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映画の技法の歴史
- 映画の技法の歴史について
- 60年70年代以降の映画に施されている技巧的な技法について
- 映画の技法の発展段階と現在の状況について
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”技法”という言い方が合っているかはわかりませんが、 『しゃべっている人物からわざと画面をはずす』=オフのセリフ、 『映画の中で映画を観る』、『始まりの場面からフラッシュバックして、途中でもう一度そこに戻る』といった表現方法は1930年代にはほぼ確立されています。 現在の映画のなかで使われる表現方法の90%くらいは、1930年代の後半くらいまでには完成されたといってもいいと思います。 残りの10%はオーソンウェルズやゴダールといった監督が出現する時代~50年代)まで待つことになりますけど。 こういった映画ならではの表現方法は、あまり映画を見慣れていない観客には混乱されがちなので、万人向けのハリウッド大作なんかになると、あまり使われなくなっている(=監督が要望してもプロデューサーがOKしてくれない)と思われます。 >どういう発展段階を経ている…… そのむかし、映画はカメラを置いて、そこに写るものをただ撮っていました。ホームに列車が到着する様子や、工場から従業員たちが出てくるところとか、くしゃみをする人とか。まだ映画のなかに物語といったものがなかったんです。 しかし上記のような映画ばかりだった数年後、1903年にはエドウィン・S・ポーターという監督が「アメリカ消防夫の生活」と「大列車強盗」という作品でカットバックを用いた劇映画を完成させます。 これらの作品で編集という技法によって時間や場所を映画ならではの表現方法で描いたわけです。 以降は、映画の父と呼ばれるD・W・グリフィスやデンマークのカール・テオドール・ドライヤらが、俯瞰撮影やクロースアップ、ロングショットなどなど、今日見られるような映画表現の基礎を築き上げていきます。 なかでもグリフィスの「イントレランス」は3時間を超える超大作で、バビロニアや1800年代のアメリカ西部など時間も地域も異なる4つの時代を同時進行で描くという離れ業をやってのけています(ただ当時の観客には理解できなかったようですけど)。 一方ドライヤーは映画の全カットのうちおよそ7割(くらいだったかな?)がクローズアップという「裁かるゝジャンヌ」という作品で、映画表現の可能性をとことん追求しています。 ついでですが、ゴダールの作品の中にこの映画を見ているシーンがありました。 文字数に制限があるので、このくらいにしておきますが、こういった表現を理論化した著作物は多いので、読んでみてはどうでしょうか? 代表的なものだと アリスタルコ「映画理論史」 バラージュ「視覚的人間―映画のドラマツルギー」 バラージュ「映画の理論」 バザン「映画とは何か」1~4 などが、世界的にも有名な映画の著作物です。大きな図書館などにはまず置いてあると思いますよ。 ウィキペディアなどで検索すると、上記の人名などからよりいろいろわかると思うので、参考にしてみてください。 近年の監督だと、アレハンドロ=ゴンサレス・イニャリトゥ(バベル、21グラム)やクエンティン・タランティーノ(パルプ・フィクション、ジャッキー・ブラウン)などが時間や場所を行ったり来たりさせています。60年代の映画だとキューブリックの「現金に体を張れ」がすごく効果的に使っていると思いますけど。
お礼
ありがとうございます! すごく勉強になりました。 映画ってあらためて古いものだし、発展の早かったものだと認識しました。 しかし、 30年代に大低の技法は取り入れられている ということは、まったく意外でした。