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創薬はなぜ時間がかかる?

創薬は10年以上かかるといわれていますが、 なぜそんなに期間がかかるのでしょうか? ゲノム創薬が注目されていますが、なぜゲノム を用いると創薬期間が短縮されるのでしょうか? 仕事の都合で、基礎的なところから勉強している のですが(システムエンジニアです)、ふと疑問に 思ったので書いてみました。 よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

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  • SAT40
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回答No.3

医薬品の研究者です。皆さんゲノム創薬を少し甘く考えていらっしゃるかもですよ(笑)。 ええと、まずご質問の創薬に10年以上という件は、創薬ではなく開発期間全体のことをおっしゃっているのだと思います。 通常の合成品だとすると、その内訳は、 1)合成+薬理作用スクリーニング・・・2~4年 2)非臨床毒性試験など臨床の前に絶対確認が必要な試験・・・3~4年 3)臨床試験・・・5~6年(患者さんの人口や、必要な治験投与期間により左右されますので、もっと短いことやもっと長いこともあります) 4)申請してから厚生省の許可が下りるまで・・・最低1年以上 ざっとこんな感じですが、期間は例えば各製薬会社の資本力・開発力の大小によってもっと短縮できるかもしれません。 さてゲノム創薬ですが、あくまで現時点の開発環境での話ですが、いわゆる創薬である1)の期間は短縮できるでしょう。但し2)3)4)については、ガイドラインなどの基準や厚生省の指針などがありますのであまり期間的には変わらないような気がします。 それよりもっと考えなければいけないのは、今まで開発していた薬剤は、遺伝的な話は考慮しない万人向けの薬剤であったのに対して、ゲノム創薬で作られた薬剤には「遺伝子」という縛りが入ることです。例えば、ある疾患の薬剤をゲノムで作ったとして、「診断された疾患名は同じなのに、その薬剤創製の基になった遺伝子と同型の遺伝子をもつ患者さんにしか使用できない??」みたいな話が起こってくると言うことです。そうすると、多額の開発費をつぎ込んで薬剤を開発してはみたものの、「患者数は少ない=開発費回収困難」みたいなことになってきます。従って、ゲノムでは最終的に患者さんの遺伝子型にあわせたテーラーメード医療(要するに多品種少量生産)が必要になってきますが、これは残念ながら現在の医薬品開発環境では採算的に引き合わない話です(経営が成り立ちません)。もっとも開発環境は法規制なども含めて徐々に整ってくるとは思いますが(というより整わないとにっちもさっちもいきません・・・笑)。 あと、治験するということを考えるなら、同じ遺伝子タイプをもつ被験者さんをそれ相当の数集まって頂くのも結構つらいかと・・もっと言えば、遺伝子を解析されてまで治験に参加してくださるかどうか???知らない方が幸せであった部分まで明らかにされて嬉しいかどうかという問題もあり、倫理的にも??ですよね。まだ法的にも未整備な部分ですし・・・・ まだまだ書けますが、長くなりますのでこの辺で・・ご参考になれば幸いです。

ishi
質問者

お礼

実際に携わっている方からのご意見、ありがとうございます。参考になります。 本で読むとバラ色の世界が待っているといわんばかりの ゲノム創薬ですが、実際は茨の道のようですね。 私自身はバイオインフォマティクスという分野をやること になりそうですが、バイオインフォマティクス自体もフ ロンティアであるし、バイオインフォマティクスの対象と なるゲノム創薬などの分野もフロンティアという気がしました。

その他の回答 (2)

  • bhoji
  • ベストアンサー率53% (1514/2852)
回答No.2

今までの薬品は科学的な合成であったり、自然界からの抽出物であったりしますが、すでに長年の開発で 化学的に未開発の領域が段々と少なくなってきています。 それでも世界の各社が膨大な数の合成を行い、その基礎的な特徴を調べ毒性、危険性、逆に有効性も 確認し徐々に有用な物を絞り込んでいきます。 これだけで数年を要しますし、どの病気に有効な物かを確認して更に絞り込みます。 そして、医薬品と申請する物は万分の一や十万分の一とか言われています。 申請された物も2-3年の各地での臨床試験を経て、効果のあるものは認可されます。 だから、10年くらいかかりますし、その費用は利用できなかった研究や検査を含めると100億円近く かかると言われています。 ゲノムと言うかバイオテクノテクノロジーの物は最初から目標(病気など)が解っているいるので、 それに合わせた技術の選択とそれがうまく実施できるか、またはそれに合う新しい技術やノウハウが 作り出せるかにかかっています。 その完成に至る階段の数は、バイオの場合には少ないと言われていますので大きな階段を見つける事が できたら一気に製品化できる事がたびたびあります。 それと目標は違っても汎用技術は同じ事が多いので費用面で開発が少なくて済みます。 例えば、遺伝子を切ったり、繋いだりする酵素技術は基本となっています。 そのため、開発している会社は何を目標にしているかも、まったくの秘密にしている事が多いです。 目標が決まっているので、試験の回数や年数が少なく申請までも早くできるのだと思います。

ishi
質問者

お礼

bhoji様、すいません、#01の回答を読んだら、 補足の質問が解けました。上から読んでました。 すいません。下から読むべきでした。 大変参考になりました。ありがとうございました。

ishi
質問者

補足

これは、おおざっぱにいうと、通常の薬品は、原因はわからないけれども、飲んだら効いたみたいな感じなので、行き当たりばったりというか、大量の組み合わせが必要だけれども、ゲノム創薬であれば、遺伝子がターゲットとわかるので、創薬期間は短くなるということでしょうか?

  • schalk
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回答No.1

以前は、薬効のありそうなものを物質のほうから探していました。莫大なサンプルの中から。で、それがどのように効くのか試験してみるのですね。 その効果がありそうなものを動物実験して、その中のほんの一部だけが、臨床試験にまわされるのですが、基本的に3段階の臨床試験が行われます。臨床試験までたどり着いても、実際には薬にならないものの方が多かったりもします。(特に副作用の強い抗がん剤なんかは。) ゲノム創薬は薬効のありそうな物質の探し方が逆なのです。遺伝子などの情報から、受容体の情報を得て、そこから探していくわけです。 例えば、咳を止める薬を作ろうと思います。Aという受容体があって、それがなにかに刺激されると咳が出るということが、わかったとします。その受容体のタンパク構造などの情報をゲノムなどから、取り出します。その情報を元に、その受容体を遮断するにはどんな構造の化学物質がよいか、どんな構造なら、長い時間遮断するにはどんな構造にしたら良いのかな?とか、考えていくようにするのです。 その後の、臨床試験とかは同じですが。 ながながと書いてしまいましたが、ゲノム創薬のほうは、大量のサンプルをかたっぱしから、探す必要がないので早く開発が進むのだと思います。

ishi
質問者

お礼

大変参考になりました。 ありがとうございました。

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