現を追求しています。この党は東西統一後に東独の独裁政党であったドイツ統一労働者党 SEDの議会民主派と統合して Die Linke (左派党)という政党を設立しました。
現在、日本では民主党を売国党などとする批判が強いですが、新米路線を取るか新中路線を取るかだけでは「反体制」にはなりません。「議会民主主義」という体制を破壊し、一党独裁に移行しようとするならば、それが「反体制」ということになります。逆に言えば、憲法のみに拠る判決を行なう「憲法裁判所」の設立を頑なに拒否し、「最高裁判決」にも憲法判断を避けさせてきたような自民党政府が、むしろ「反体制」政府であったと言えるでしょう。
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