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不可逆過程って?
理想気体が真空中へ急激に膨張する過程が不可逆過程なのはどうしてですか?? 言葉だけより数式を交えて説明していただければありがたいです。
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不可逆過程では在りません。理想気体の間には相互作用が在りませんので、どのような初期条件でもニュートン方程式を簡単に厳密に解けます。その場合、膨張率は初期条件を変えれば初期条件ごとに全然違った値を持ちます。ですから理想気体には良く定義された膨張係数なるものが存在しません。一方、理想気体ではなくて、気体分子間の間に衝突が在る場合には、ほとんどの初期条件では初期条件をどのように選んだとしても、一度どこかの粒子が衝突を起こすと、見る間に全体に衝突が起こり出し、その後はどのような初期条件を選んだかに依らずに同じ膨張率で膨張し始めます。この場合には気体の状態を表す分布関数は気体分子運動論的方程式と呼ばれる時間の向きの反転に関して対称性を破った方程式に従います。この対称性の破れは衝突項と呼ばれる項から来ます。理想気体には衝突項がないので、時間の対称性を破ることができず、したがって不可逆過程ではないのです。 不可逆性とは、そのまま時間を未来に追ってみた場合に単に運動が元に戻らないと言う意味ではなく、その状態を表す運動方程式の中に時間の対称性を破る部分が在る場合を言います。 不可逆性の最も特徴的なことは、上の例の膨張率などの例のように、初期条件にはよらない時間スケールが存在すると言うことです。この時間スケールを特徴付ける物理量のことを輸送係数と呼びます。そして時間スケールが定義できると言うことは、その運動の解が時間に関して指数関数に従って減衰なり増大する部分が在ると言うことです。指数関数の指数のなかの時間に対する実数の比例定数のことを輸送係数と呼ぶのです。上の理想気体の例では、輸送係数は存在せず、ニュートン方程式を解いてみれば簡単に判るように、膨張の過程は時間のベキ関数で表されています。ですから理想気体では、指数関数の指数には実数の部分には時間に比例する項が存在していないのです。 力学解のなかに指数減数をする項が出てくる根拠は、ポアンカレの共鳴特異性と呼ばれる、運動方程式の解の中の特異性に原因が在ります。この特異性は粒子間の相互作用が在るときにのみ出てきます。そしてこの共鳴特異性が時間の対称性を破る、すなわち不可逆過程の原因になっているのです。理想気体ではなくてたとえ相互作用がある系でも、相互作用の形が特殊で共鳴特異性の無い系では初期条件に依存しない時間スケールが存在せず、したがって不可逆過程は起こりません。
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#2のお答えにあるように、ポアンカレの定理、「理想気体をより大きな真空空間に開放するとき、充分長い時間を取れば全ての分子が元の体積内に戻ってくる瞬間が必ず存在する」がある以上、不可逆過程とは言えません。
- buturikyou
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統計的諸問題に「エントロピー増大の法則は100%正しいのかどうか?」という命題がございまして「どこまでいっても収縮する確率は0にはならないのにどうして不可逆を主張するのか?」等の意見が後を絶ちませぬ! 1)大数の法則と同じく納得するかどうかと言う本人自身の問題だけである 2)気体の圧力は器壁に垂直に働くものであるので境界条件を失って回りが真空ならば膨張するのが自然 3)収縮過程を許せば熱伝導の一方性を失うことになるがそのような自然現象は見たことがない ぐらいですかね?
基本的に時間が逆でも物理法則は問題なく成り立ちます。 特に、不可逆過程っていうのは式ではOKなのに現実では成り立たない物の典型例。 ですから、数式を交えた説明は不可能かと。 数式上では「理想気体が真空中で急激に膨張する過程は可逆過程」 >たしかね