ややこしい部分を思いきり単純化すると、以下のように説明できます。
不良債権というのは、平たく言えば回収できない債権です。金融機関は、言うまでも無く金融(貸し付け)を業とします。この銀行が多額の不良債権を抱えるということは、一般の会社で言えば不良在庫を抱え込んでいることと同じです。不良在庫が多ければ倒産します。不良債権が多い銀行は、それだけ倒産のリスクが大きいので、銀行自身が他の銀行などから資金を融通してもらうにも高い金利を条件として負担しなければならないことになり、いっそう経営的に苦しくなります。
銀行が倒産するような噂が流れるだけで「取り付け騒ぎ」がおき、預金者が預金の引出しに殺到し、それによって銀行の支払可能な現金が底をついてしまうことがあります。なぜなら、銀行は預金額の何倍もの融資を行っており、銀行自身が債務を履行できない(預金の払い出しに応じられない)ことになるからです。そうなると加速度的に信用不安が進み、その銀行は倒産するしかなくなります。
一般の企業の場合は債権者が仕入先などの取引先や資金の借入先で、企業倒産によって連鎖的に倒産が広がることがありますが、銀行の業務は企業などに資金を供給(融資)することですから、銀行が倒産すると多くの企業への資金供給がストップし、資金供給を受けていた企業は運転資金が不足して連鎖倒産が広がります。その影響は単なる企業が倒産した場合よりも遥かに大きなものです。しかも、銀行の場合には仕入先=不特定多数の預金者ですから、銀行の倒産の影響は一般の人々にも直接の影響があり、ペイオフになれば預金は全額の保護を受けられません(つまり、預金した金額の一定額を超えた部分は諦めなければならないのです)。これが消費マインドを大きく冷え込ませる影響もあります。