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鉄道の速度限界の理論 って?
数十年前に読んだ本に、「車輪による鉄道車両での速度限界というのは、車輪の追従性と、動力伝達に必要な粘着力が小さくなるので、時速300キロを超えることが出来ない。そのためリニアモーターカーの開発が始まった」とあったと記憶しています。その後、各WEBサイトでも似たような記述を目にします。 ただ実際には(営業運転しているかどうかは別にして)国内外で時速600キロに迫る速度記録が出ています。ほとんど2倍ですよね。あまり技術的なことは分かりませんが、写真などで見る限りでは、数十年前の鉄道とは大きく変わったようには見えないし、ブレークスルーがあったとも思えない(もしかしたら、細かいことで何かあるのでしょうか?) 私の頭の中では、この時速300キロ限界ライン(理論?)が、いまだに大きな存在となっていまして、記録が更新するたびに、上記の記述のことを思い出されます。 そこで質問なのですが、(1)この理屈っていったい、どこの誰が、いつ頃、どういう手法で導き出したのでしょうか?(2)また「車輪の追従性と動力を伝達するに足りる粘着力」って、本当に速度限界に寄与しているのでしょうか?(3)そもそもリニアモーターカーの開発って、必要だったのでしょうか? お分かりになる範囲で、教えて頂ければと思います。
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鉄道における限界速度は、古くは理論値であり、次いで試験台車の実験値となり、実際に営業線路を使っての実地走行と、次第に限界速度が向上していった訳です。 ちなみに、TGVは、動力集中方式。両端が重い機関車で、かつ下り勾配区間での500Km/h超えですから、直ちに、実用限界速度と言うのは拙速だと考えます。 VVVF制御技術も高速運転に一定寄与していると思います。これで粘着係数が増す訳では有りませんが、再粘着の自動制御技術の向上ですね。 再粘着と言うのは、空転車輪が発生すると、他の電動車輪に負荷が掛かり、その車輪も空転が発生。結果として運転不能に陥る訳です。そこで空転車輪をいち早く検知、一時的に電流をカットし、再粘着を促す技術で、古くから勾配区間用の電気機関車に持ちいられた技術ですが、VVVF制御では簡単にできるのです。 他にも、空気力学による先頭車両の形状改善など、今後、限界速度の向上の余地は、まだまだあると思います。 また、限界速度とは別に、カーブでの制限速度向上の技術も時間短縮には重要です。例えば、カント不足を補う車体傾斜装置、アタック角の改善に寄与する自動操舵台車(在来線では実用化済み)などが上げられます。 国内最高速(320km/h)のE5系 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090204/1023359/
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- pullmandsg
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大雑把に言うと、300キロ限界の理論は、昭和30年頃の解析技術と当時の実験結果から導かれた結果なので、解析技術の進歩により内容も変わってくるものと考えられます。 実験結果というのは、1955年のフランス国鉄の高速度試験で、最高速度330.9キロという当時としては破天荒(その後25年間破られなかった)な記録が出ているのですが、当時最高の車両、軌道を用いたのに、試験後の線路はボロボロ(蛇行しまくったせい)、これ以上走ったら確実に事故・・・、という状態でした。理論値でも300キロ、実験値もかなり無理してこういう結果なので、当時としては300キロ限界が妥当、という話になったのかと思われます。 ただし、この記録が破られたからといって、追従性・粘着力から限界速度を導出するのが無意味というわけでもなく、最新の鉄道工学の教科書には、理論発展の経緯と、現在の理論から言えばこれくらいの速度が限界のはず、また、○○という条件なら限界速度はこうなるが、営業運転という観点からは○○という理由から難しいという記述が載っていたような気がします。 リニアについては、鉄道ではかなり無理をした実験でないと実現できない500キロを容易に実現できること、軌道側の条件が整えば最高速度の上限、エネルギー効率は相当高い(軌道を真空に近い気密式のトンネルにすれば、低エネルギーでの音速越えも可能)ので、鉄道の代替手段というよりは、飛行機の代替手段としての可能性を探る意味は大きいと思います。 まあ、技術的には正しくても、中央新幹線を一民間企業がリニアで建設すべきか、となると面倒な問題がいろいろあってはっきりした事はいえないわけですが。
お礼
フランスの国鉄が出した記録が25年破られなかったというのは、すごいですね。知りませんでした。なっとくですねー。こういった記録が出ていると、それを裏付けるために理論構築がされがちですよね。 でも理論の精度はともかく、みなさんのお話を読ませて頂くと、300キロというラインは、(記録が破られたからといっても)実用的な世界を考えると、それほど見当違いな理論では無かったのかも知れませんね。 リニアの建設が始まったら、みにいきたいものです。
- kuma-gorou
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勿論、環境問題をクリアーしての350Km/h運転です。 仮に、320Km/hにスピードダウンしても、JR東海が主張するルートなら名古屋1駅停車の最速で、東京⇔新大阪1時間50分は余裕で可能ですね。 要するに、輸送力が東海道新幹線の半分しか確保できないリニアより、従来どおりの方式で建設する方が、新大阪以西の旅客にはメリットが大きいんじゃないかと考えます。
お礼
リニアありきという気持ちも分かりますが、JR東海、その他有識者の中に、車輪走行ではどうか?という議論はなかったんでしょうかね。 今回、質問させて頂くまで、この私自身も粘着理論はまた正しいと思っていたので、リニア以外の選択肢は、考えたこともありませんでした。
- akak71
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#4 機械的には350k以上は、可能とされています。 騒音問題で、不可能とされました。 JR東日本では、 320kとされようです。 日本での限界速度は、騒音問題になります。 リニアは騒音問題が少ないとされていますので、 成功すれば、新規路線がリニアで建設される可能性もあると思います。 東京-大阪 2時間はリニアしかないと思います。 騒音問題で国鉄は敗訴しています。 深夜走行できないのも、騒音問題のためです。 走行しない約束があるそうです。
お礼
確かに騒音問題は深刻ですね。車輪とレールで接している以上、ここからの音の発生抑制は、原理的に難しくなってきますよね。その点、リニアなら非接触だから期待出来ますね。 ただ、ちなみに上海のリニアは、(中国人から聞いたのですが)騒音問題で時間帯によって、350キロ、400キロ、最高速度OKというようになっているそうです。自己体験でもこのリニアに乗っていると、350~400キロ過ぎたあたりから、車内も会話が出来ないくらいうるさい。 騒音問題は、中央リニアで解消されていると良いですね。静かなら、24時間営業も夢じゃないかも知れませんし、そうなれば輸送量の確保も出来るかも知れませんね。
- kuma-gorou
- ベストアンサー率28% (2474/8746)
>(3)そもそもリニアモーターカーの開発って、必要だったのでしょうか ドイツなどでも開発が進められ、上海では既に営業運転が行われています。 ですから、実用化に向けての研究開発は、絶対に必要だと思います。 ただ、個人的意見と断った上で申し上げますと、中央新幹線は、必ずしもリニア方式でなくても良いと考えます。 従来どおりの方式でも、350Km運転は可能。とすれば、東京⇔名古屋が1時間10分以内。東京⇔新大阪が1時間50分以内が可能となり、山陽新幹線への直通も可能になります。 リニア方式では、現状の半分程度の輸送力しか確保できません。 従来方式だと、東海道新幹線を定期的に運休。抜本的な延命工事も可能。トラブルによる運休などでも影響を最小限に抑える事も可能です。
お礼
そうなんですよね、私もその意見に賛成なんです。100年掛けた車輪ベースの鉄道技術があるわけですから、なんでそれを活用しないのか?発展させないのか?しかも粘着理論は事実上崩れているわけですよね。不思議ですよね。 東海道みたいにカーブ無く、ちゃんとした軌道をつくれば、リニアに匹敵するくらいの速度を確保しつつ、大量移送出来るんじゃないでしょうかね。 ちなみに、私は山梨実験線へ試乗申し込みで何度も落ちたんで、上海に出張した際にリニアモーターカー(現地ではマグレブっていっていたかな)に乗ってしまいました。技術どうこう以前に、400キロの世界は、けっこう感激的でした。
- altiman
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参考程度の意見ですが・・・ 私も20年くらい前からその限界説は聞いていました。 おそらく ・コンピューター上である程度シミュレーション出来るようになり、台車の動きがより判るようになった ・インバーター制御技術の進展によって粘着係数が向上した のが理由でしょうね。 それとTGVが「ボロボロ」になりながらも試験車両で記録を達成できたのもおそらくあるのでしょうね。 >(3)そもそもリニアモーターカーの開発って、必要だったのでしょうか 実用化が見えてきた現時点では必要だと思います 確かに時速600キロで走る車両は時間をかければ出来る可能性はありますが、日本の環境下ではリニアより相当先になるでしょう。
お礼
そうですよね、インバーター視点では分かりませんが、計算シミュレーションの精度向上は大きいですよね。きちんとしたハードでレールの上を走らせれば、600キロどころは無いかも知れませんね。もちろんリニアの有用性もあるのでしょうが・・・ ありがとうございます。だんだん、納得領域に入ってきました。
- gsr-xbs
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わたしも何かでそのような記述を見た記憶がありますが、粘着力を左右する垂直荷重が車両の重量のみで計算されていた様な気がします。 東海道新幹線0系のデビューの頃は風洞実験はやっていたでしょうが基本的にドラッグの削減のみを考慮していたみたいで、現在はダウンフォースも考慮した空力開発も行いますから高速時の垂直荷重も増え粘着力も向上したのではないでしょうか?。
お礼
なるほど。新幹線構想が出来る前であれば、戦後すぐのことだったでしょうし、細かい計算が出来ず、300キロというラインを引いたのかもしれませんね。 もしかしたら欧州では、そういった理論は広まらず、車輪による高速化が継続的に研究されていたのかも知れませんね。 長年の疑問解消という点では、一体誰が言い出したのか、根源を知りたいところですが、もう過去の理屈になっていて、歴史に埋もれちゃっているかも知れませんね。 ご回答、ありがとうございます。
お礼
時速300キロみたいな世界は、ほとんど実現出来ない、空想領域だっただろうし、それを実証するだけのネタも乏しかったんでしょうね。再粘着の話し、初耳でした。確かにこういった技術は、まったく想定していなかったでしょうね。面白そうなので、後で調べてみようと思います。 リニアモーターカーの話しになると、この車輪粘着による速度限界の引用がたびたびありますが、もうそろそろ、このコメントは止めても良いのかも知れませんね。 面白いキーワード、ありがとうございました。