改正臓器移植法により尊厳死が自由にできる?
改正臓器移植法により尊厳死が自由にできる?
現行では、脳死の患者がいて、治る見込みがまったくなく、家族も希望しているのに尊厳死は認められていないと思います(そのように理解しているのですが、もし尊厳死が認められる方法があればあわせて教えてください)。したがって、患者もそのままだし、家族も治療の精神的、経済的負担はそのままずっと続いていくと思われます。
ところが改正臓器移植法により、患者が明示的に臓器移植を拒否していなければ、家族の同意で臓器移植が認められるようになりました。これにより、尊厳死が自由にできるようになったと思われます。
すなわち、家族側にしてみれば、「治らないなら、さっさと治療を中止したい。でも尊厳死をお願いすると医者から同意されない」という場合、同法により治療中止の要件が整ってしまうことになります。「そういえば、父親は大昔に、自分が死ぬときは臓器を提供したいといっていたような気がしないでもない、証拠はないけど。」といえば、それだけで実質的に当初希望していた尊厳死が実現できてしまうことになります。
何かとても怖い気がします。家族が脳死患者をもう不要だと思えば、家族の意思で患者を生かすも生かさないも判断できるように法律が変わってしまったとしか思えません。臓器提供しなければ尊厳死が認められないのに、本人の明示的な意思がないのに、家族の一言で(臓器を提供することにより)尊厳死が認められるというのは違和感を感じますが。かなり直接的な言い方をしていますが、家族も患者も臓器提供にはなんら関心は無い、でも早く延命治療を中止したいので、臓器提供を理由にするということにつながらないでしょうか?
それとも、脳死患者の場合、今まで尊厳死が認められなかったが、家族の負担、治療に要する国庫負担など総合的に考え、やむをえないということなのでしょうか?
もちろん、今回国内初の例となった方々のことを言っているわけではありません。ただ、今回の事例をみていて、今後、臓器提供を理由に延命治療中止件数が急増するのではないかと素朴に思っただけです。