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アメリカからみた円安とは?
今日本では円高と騒いでいますが アメリカからみたら 昔の110円程度で円高でないと言っているそうですが これはどういう意味ですか?
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1ドル95円だとものすごい円高であるかのようにマスコミが報道しているのは困ったことです。 そのせいで経済について無知な一般人が「今ドルを買えばほぼ確実に儲かる」と思い込んでいる。 為替レートの高低をナマの為替レートの比較で行なうのは誤りです。 たとえば「10年前に1ドル100円を切ったらかなりの円高と感じていたので、 現在でも1ドル100円を切ったらかなりの円高になったとみなして良い」 という考え方は完全に誤りなのです。 その理由は物価水準の変化を考慮していないからです。 米国の物価はここ10年で3割ほど上昇しました。 しかし日本の物価はここ10年で微少に下がっています。 すなわち、米ドルの米国内での価値は3割ほど下がっているが、 日本円の日本国内での価値は微少に上がっている。 10年前の1ドル100円は現在の1ドル130円に相当すると考えなければいけません。 実際には貿易財の物価水準で補整を加えるべきなので、 上の段落の見積もりは大雑把過ぎるのですが、 おおまかな考え方の方向としては十分に正しいです。 少なくとも現在の1ドル95円は10年前の1ドル95円よりはずっと円安です。 この点を誤解して10年以上前の感覚で「1ドル95円だとものすごい円高」と考えて 現在ドル買いに走っている人たちが痛い目に会う可能性がかなりあります。 結果的に儲かったとしても不合理で危険な賭けに運良く勝っただけとみなせます。 通貨の価値の変動はその通貨のインフレ率を見れば分かります。 インフレ率が高くなっている通貨はそれだけ速く価値が下がっているのです。 最近の米国の消費者物価上昇率は4%もあります。 サブプライムローン問題のマクロ経済への悪影響を緩和するために 米FRBはさらなる利下げをすると予想されるので さらに米国のインフレ率が上昇する可能性があります。 景気の減速が激しければインフレ率はあまり上昇しないかもしれませんが、 すでに現在の水準で十分に高いので要注意であることに変わりはありません。 海外の株式や債券にも投資している人が最近の下落相場にもかかわらず、 米ドル建てで計算すればそれほど資産価値が下がっていない、 と自分を慰めるのは誤りです。 なぜならその米ドルの米国内での価値自体が 現在どんどん下がっている最中だからです。 米ドルを米ドルのまま使えば安心だと思うのは誤りです。 なぜならその価値がどんどん目減りして行っているわけですから。 補足。一般に物価水準の変化の影響を除いた指標には「実質」という 形容詞を付ける約束になっています。物価水準の変化の影響を除く前の ナマの指標には「名目」という形容詞を付ける。 為替レートの高低は名目為替レートではなく、 実質為替レートを見て判断しなければいけません。 金利についても同様で、名目金利ではなく、実質金利を見るべきなのです。 この辺は経済のイロハのひとつであり、最初に身に付けておくべきマナーだと思います。 マスコミは経済についておそろしく無知なので有害情報を垂れ流し続けるわけです。
お礼
ありがとうございます。 大学で教えていらっしゃる教授のようで よく理解できました。 消費者物価CPIを考慮しないといけないのですね。 ドルは、まだまだ下落しそうですね。 80円でやっと円高といったところでしょうか。 95円の今の水準なら日本企業は、なんとかやっていけそうですね。 だだ将来サウジがドルペッグ制度を離脱したら 湾岸諸国も追随して基軸通貨としてのドルも 崩壊しそうですね。 その時の世界の覇権地図を考えると ぞっとしますね。 このへんのご見解をよろしければ プロフェッサーさんからお聞きしたいです。 よろしくお願いします。