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ラテンアメリカ貧困の理由
世界から貧困がなくならないのは何故なんでしょうか。 ラテンアメリカの貧困の理由を教えてください。 理想論はいりません。具体的かつ現実的なお話を聞かせていただけるととても助かります;;
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いい加減な情報でよろしければ参考までに。 ラテンアメリカの場合、中進国というような状態で、 中国やインド、アフリカと比べれば、 1人当たりの所得水準が低いわけではありません。 しかし、貧富の格差が世界でもっとも激しい地域で、 低所得層の収入は苦しい状況にあります。 ・1日1ドル未満で生活する貧困人口の比率:世界マップ http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Percentage_population_living_on_less_than_1_dollar_day.png ・貧富格差(ジニ係数):世界マップ http://en.wikipedia.org/wiki/Image:World_Map_Gini_coefficient.png 100年前は「アルゼンチン人みたいにお金持ち」とヨーロッパで言われたように、 ラテンアメリカは富裕な地域だったとも聞きます。 日本からも戦前には多くの移民が新生活を夢見て ラテンアメリカに渡って行きました。 当時の状況から見てみれば、ラテンアメリカがお金持ちで 日本が貧困であってもおかしくはなかったわけです。 ラテンアメリカは、土地は豊富で、資源も豊富でした。 しかし、ラテンアメリカは第二次世界大戦後の産業化の過程に失敗しました。 土地や資源は少数に所有され、農地改革はうまくいきませんでした。 貧富の格差が大きく、資源は人的開発に回りませんでした。 輸入制限、産業国有化、計画経済、債務積み上げといった 経済政策もひどく非効率で腐敗したものでした。 (アルゼンチンのペロンなどが典型) 戦後から農業や鉱物の価格が下落し、 貿易の中心を占めなくなったこともラテンアメリカ経済に不利でした。 左翼ゲリラ、右翼の民兵組織が活動し、政治も不安定になりました。 度々民主主義も崩れ落ちて軍事政権が成立しました。 1970年代から、チリのピノチェト軍事政権で、 シカゴ学派の経済学者の政策を取り入れて、 経済の市場化を進めよといった流れも起こります (今日「新自由主義」と言われるものの大本の1つ)。 ピノチェトは独裁者として悪名高い人物でもあり、 チリではこの時期に貧富格差がさらに拡大しましたが、 今日に至るまでチリ経済はラテンアメリカでは 高いパフォーマンスを維持しており、 それなりに影響力は与えています。 しかし、当時からラテンアメリカは度々の 金融危機に見舞われるようになりました。 1979年にNIES(新興工業地域)という期待を持たれる新興国が発表された時、 枠組みには韓国や台湾だけではなくメキシコやブラジルも含まれていたのですが、 経済が不安定になり、韓国や台湾のような高成長を維持することはできませんでした。 かつての経済成長が、農業部門から高生産性部門への 労働力移動を原動力にしており、効率化を伴っていなかったため、 一定以上の水準になると経済成長が阻まれた面もあります。 また、資本市場を自由化することは経済に望ましかったのですが、 その過程には問題があり、結果としては成功とは言いがたい状態になりました。 メキシコのサリナス、ブラジルのカルドーゾのように、 経済的に望ましい政策を行ったと世界にみなされた人物の時期でさえ、 大きい金融危機が起こって経済の破綻に見舞われてしまいました。 突然期待が高まっても、気まぐれで国際資本が退散してしまい、 むしろ逆効果になってしまいました。 元々からピノチェトのような経済改革は、賛否が分かれるのですが、 こういった金融危機もあり、経済改革に対する不満が高まりました。 各種の公共料金の有償化・値上げも貧困層にとっては大きい痛手でした。 ラテンアメリカでは新自由主義的だとみなされる政策への不満が強まり、 ベネズエラのチャベスのような急進的な左翼政権も支持を得るようになりました。 依然としてラテンアメリカの政治・経済は不安定さを持った状態にあります。 貧困を解決する手段となると、また難しい話です。 ただ、資源高や農産物が高価格で推移していれば、 ラテンアメリカにとっては有利な条件ではあります。 こういった収入を武器に、どれだけ経済開発を進めることができるか。
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- omeger
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原因を国際関係に結びつけようとするならば、 また難しい外交問題がたくさん出てくるように思われます。 この辺り私は詳しいところが分かりませんが、 ラテンアメリカにとっての米国は、 日本から見た米国とは明らかに異なった存在ですす。 日本や韓国・台湾の発展は、 米国の科学技術や機械を導入したことは大きいですし、 直・間接的な資金援助、農地改革などの影響はありました。 しかし、経済運営に関しては米国と異なる方針も多く取っています。 ラテンアメリカと共通する部分もなかったわけでもありません。 米国や欧州が、経済発展の万能薬を持っているわけでもありません。 米国や欧州・日本は、農業の自国産業保護を止め、 中南米の農業開発を助けることができたけれどもしなかった。 ODAを国連で定めた目標値に達させようとはしなかった。 こういった面では、援助の余地は大いにありました。 中南米の政権に干渉し、米国企業の権益を確保しようとし、 多くの政権を転覆させ、諸国民の大きい反発を招いた。 こういった面は政治的に褒められたものではないでしょう。 一方で、原因を何でも外国に求めることは、 今日の現実的な政策としては適切でない場合が多いです。 メキシコは、アメリカ・カナダと結んだ自由貿易圏(NAFTA)に、 発展のチャンスを見出さなければいけません。 内向きにならずに、ラテンアメリカのスペイン語圏、 アメリカのヒスパニックやスペインの人脈も通して、 最先端の知識を取り入れ、海外との取引を成立させる事が望ましいはずです。 ラテンアメリカが、ワールドカップで強国であるように、 経済面で成功を収められなかった要因には、 景気という「サイコロ」も多分に絡んでいるかもしれません。 こういう意味ではラテンアメリカの「運は悪かった」ように思われます。 1980年以降、失われた10年どころではなく失われた20年といわれたように ほとんど成長が見られない国、貧困層の生活が悪化した国が多く見られました。 この間、諸国は、効率の悪い産業を改革しようとしました。 IMFを通じてワシントン流の指示を仰ぎました。 (IMFのプログラムが適切だったかどうかは疑問が大きいはずです。 資本市場の自由化は時期を得ていなかったように思われます) しかし、メキシコの危機も、アルゼンチンの危機も、 ラテンアメリカの金融危機は関わりの無いはずの周囲まで波及し、 人々の生活に大きい打撃を与えてしまいました。 貧富の格差に関しては、 (1)昔から土地の持ち分が平等ではなく大土地所有者に偏っていたため、 世代を超えて貧富格差が階級化していた (2)国によっては先住民との人種・民族的分断がある (3)先進国で格差縮小を導いた熟練労働者の大きい需要がなかった (4)急速な国営企業民営化・産業転換の過程で大量の失業者が発生した (5)新自由主義は富裕層優遇のイデオロギーと深く結びついていた (6)度々の金融危機が貧困層の生活を直撃した (7)債務危機に陥った政府は福祉を切り捨てて対処した といった事はあげられるのではないかと思います。 ただ私はこの辺りの事情を詳しく知らないので、 ラテンアメリカ経済の文献を当たった方がよほど正確でしょうけれども。
お礼
……まあ、原因を明確に1つに定めることができるのであれば、ラテンアメリカだっていつまでもこの現状を続けてはいないでしょうね;; 世界史も経済もとってない自分が全貌を理解しよう、というのは無理があったかもしれないです(笑) 度々のお付き合いありがとうございました。確かにすべてが明快になったわけではないですけど、とても、本当にとても参考になりました。専攻とは畑違いですが、暇をみて文献も探してみます。
- tanuki4u
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国民の納得 まずは国民の形成が必要です。 歴史的に 資本主義と民主主義と国民国家というのは、近代ヨーロッパに生まれた三つ子の概念です。国家体制から考えると、国民国家が先行し、資本主義と民主主義が生まれたようです。 英仏百年戦争でイギリス王家がイギリスに引っ込み、フランス王家がフランスに君臨した。これによって絶対主義王政が生まれ、その絶対主義性(おいら達は一つ)から政治体制への参加性・帰属性がうまれ、民主主義となった。その民主主義になった人民が経済活動をすると資本主義になる。まぁ前後逆だったりしますが。 国民国家の作り方はいろいろあるようで、たとえばスイスは言語はバラバラですが国民国家です。これはハプスブルク家に一致団結して戦って、勝った!という歴史的経験が作用しています。ウィリアムテルの伝説ですね。 アフリカにはこれがない。 南アフリカとエジプトがアフリカの中で有望なのはアパルトヘイトに勝った!イスラエルに勝った!という国民の共通認識があるためではないかと思います。その意味でナイジェリアがNext11とか言われていますが、ちょっと怪しいと私は思っています。 タイが貧困が少ないのは、王様への信頼があるから。そしてベトナムがこれからグングン来そうなのは、「アメリカに勝っちゃいましたよ、僕らは」という意識があるから。 南米もボリバルがあのままうまくいっていたら結構いい線行ったような気がします。 統治の正統性に関しては、マックス ウェーバーが カリスマという用語で支配の社会学という書籍で説明している(らしい) カリスマが生まれないと集団は国民国家に変身できないそうです。 → この辺は小室直樹からの孫引きですが。
お礼
ああ……なるほど。確固たる歴史的背景またはそれに準ずる共通意識、絶対的な信頼を得るカリスマが出てこない限り国民国家が形成されないとなると、ラテンアメリカから貧困がなくなるのは遠い遠い未来になりそうですね。 1度目の回答を頂いたときに考えていたより深く、一貫性のある説でとても嬉しく思っています。ありがとうございました。
- tanuki4u
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%96%93%E9%96%8B%E7%99%BA%E6%8C%87%E6%95%B0 人間開発指数というものがあります。生活の質を見ようというもの。 ラテンアメリカでもいろいろあるようです。 さて、東南アジアとアフリカの補助線と、経済行動が基本的には国家単位になっている現状を考えると、 国民が国家を信じているかどうか これによって国別の貧困度合いは決まると思います。 ラテンアメリカで言えば、アルゼンチン チリ ウルグアイという政治的に安定している国が上位に来ています。 アフリカが概して低いのは、植民地時代の合理性のない国境作りによって住民が国民になっていない事が考えられます。 東南アジアでは、タイが貧困度が低い。これは国民が信頼している王様がいたから。また、シンガポールやマレーシアも開発独裁による長期政権が存在しています。 ロシアがプーチン独裁ちゃうのけ?と言われながら経済的に復活したのは、石油高騰という外因もありますが一種の開発独裁を行っているせいでもあります。 ラテンアメリカも、チリ・アルゼンチンなどは軍事独裁といいながら、長期安定政権がありました。
お礼
回答ありがとうございます。 国民が国家を信頼しているか否か、たしかに参考URLに記載されている数値から見ても頷ける意見です。しかし、一体どんな要素が国民を信頼させるんでしょうね。土地柄、宗教によっても違ってくるかもしれないし……。詳しくないので知りませんが;; 何にしろ貴重なご意見ありがとうございました!! 参考にさせていただきます!!
- mat983
- ベストアンサー率39% (10265/25670)
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004496 このサイトを読み込めば、はっきりと分かります。
お礼
回答ありがとうございます。 サイト読ませてもらいました。悪循環を断ち切れない、というのは確かにありますよね。ただ分からないのは悪循環の原点が何だったのか、です。 たとえば歴史を遡って先進国の占領から始まるのであれば、独立後経済的に発展した国とラテンアメリカは何が違っていたのか。ご存知だったらまた回答の方、よろしくお願いします;;
お礼
回答ありがとうございます。 たしかにラテンアメリカがそれなりに資源を所有していながら貧困とされていることには疑問を感じていました。過去にラテンアメリカが裕福だったというご意見、十分納得がいきます。しかしラテンアメリカが産業化に失敗した最大の要因は何だったんでしょうね。ご意見を参考にするなら政府の腐敗か、格差の広がりといったところでしょうか。…何故格差は広がったのか、それもまた疑問ですね。 戦後の改革が今の貧困につながっているのなら、アメリカに指揮をとってもらった日本は運が良かったということか。なぜラテンアメリカはヨーロッパ諸国に指揮をとってもらわなかったんだろう。それとも先進国の意向で今の状況が生み出されているのなら、他国がラテンアメリカに見出さずアメリカが日本に見出した「産業を発展させる」利点はどこにあったんだろう。……冷戦による朝鮮戦争か? どことなく調べる指針を見つけたような気がします。参考にさせていただきます!! ありがとうございました!!