No1です。回答の「閉鎖経済」という前提条件を忘れないでください。
国内に大量の金が流入した場合、閉鎖経済(鎖国状態=国際的安定は意味がない)であるならば、インフレが起こります。
海外と民間ベースの貿易が比較的自由なら(=鎖国状態でない)なら、大量の金があるところ=国際通貨があるところ=購買力のあるところなので、外国から物資が大量に流れ込んできます。(その代金として金は海外に流出。国際社会に流通している金の量は同じ。清から日本を経て海外各国へ。)
つまり、<金本位制では金の価格の国際的安定(=閉鎖経済ではない)が、兌換できる紙幣の価値を支えて、インフレになりにくい>ということになります。
言い変えると、貿易がある程度自由なら、日本の金貨だけ安くなるということは、起こらないということです。
実例1.ヨーロッパの価格革命
アメリカ大陸から極めて大量の銀がヨーロッパに運び込まれました。スペインは銀=富と考え、アメリカから持ち帰った銀で通貨を大量に生産したので、ヨーロッパ全体の生産物と銀貨のバランスが大幅に変化しました。
その結果、銀の価格が大暴落してインフレが起こり、スペインは考えていたほどの富を手にすることはできませんでした。(新たな銀貨の大量生産が国際通貨の激増となりました。=金と銀の交換比率が約1:25になりました。)
実例2.
江戸時代、鎖国によって守られていた日本の通貨体制(金銀本位制、関東は金、関西は銀)の下で、金と銀の比率は約1:5でした。
ところが、この状態で鎖国を解いたので、海外から銀を持ち込んで日本で銀を金に換え(交換比率1:5)、その金を清の港まで持っていって、金を銀に交換すると(交換比率1:25)あっという間に5倍のもうけになります。
そのため、幕末に小判が急減、江戸ではインフレが起きて、あわてて金と銀の交換比率を海外諸国と同じにしました。
補足
金本位制では金の価格の国際的安定が、兌換できる紙幣の価値を支えて、インフレになりにくいとおもうのですが、日本の金貨だけ安くなるというのはどういうことでしょうか? 日本国内に残った金額はたいして多くなかった、ということは当然インフレにはなりにくいと思います、ですがある本には、このインフレが起こらなかったのは金本位制のおかげだとありました、そこで質問が変わっていしまうのですが、金本位制での金が大量に流入した場合、インフレはおこりにくいのですか?