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熱伝導度の基礎式より

この説明文で(1)から(2)を導出してください。 内半径がrA、外半径がrBの無限に長い円筒がある。 始めに円筒がTiで均一、一定に保たれている。 次に円筒内径側の面に均一、一定の熱流速qが与えられると 熱の移動は半径方向のみの1次元だから (∂^2T)/(∂r^2)+1/r・(∂T)/(∂r)=0・・・(1) T:温度、r:円筒中心部からの半径距離 この式の解が 2πkl(T0-T)=Qln(r/r0)・・・(2) T0:円筒内径側の面(r=rA=r0)の温度[K] k:円筒を構成する材料の熱伝導度[W/m・K] l:円筒長さ Q:円筒内径側からの放熱量[W]

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  • Umada
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回答No.1

最初に円筒の温度が均一Tiで、そこに熱流qを与えるので本当は時間とともに各点の温度はだんだんと変化して定常に至るわけですが、この問題では定常状態の温度分布だけ求めればよいようですね(この場合初期の温度Tiは不要ということになります)。また外壁温度は境界条件として使わないようですのでrBは解に登場しません。 さて問題の微分方程式ですが、熱の移動が半径方向の1次元であることまで使ってよいので、温度分布を与える関数Tはrのみを変数に持つことになります。よって(1)式は常微分方程式 (d^2T/dr^2)+(1/r)・(dT/dr)=0   (1') に書き直せます。これは直ちに T''(r)+(1/r)(T'(r))=0 となります。これを解くと T=C0 ln |r| +C1   (2) と求められます。| |は絶対値記号、lnは自然対数(底がe=2.71828...)、C0、C1は定数です。解き方が必要なら最後に付けておきましたので参考にして下さい。 計算のやり易さの目的で(2)を T=C2 ln(r/r0) +C1   (3) と書き直すことにしましょう(数学的には全く同じ式です)。C2は新たな積分定数です。またrやr0は正の値だと分かっていますので絶対値記号は省きました。 さて今度は積分定数の決定が必要です。そのためには ・ r=r0でT=T0 ・ r=r0で熱流束がq であることの2つを使います。(2階微分方程式ですから境界条件が二つ要ります) まず境界条件「r=r0でT=T0」を用いると、(3)の定数C1を決定できます。 T0=C2×ln(r0/r0)+C1   (4) ですので、直ちにC1=T0と求められ T=C2 ln(r/r0)+T0   (5) となります。 次に温度勾配ですが、まずスカラー関数Tの勾配(グラジエント)は円筒座標系では r成分(径方向) ∂T/∂r   (6a) θ成分(周方向) (1/r)(∂T/∂θ)   (6b) z成分(軸方向) ∂T/∂z   (6c) です。 この問題では周方向、軸方向の温度変化はないものとしていますから、(6a)だけ考えればOKです。 内壁(r=r0)での温度勾配は∂T/∂rを求めてr=r0を代入したものです。(5)(6a)より温度勾配は dT/dr=C2/r   (7) であり、これにr=r0を代入するとC2/r0です。 さて一般に温度勾配ΔTのところでの熱流束Fは F= k ΔT   (8) です。 この問題での熱流束qは、発生熱量Qを内壁の面積2π×l×r0で除したものですのでこれと(7)を(8)に代入し -Q/(2π l r0) = k C2/r0   (9) を得ます。(温度勾配が正の値のとき、熱は負の方向に流れることに注意してください) これよりC2 = -Q/(2π l k)と求められます。 これを(5)に代入して T-T0= -{Q/(2π l k)} ln(r/r0) よって (2π l k)(T0-T)=Q ln(r/r0)  (ra≦r≦rb) (10) となります。 計算間違いがあるかも知れませんので、念のためご自身でも式をチェックしながら読んでいただければ幸いです。 -------- 【微分方程式(1')の解き方】 rheartさんは既にご承知だと思いますのでお節介ですが、念のため。 T'(r)=X(r)などと置いて階数を下げれば X'(r)=-(1/r) X(r) となり解ける形であることは自明です。 以下お節介ではありますが、X'(r)=dX/drですから dX/X(r)=-dr/r  (A1) 両辺を積分して ln |X|=-ln |r|+A Aは積分定数です。書き直して X=B/r   (A2) を得ます(Bは新たな積分定数)。 X=T'(r)だったわけですから、さらに両辺をrで積分すればTが求められます。 これは直ちに T=B ln |r| +C   (A3) と解かれます。Cは当然ながら新たな積分定数です。