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ミクロとマクロ的な見地による現象解析
現象を解析するには、ミクロ的見地とマクロ的見地があると思います。 例えば、物質の変位、応力等をマクロ的に解析する学問に連続体力学があります。逆にミクロ的に解析するには、分子動力学があると思います。しかし、分子動力学で多数の原子を解析するにはかなりの処理能力を必要とし、スーパーコンピュータでも数千程度といわれています。これでは量子コンピューターでも開発されないと実用性はない様に思われます。逆にいえば、その時の為に開発しているという意味では可能性はあるかと思いますが。。。 現状では方法論として、マクロ的見方が大勢と考えていいんでしょうか?
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>現状では方法論として、マクロ的見方が大勢? 目的はわかりませんが、何かの行動指針に関する判断材料を得たいのだと思いました。とすれば、コンピュータを持ち出すのも、そんなに見当違いとは私には思えませんが、#2さんの仰る事ももっともです。 じつは工学においても、ミクロとマクロの両面があります(物理には及びませんが)。例えば古典的な破壊力学は、連続体力学の立場で、等方一様な物体のどこかに疵があって、そこから応力集中と拡大が起こると考えますが、コンクリートのようなかなり粗い不均一体に対して、定量的にも満足できる結果を出すのは、かなり厄介です。 コンクリートは、セメント,砂,砂利からできていますが、最近は、構成粒子の粒径を考慮した応力場などを個々の構成粒子に仮定し、それを平均化して連続体力学にもっていくという、一種、統計力学のような事もなされているようです。 結局#2さんが仰るように、何をしたいのか?によって、ミクロ/マクロのバランスをとれる事のほうが、重要と思えます。もちろんコンピュータを使っても計算できないようなら、私はとりあえず、その方法は諦めます。
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- cyototu
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#2です。 1)の質問に関して: 量子力学の不確定性関係式は観測とは何の関係もありません。この関係式は、自然を記述する物理量は数や関数ではなくて、演算子、すなわち関数の関数であるということの一つの数学的な帰結を表しているのです。ご存知のように、数学的帰結と言う概念は、実験や観測という論理とは独立な概念です。にもかかわらず、ハイゼンペルグが不確定性原理を説明するのに、それを実験と結びつけてしまったので、この関係式の理解に混乱が生じてしまったのでしょう。 実際、ハイゼンペルグ方程式もシュレーディンガー方程式も、何ら不確定な要素を持たない決定論的な方程式です。ただし、これらの決定論的な基本方程式(すなわち基本法則)から得られる計算結果を、どのように実際測定され物理量の値と結びつけるかが、その基本方程式の枠組みの中では未だに判っては居らず、今のところ、物理学の基本法則とは独立な「観測の理論」というもう一つの原理に頼って何とか理解しようとしているのが現状です。 しかし、観測の理論を認めてしまうと、この宇宙は、物理学の基本法則と観測の理論というお互いに全く土壌の異なった2つの原理が存在することになってしまいす。そうなると、何処から何処までを基本法則にまかせ、何処らら何処までをそれとは別な原理に任せるかを、この宇宙はどうやって決めているのか、話がめちゃくちゃになってしまいます。したがって観測の理論が出てから80年を経た今日でも、ナノテクノロジーの工学者ならいざ知らず、物理学者達はフオンノイマンの観測の理論には満足していません。何とか基本法則の枠内だけで観測の過程も理解出来ないかと、多くの物理学者達が多大の努力を払っているのが現状です。 ニュートンの古典力学も量子力学も一般相対論も、それぞれ数学的には自分自身で閉じた論理体系になっておりますので、それぞれの枠内でのマクロ的な現象論的方程式をミクロの原理から理解することは原理的に可能です。そういう意味で、ミクロとマクロを結びつけるのに、統一場理論まで遡る必要は有りません。 具体的な例としてはナビアストークス方程式という現象論的方程式をニュートンの古典力学というミクロな物理法則の枠内だけて導き出すのは、原理的に可能なはずです。ただしそれには、不可逆性を一見可逆な基本方程式からどう導き出して来るかについて、未だに論争の絶えない物理学の基本問題の一つを解決する必要があります。 2)の質問に関して: 現象論的な方程式は、少なくとも与えられた状況の中では誤差の範囲内で実験結果を上手く説明しているはずですから、適用範囲内では物理学の基本法則と矛盾しているはずがありません。ですから、今出来なくても、将来いつかその現象論的方程式をその適用限界内という条件の下で、物理の基本法則から導き出されるときが来るでしょう。その時点では、その所謂マクロ的な現象論的方程式を、解析的に解こうが、数値計算で解こうが、そうして解かれた解はミクロな法則から解かれた解と呼ぶことが出来るでしょう。 今の段階では、多くの現象論的な方程式が物理学の基本法則と結びつけることが出来ず、したがって、その現象論的方程式の適用限界もはっきりしていないと言うことになります。それをはっきり認識してその方法論の特徴を表現しているのが「マクロ的方法」の意味であると、物理学者達は認識しているようです。 現象論的方程式をミクロなレベルから正当化するのは、いろいろな意味で重要なことですが、それは一般に途轍もなく難しいのが普通です。幸いにも、現今のコンピューターの計算速度が大変早くなってきたので、適用限界のまだはっきりしていない現象的方程式を使うよりも、はじめからいきなり物理学の基本的方程式を解いてしまえば良いではないかとの考え方もあり得ます。多分、質問者さんはその考え方でやる方法を、ミクロ的見地と言っているのでしょう。その見方も一理ありますが、上で述べましたように、物理学ではミクロ的見地という言葉をそれとは微妙に違った意味で使かわれているようです。
お礼
回答ありがとうございました。 1)の質問に関して: 私も量子力学を深く勉強しておりません。従って、初心者向けの参考書の安易な解説を鵜呑みにしてるのかもしれません。回答者さんの「自然を記述する物理量は数や関数ではなくて、演算子、すなわち関数の関数であるということ」の回答は初めて知りました。これは変分法と関係するのでしょうか?とにかく観測という概念を認めるかどうかの議論が最前線だというのはいい勉強になりました。最終的には哲学の問題で唯物論で統一出来るかという問題なのかなという気もします。 2)の質問に関して: 物理学での用語の使い方と工学での使い方の差である様です。工学では「実用性」が最重要課題です。物理学の自然を完全に理解するという立場を否定する物ではありませんが、ある支配方程式から近似値でも得られるのならばそれを使って実用的なものを作り出すというのが工学です。例えば、量子力学が完全に構築される迄、半導体のトンネル効果等を利用した製品作りを待つ訳には行きません。その意味では、技術者の私は実用的なマクロ支配方程式に重きを置くべきかと教えて頂きました。 余談ですが、品質管理の分野で品質工学(Taguchi Method)というのがあります。とりあえず原因は分からなくても、品質のバラツキの影響因子を実験により特定し、そのバラツキを最小限にする因子設定にし、その後バラツキ小の品質特性を他因子で調整するという方法が成功を収めています。これは製品全ての動力源~出力の伝達関数等を完全に方程式化することは困難であり、仮に可能であっても解けない場合が多い為です。その意味でマクロ的な見地で現象を把握、コントロールしていこうという考え方は工学の姿勢を表現している例かなと思いました。当然これは物理と工学どちらが優れているとかいう話ではなく、方法論の問題かと認識しています。
- cyototu
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この問題に関してコンピューターを持ち出して議論するのは見当違いです。 ミクロ的見地とは、現象を物理学における第一原理、すなわち統一原理としての自然法則(ニュートンの法則、シュレーディンガー方程式、あるいは一般相対性理論)から導き出されるものとして現象を理解しようと言う、まさに物理学の本質的な自然観から現象を理解しようという試みです。 一方マクロ的見地とは、この世の中に統一原理が有ろうが無かろうがそんなことには興味が無く、自然法則との関係は判らなくても、経験的には正しそうだと言う我々の経験を出発点として、それから導き出される整合性から現象を理解しようという見地です。これを物理学では現象論と言います。物理学者は物理学の本質上この現象論的説明では決して満足出来ません。しかし、この宇宙の成り立ちや原理に第一義的な興味が無く、目の前で起こっている現象を使いこなして我々の生活を改良して、いかに住み良くするかに第一義的な価値観をおいている工学者にとってはそれで物が作れるのですから、このマクロな現象論的説明で十分であると考えるでしょう。 方法論としてどちらが効率が良いかと言うことに関しては、それで貴方が何を理解したいのかによります。我々の方法論にはコンピューターを使う方法以外に、数学的な解析的方法が有ります。物理学的な原理の問題を論じるためには、今までのところコンピューターによる方法よりも、解析的方法の方が圧倒的に圧倒的に生産的であったというのが今までの物理学の歴史から学べることです。 一方、工学的には現象論をコンピューターを使って分析する場合と、解析的に分析する場合のどちらが効率が良いかは、問題によるのではないでしょうか。何をやれば良いかが判っているようなトリビアルな問題ではコンピューターを使った方法論が有効かも知れませんが、相手が複雑すぎて何をやるべきかがまだはっきりしない場合には、マクロな現象論と言えども解析的な方法が遥かに方法論として威力を発揮しているのが現状ではないでしょうか。
補足
回答ありがとうございます。 まず私が物理カテゴリーに書いたのが悪かったのですが、私は技術者であり今回アドバイス頂きたかったのは、連続体の解析に関してです。具体例としては、金属の弾塑性変形、切削、流体力学等です。 質問の背景) 工学的には実用的手法として、連続体の変位、変形、応力等を数学的に記述する連続体力学(線形弾性体では弾性力学)を使用します。一方、切削等の現象を原子レベルから解析する方法も試みられていますが、実用段階ではないのが現状です。固体では1cm^3中10^23個程度の原子が存在し、1原子の運動計算に1nsecとしても1cm^3の全分子計算に3×10^6年かかります。これだけ考えると、原子レベルで解析するのは実用的とはいえず、マクロ的連続体力学が有用と言えます。しかし分子動力学による試みも盛んに行われており、上述の問題に対してどの様な展望があるのか知りたかった。 参考になった点) ・一方マクロ的見地とは~工学者にとってはそれで物が作れるのですから、このマクロな現象論的説明で十分であると考えるでしょう。 >そうですね。工学者には連続体力学の応用で充分かもしれません。 ・一方、工学的には現象論を~のが現状ではないでしょうか。 >賛成です。相手が複雑すぎて特性が掴めない様な対象では、マクロと言えど解析的方法で断片的にでも特徴を掴むのが大事かと思います。 回答頂いた中で教えて頂きたい点) 1)ミクロ的見地とは~、の節ですが私は少し違うのかなと思います。 ニュートン力学、一般、特殊相対性理論、熱力学、統計力学等はマクロ~ミクロな原子迄扱える法則です。それら古典物理に対し、観察者による不確定性を考慮した現代物理学があります。シュレーディンガー波動方程式や量子力学はこれに属します。これらを統一しようという試みがミクロ的見地なのでしょうか?それは統一場理論(超弦理論等)ではないでしょうか? 2)我々の方法論にはコンピューターを使う方法以外に、数学的な解析的方法が有ります >この節は私の理解と違います。方程式を解く方法は2つ。解析的解法と数値的解法(コンピュータ解法)です。通常の偏微分方程式は解析的に解く事は少数の限られた条件内だけで、通常解析的には解けません。従って、差分や有限要素法による数値解析法で近似値を得る方法が圧倒的です。例としてナビエ・ストークス方程式は数値的に解く以外手がなく、長い間誰も解けませんでした。解析的解法と数値的解法を混同されているのではないでしょうか?
- foobar
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最近の非線型現象を含んだ大規模シミュレーションでは、ミクロとマクロを組み合わせて、階層構造をとったシミュレーションが手がけられ始めているようです。
補足
回答ありがとうございます。 ミクロとマクロとの練成解析という事でしょうか? どのように練成させるかご存知ですか?私は想像もつきません。
お礼
回答ありがとうございました。 具体的目的記載が不十分で申し訳ありませんでした。 #3さんと同じ工学分野です。 アドバイス頂いた土木工学に関する内容は分かり易い例でした。私は機械なのですが同様に等方性前提の解析ではなく、実際の破壊が材料中の不純物等を起点にして起こる事から確率的有限要素解析等も始まっています。特に例示頂いた、土質力学は岩盤、すべり面、粒の干渉がありDEM等による解析も進んでいるようですね。最近は構造解析の代名詞だった有限要素法解析も粒子法による解析で、弾丸の貫通や破砕を計算しています。話はそれましたが、やはりケースbyケースで使い分けるという事なのでしょう。であれば、私はマクロ的な連続体力学で充分かもしれません。