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英語で歴史上の人物を話題にするとき、時制はどうなる?
「北斎は詩人ではなく浮世絵画家です」を英訳したとき (a) Hokusai was not a poet but an ukiyoe painter. (b) Hokusai is not a poet but an ukiyoe painter. (a)(b)のうちどちらになるのか、ということをめぐって、友人とちょっとした小競り合いがおこっています。 北斎は既に亡くなっているので、彼が実際に浮世絵画家であったのは過去のことです。ですから、過去形で表現するのが当たり前だと私は思うのですが、 友人は「北斎が浮世絵画家であったことは、現在でも広く一般の人々の意識の中にある変わらない事実だろう。彼の浮世絵は今でも売買されているわけだし、まるで生きている人間として話題にすることもあるはずだ。だから現在形でも成立する。日本語でもそうなっているのだから問題はない。」と断言しています。 一体どちらが正しいのでしょうか? また、仮に(a)(b)どちらも成立する場合、そのニュアンスや状況にどのような違いがあるのでしょうか? 現在形と過去形という初歩的な質問かとは思いますが、お互いに相手を納得させるだけの論を持ち合わせていません。どうか解説をお願い致します。
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はじめまして。 ご質問1: <一体どちらが正しいのでしょうか?> どちらも正しいです。 ご質問2: <仮に(a)(b)どちらも成立する場合、そのニュアンスや状況にどのような違いがあるのでしょうか?> 1.「永久不滅の恒常的事実」か、「過去の一点のみの既成事実」かの違いです。 (1)例えば、彼の職業を「永久不滅の恒常的事実」として論じる場合は、現在形が使われます。 例: He is a great poet in the 18th century. 「彼は18世紀の偉大な詩人だ」 これは、過去の人物であっても「18世紀の偉大な詩人」という肩書は、未来永劫についてまわる不変の称号です。 (2)話し手が主観的にこのニュアンスで述べる場合は、恒常的現在が使われます。 (3)一方、話の状況設定を「過去」に持って来て、その時代に起こった出来事などについて、淡々と過去の事実を述べる場面では、他の過去の事実と時制を合わせることもあり得ます。その場合は、「過去のある時点での既成事実」として述べることになります。 例: He was a great poet in that period. 「彼は当時の偉大な詩人だった」 2.また、描写法に見られる、narrative present「現在話法」とnarrative past「過去話法」の違いもあります。 (1)現在話法を用いると、過去の状況をまるで現在起こっているかのように話すため、生き生きとリアリティのある状況が感じられ、聞き手・読み手を話の中に引き込む効果があります。 例: 「頃は江戸。ここに一人の男がいる。彼は絵を描いているらしい。浮世絵というそうだ。」 つまり、「江戸時代」という過去の時間を現在に持ってきている、または「江戸時代」という過去の時間に、聞き手・読み手を引き戻しているのです。のです。 聞き手・読み手が話しの状況の中にいる、という設定が身近でより主観的な感想を与えることになります。 (2)過去話法を用いると、過去の時間と現在の時間との間に隔たりがあることを認識させます。 例: 「頃は江戸。ここに一人の男がいた。彼は絵描きだった。それも浮世絵師だった。」 従って、聞き手・読み手は現在や自分の周りとは離れたところで起こっている出来事として、客観的に冷静に状況を眺めることができます。 3.以上をまとめると (1)現在形、過去形、どちらも可能 (2)現在形だと、 1)永久不滅の恒常的事実を表し 2)臨場感があり身近で 3)主観的、感情的な判断になりやすい (3)過去形だと、 1)過去の1時点に起こった既成事実を表し 2)距離感があり自分とは関係なく 3)客観的、冷静な判断になりやすい となります。 以上ご参考までに。
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- Willyt
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それは両方とも正しいのです。単に北斎が優れた画家だったということを言うだけなら過去形になるのですが、現在形にすると、それは古今東西で普遍的に認められた事実だということになるのです。ですからそれを時と場合によって使い分ければいいのです。
お礼
回答ありがとうございます! なるほど、単なる過去の事実か、現在にも通じる普遍的事実か、というニュアンスの違いがあるんですね。 簡潔でわかりやすい説明でした。
- sanori
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こんばんは。 (a)を支持しているあなたの考えが正しいです。 http://en.wikipedia.org/wiki/Hokusai ほぼ、過去形だらけです。 ただし、冒頭部分に、 Born in Edo (now Tokyo), Hokusai is best-known as author of the woodblock print series Thirty-six Views of Mount Fuji (c. 1831) which includes the iconic and internationally recognized print, The Great Wave off Kanagawa, created during the 1820s. という文があり、この文の動詞は“is best-known”と現在形になっていますけれども、 その理由はおわかりですよね? 以上、ご参考になりましたら。
お礼
回答ありがとうございます! 確かに、リンク先のページでは過去形が多用されていますし、現在形で表現されている部分も、私の考える用法(現在の状態)と合致しますね。 ただ、「例示」だけではちょっと納得しづらいというか…友人の意見を否定できるだけの根拠とはならないと思います。すみません。 わざわざ調べてくださってありがとうございました。
お礼
丁寧な回答ありがとうございます! なるほど、単なる過去の事実ではなく、恒常的普遍的な事実として意識されている場合には、現在形が使われるのですね。 この回答を見るまで「話法」による違いなども見落としていましたし、「主観的・客観的視点」という切り口も思い浮かばなかったので、大変参考になりました。 解説、例、まとめ、どれも非常にわかりやすかったです。ありがとうございました。