はじめまして。
ご質問:
<この文の、少なからず とはどういう意味ですか?>
ここでは「多少なりとも」「少しは」の意味で使われています。
1.「少なからず」は元々文語表現で、「少なし」の未然形「少なから」+否定の助動詞「ず」の連用形からない、連用修飾語として述語にかかる用法で使われています。
2.現代口語にすれば「少なくない」という二重否定になっているのです。
3.二重否定は、一種の強調の用法があります。つまり「少なくない」=「多い」という意味で使われることがあります。
例:
「この通りは事故が少なくない」=事故が多い
4.また、「少ない」には上記の例のように「頻度」について使われることもありますが、一方で「程度」について使われることもあります。感情を表す言葉などでは、この程度の用法が使われます。
例:
「喜びが多い」「感謝の気持ちが少ない」
5.ただ、この二重否定の強調用法が必ずしも適用されるわけではなく、前後文脈や状況、話し手の主観によっては、単なる「軽い肯定表現」として使われることも多々あります。
例:
「彼には少なからず感謝の念を抱いていた」
=「彼には多少の感謝の気持ちはあった」
6.ご質問文は前後文脈からすると、「淋しい気持ちが多い」というよりは「淋しい気持ちを多少なりとも感じている」「淋しい気持ちを少しは感じている」といっている語感が感じられます。
「多少なりとも」「少しは」という語を使うことで、「さみしい気持ちを感じている」ことに焦点をあて、その意味では一種の強調効果が出ているのです。
以上ご参考までに。