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入力電圧の立ち上がり時間
周波数帯域100MHzのオシロスコープにステップ入力電圧を加えたとき、立ち上がり時間はいくらに見えるか。又、実際の波形とオシロスコープ上の波形の立ち上がり時間の誤差が10%以下となるのは入力電圧の立ち上がり時間がいくら以上の時か。 という問題なのですが全然分からなくて困っています。 分かる方がいらっしゃいましたら教えてください。 お願いします。
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エバース・モルでお答えしたものです。この種の質問は物理学か科学のほうがいいです。 トランジスタのSPICEモデルを質問するくらいだからその方面の方ですね。 【周波数帯域と時定数の関係】 まず周波数帯域100MHzというのは、資料[1]の5ページ図6にあるように、利得が1/√2 = 0.707 なる周波数が100MHzということです。このような特性を抵抗とコンデンサで作ると、以下のようになります。 Vin ─ R ─┬─ Vout C GND ───┴─ 【図1】 入力電圧 Vin に対する出力電圧 Vout の関係は Vout = Vin/( 1 + j*ω*C*R ) ω= 2*π*f ( f は周波数) です。これは位相も含んだ式ですが、信号の大きさだけを考えると I Vout/Vin | = 1/√ { 1 + ( ω*C*R )^2 } となります。これが図1の回路での利得の大きさの周波数依存です。この利得の大きさが 1/√2 に周波数を fc (Hz) とすれば C*R = 1/ (2*π*fc ) --- (1) となります。例えば C = 100pF、R = 15.9Ωのときに fc = 100MHz のローパスフィルタになります。この C*R のことを時定数といいます(周波数の逆数に等しいので単位は「秒」です)。周波数帯域100MHzのオシロスコープの時定数は 1/ (2*π*fc ) = 1.59E-9 s = 1.59 ns になります。 【立上がり時間と時定数の関係】 図1の回路の Vin にステップ電圧を加えたとき、抵抗 R に流れる電流は I = ( Vin - Vout )/R --- (2) コンデンサに流れる電流も同じ I ですから、コンデンサの電圧は Vout = (1/C)*∫I dt --- (3) 式(2), (3) から dVout/dt = ( Vin - Vout )/( C*R ) t = 0 のとき Vout = 0 とすれば、この解は Vout = Vin*[ 1 - exp{ -t/(C*R) } ] --- (4) となります。t = 0 のとき Vout = 0、t → ∞ で Vout → Vin になります。このC*R も時定数と言いますが、これは t = C*R のとき、Vout/Vin = 1 - 1/e = 0.632 になるという意味です。つまり図1の回路は同じ時定数 C*R の回路ですが、周波数帯域で考えるときには、1/( 2*π*時定数 ) が帯域幅(Hz)になり、ステップ信号を入れたときの応答で考える場合は、時定数だけ時間が経過したときに、出力信号の大きさが最終値の63.2%になっているということになります。 式(4)を使えば、立上がり時間と時定数の関係が分かります。立上がり時間というのは、Vout が最終値(Vin)の10%から90%になるまでの時間というのが定義です。Vout が t = 0 から最終値の10%になるまでの時間を t1、Vout が t = 0 から最終値の90%になるまでの時間を t2 とすれば、式(4)から 0.1*Vin = Vin*[ 1 - exp{ -t1/(C*R) } ] --- (5) 0.9*Vin = Vin*[ 1 - exp{ -t2/(C*R) } ] --- (6) 式(6)から t1 = -C*R*ln(0.9) = 0.105*C*R 式(7)から t2 = -C*R*ln(0.1) = 2.303*C*R したがって、立上がり時間 tr は tr = t2 - t1 = 2.20*C*R 時定数 C*R と帯域幅 fc の関係は式(1)ですから tr = 2.20*C*R = 2.20/ (2*π*fc ) = 0.35/fc --- (7) となります。この関係は資料 [1] の13ページに出ています。 fc = 100MHz のとき tr = 3.5 ns ですから、周波数帯域 100MHz のオシロスコープにステップ入力電圧を加えたとき、立ち上がり時間は 3.5 ns に見えます。 【実際の波形とオシロスコープの立上がり時間の関係】 オシロスコープの入力にステップ信号でなく、立上がり時間 tr1 の信号を入れたとき、オシロスコープ上の波形の立ち上がり時間 tr は tr = √( tr0^2 + tr1^2 ) --- (8) で表わされます。tr0 はオシロスコープ自身の立上がり時間で、式(7)の tr のことです。資料 [1] の14ページにも式(8)と似た式が出ていますが、14ページの式は、入力信号はステップ信号で、プローブによって波形がなまったということを想定したものです。 式(8)の tr と tr1 の差が10%以内ということは tr ≦ 1.1*tr1 ということです。したがって √( tr0^2 + tr1^2 ) ≦ 1.1*tr1 → tr0^2 ≦ 0.21*tr1^2 → tr0 ≦0.46*tr1 → 2.2*tr0 ≦tr1 tr0(オシロスコープ自身の立上がり時間)が 3.5 ns なら 信号の立上がり時間 tr1 が 7.6 ns 以上であれば、誤差10%以内となります。
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- inara1
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前の質問の回答で理解できたと思ったのですが。参考URLに図示しました。 遅延時間は立上り遅延と立下り遅延とがありますが、図では立上り遅延だけ示しています。リンギングは、理想波形を中心に振動したような波形を指します。
お礼
ありがとうございます。 あまり分かりやすい図が無くて理解しにくかったのですがこれは分かりやすくて助かります。 この図をみて自分で調べた説明を見たら理解できました。 度々丁寧に教えていただき本当にありがとうございました。
お礼
度々ありがとうございます。 私は集積回路を勉強していて、これは計算機回路の問題です。 どうも立ち上がり時間、立ち下り時間、遅延時間やオーバシュート、アンダーシュート、サグ、リンギングについて理解できていなくて今お聞きしたのは(2)の問題で(1)の問題は、 パルス波形の立ち上がり時間、立ち下り時間、遅延時間の一般的な定 義をパルス波形を描いて示せ。また、実際のパルス波形は理想的な矩 形波の波形からは相当に崩れる。オーバシュート、アンダーシュー ト、サグ、リンギングとは何か。やはり、波形を描いて示せ。 という問題だったのですが、いまいち波形の形の特徴について理解していなくて、やはり(1)の理解が足りないから(2)も解けないのでしょうか。 もし面倒でなかったら(1)についても教えて頂けないでしょうか。 お願いします。