今問題になっている、ガソリンに対する暫定税率延長問題では、ご承知のように、世論調査では7割近くの人が延長に反対していますが、政府・自民党・公明党は延長を貫く構えです。政治とはこういう難しい状況を作り出します。私は、こういう難しい政治状況の中で、マスコミは政治家と国民の間をつなぐ大事な情報パイプとして機能しており、つまり世論の動向を政治家に伝え、政治家の動向を国民に伝える機能を持っており自由主義・民主主義社会の大切なインフラと考えます。
小泉首相は、自民党中心勢力が反対する郵政民営化法案を、衆院選挙圧勝という形で成し遂げたのですが、小泉首相の考えを詳しく国民に伝達したのはマスコミがあったからできたわけで、そうでなければ郵政民営化も実行されなかったでしょう。
結論として、マスコミも、政治家もいかに強大な力を持っているように見えても、大したことはなく「マスコミも政治家も、そして官僚も、世論のしもべである」という近代社会の大原理に逆らうことは不可能です。
>>マスコミは視聴率至上主義で、政治の世論の操作をしているというイメージがあるのですが、
犬にたとえればマスコミは「しっぽ」で、世論・国民生活が「胴体」です。しっぽばかり見ていると「しっぽが胴体を動かしている」とうに見えることもありますが、そういうことは殆どないです。「しっぽが胴体を動かしている」のではないかと思える事態は皆無ではないですが、すぐに「「マスコミも政治家も、そして官僚も、世論のしもべである」という原理が働いて是正されています。
>政治家を茶番として扱うことでマスコミは視聴率を稼げるので、お互いメリットがあるのでしょうか?
テレビ局の報道番組の姿勢を批判する意見として、大変もっともなご意見ですが、こうなってしまったのには、日本固有の事情があるようです。「記者クラブ」という制度です。政党、官庁、裁判所、警察には記者クラブという部屋が殆どといってよいくらい設置されて新聞記者は無料で出入り自由となっています。
これだけ聞くと大変結構な制度ですが、テレビ局、専門新聞記者、週刊誌、雑誌記者は記者クラブに出入りすることはできません。大手新聞社の記者だけが使用を許されているという慣習的制度です。
そうするとテレビ局、専門新聞記者、週刊誌、雑誌記者は大手新聞社が入手できないような情報、意見表明で、大きな視聴率、販売部数を幾らでも稼げることになります。私のいう「政治家と国民の間をつなぐ大事な情報パイプとしての機能」は大手新聞社が担っているとしても、大手新聞社だけでは「記者クラブ」の存在によって、かなり不足するようになっているのは事実でしょう(大手新聞社の記者は、毎日記者クラブに通うだけで、自分の期待されている記事は書けてしまいますから、苦労して裏話・裏情報を書く必要がないのです)
テレビ局、専門新聞記者、週刊誌、雑誌記者は大手新聞社は、大手新聞社が書かない記事を書き、絶対言わないことをいう番組をつくると、販売部数・視聴率が稼げて、収入増になる仕組みなわけです。「記者クラブ」システムが存在することを前提にしたビジネスモデルとなってしまっていますから、この傾向は今後更に加速すると私は考えています。
>政治家はマスコミに何か貢献してますか?
大きいのは、新聞料金の値引き販売規制存続です。一種の価格カルテルで、新聞料金を各社が勝手に上げ下げできないシステムが維持されています。大手新聞社が「政治家を茶番として扱わない」大きな理由となっていると、考えられておりす。新聞料金だけを取り上げるのは不公平で、書籍雑誌も同様に値引き販売禁止の規制が、維持されています。
私は、自由競争主義論者で、自由競争主義論者から見ると規制が強ければ強いほど需要を抑制する効果も強くなることを心配しています。そのよい例が米価で、政府の規制を強くし過ぎたため、日本人がお米を食べなくなってしまって、これに気がついて自由化しても手遅れという事態になってしまいました。同じことが新聞で起きないかを大変心配しています。
本屋さんには高価な本が少なくなり、文庫本や雑誌ばかりの本屋さんが増えています。アメリカでは、高価な専門書、学術書が沢山並んでいる本やさんがまだ頑張っていますが・・・・本の値引き販売の規制をそろそろ外すことを考えないと、専門書などだれも読まなくなる、安価なハウツー本と雑誌だけになるかもしれません。
新聞も、そのうちスポーツ芸能紙、夕刊紙以外、誰も読まなくなるのではないか、と心配症の私は考えています。私は成人した子供たちに「新聞ちゃんと読め」と言っても「テレビとインターネットで十分」と子供たちは言い始めていて、私は苦り切っています。
もう一つの
お礼
時事ニュース~過去のニュースを挙げて、説明して頂き有難うございました。 そんなこともあったな~と思い出しながら読ませて頂きました。 私は裏事情まで知らず、それが知りたくて質問したので このように丁寧にご回答いただけると本当に勉強になるというか・・ 知識、知恵?を与えていただいたという感じで、感謝でいっぱいです。 1つのことを主張しても100パーセントいいとはいえず 必ずリスクが伴うのかなと思いました。 いきすぎを押さえるような、システムが必要だと思います。 こんなお礼しかかけなくて申し訳ありません。 とてもレベルの高いご回答有難うございました。