いろいろいわれていますが...
結論からいえば、違法ではないと解するのが適当です。
ロゴ、商標に関しては、写真撮影は「商標の使用(商標法2条3項)」ではありませんから、まったく問題ありません。
建築物も著作権の対象となり得ますが、「建築の著作物」において「複製する」とは、「図面に従って建築物を完成すること」を意味します(著作権法2条1項15号ロ)。したがって、建物を写真撮影することは「建築の著作物の複製」ではありませんから、自由に撮影して良いことになります。
(この辺りの定義規定を理解していない回答は、かなり酷いです。)
次に、店頭の「商品」は、基本的に著作物ではありません(実用美術品は、原則として保護されません)。したがって、写真撮影することは、自由です。
店頭の「ディスプレイそのもの」が著作物に当たるかは、かなり微妙です。棚や什器は実用品ですから、それ自体が著作物となることは、基本的にありません。また、ディスプレイ方法が一定の思想・感情に基づいて行われていることは疑いありませんが、それが美術的価値のあるものであるかは別の話です。
そして、仮に著作権が認められたとしても、法30条1項により、私的使用のために複製(=写真撮影)することは、無許諾で行えます。
もちろん、店舗の敷地内は、店舗所有者ないし店舗営業者の管理圏内ですから、敷地内(店舗内)で撮影することは、この管理権にもとづいて制限することができます(たとえば、博物館にある「ミロのヴィーナス(当たり前ですが著作権はとうに切れています)」の写真撮影を禁止できるのは、このためです)。これは、著作権の効力ではなく、所有権の効力です。しかし、敷地外には管理権が及びませんから、撮影することを制止する権原はありません。
また、業務妨害に関しても、偽計業務妨害罪(刑法233条)は「風説の流布」が構成要件なので写真撮影とはまったく関係なく、威力業務妨害罪(同法234条)にいう「威力」とは「有形力の行使」と解されていますから、ただ公道上から店舗の入っているビルを(まして風景の一部として)撮影したところで「有形力」とまでは評価できません(なお、刑法において類推適用が厳格に禁止されていることは言うまでもなく、したがって「何となく邪魔っぽい=威力」などというのは論理の飛躍も甚だしい話です)。
したがって、ガードマンの制止を無視して写真撮影しても、何の問題もありません(そもそも制止する権原がない)。
さらに、常識論で考えても、個人の住宅の姿形が面白いからといって撮影することと、万人が自由に出入りできる店舗を撮影することとでは、プライバシー侵害の程度に大きな差があります。個人の邸宅を撮影することがマナー違反であるかどうかという基準をもって、店舗の外観の撮影の適否を論じるのは、論理の飛躍があります。
なお、被写体について料金徴収ができる(あるいは現にされている)としても、その財産権を侵害しない限りは問題ありません。具体的には、店舗の写真が販売されていて、あなたが同じような写真を売ったために、もともと販売していた人の売り上げが落ちた、といった場合です。「撮影するだけ」でそのような事態が生じるはずはないので、やはり、問題ありません。
したがって、冒頭の結論の通り、問題ないと考えるのが適当です。
お礼
懇切丁寧なる回答に深謝いたします。 ただ、制止されるとなかなか撮りづらいですね。 この回答印刷しておきたいと思います。