労災における通勤途上災害については既に述べられていますので、この点には触れずに回答いたします。
交通費の定めは、かなり会社ごとにバラツキがあります。
1.現実の交通手段を問わず、公共交通機関の運賃(定期券代)で支給
2.現実の交通手段を基本として、交通手段ごとの実費を支給
3.公共交通機関を基本として、例外的に自家用車通勤を認める(いずれも実費相当)
4.公共交通機関以外は認めない
5.・・・
「会社側には公共乗り物の交通費を申請して,実際には車で通っている」について、それぞれで見ていくと、1のパターンでは何ら問題になりません。2のパターンでは(実費の含む範囲にもよりますが)金額の多寡で「実際と異なる多い方を受け取っていた」のであれば、詐欺にあたります。3のパターンでは、「例外」の場合は然るべく届出や許可願を要するものと思いますので、詐欺だけではなく就業規則違反になります。4は3と同様ですが、より一層、就業規則違反の程度が重いことになるかと思います。
企業が従業員に公共交通機関で通勤するように命じる場合は、単にコストの問題なのではなく、リスク管理の一貫です。公共交通でも事故はありうるのですが、以下の点を考慮して公共交通を義務付けたり、原則としていたりするものです。
(1)自動車通勤は道路事情によって影響を受けやすく、出勤時間遵守の期待が低い
(2)自動車事故は発生確率が高く、従業員が直接の加害者・被害者となる
・事故により(治療や勾留のため)一定期間の就業ができなくなる可能性がある
・事故の加害者となると、場合によっては会社のブランドイメージを損なう
・企業は社会的存在なので、社会的に批難される者を従業員として抱えたくない
(3)会社の近隣の住環境から、自家用車通勤を極力回避するよう求められている
(4)・・・
従業員は会社に「安定的に完全な労働力を提供する」という労働契約上の義務を負っているのと同様、会社も労働力を安定して受領できるようにするため、労働者に労働契約における必要な条件をつける場合があり、その条件に反する労働力は労働契約で求める労働力とは違うことになります。
お礼
この場をお借りしまして たくさんのご意見ご回答,どうも有難うございました.