原因を国際関係に結びつけようとするならば、
また難しい外交問題がたくさん出てくるように思われます。
この辺り私は詳しいところが分かりませんが、
ラテンアメリカにとっての米国は、
日本から見た米国とは明らかに異なった存在ですす。
日本や韓国・台湾の発展は、
米国の科学技術や機械を導入したことは大きいですし、
直・間接的な資金援助、農地改革などの影響はありました。
しかし、経済運営に関しては米国と異なる方針も多く取っています。
ラテンアメリカと共通する部分もなかったわけでもありません。
米国や欧州が、経済発展の万能薬を持っているわけでもありません。
米国や欧州・日本は、農業の自国産業保護を止め、
中南米の農業開発を助けることができたけれどもしなかった。
ODAを国連で定めた目標値に達させようとはしなかった。
こういった面では、援助の余地は大いにありました。
中南米の政権に干渉し、米国企業の権益を確保しようとし、
多くの政権を転覆させ、諸国民の大きい反発を招いた。
こういった面は政治的に褒められたものではないでしょう。
一方で、原因を何でも外国に求めることは、
今日の現実的な政策としては適切でない場合が多いです。
メキシコは、アメリカ・カナダと結んだ自由貿易圏(NAFTA)に、
発展のチャンスを見出さなければいけません。
内向きにならずに、ラテンアメリカのスペイン語圏、
アメリカのヒスパニックやスペインの人脈も通して、
最先端の知識を取り入れ、海外との取引を成立させる事が望ましいはずです。
ラテンアメリカが、ワールドカップで強国であるように、
経済面で成功を収められなかった要因には、
景気という「サイコロ」も多分に絡んでいるかもしれません。
こういう意味ではラテンアメリカの「運は悪かった」ように思われます。
1980年以降、失われた10年どころではなく失われた20年といわれたように
ほとんど成長が見られない国、貧困層の生活が悪化した国が多く見られました。
この間、諸国は、効率の悪い産業を改革しようとしました。
IMFを通じてワシントン流の指示を仰ぎました。
(IMFのプログラムが適切だったかどうかは疑問が大きいはずです。
資本市場の自由化は時期を得ていなかったように思われます)
しかし、メキシコの危機も、アルゼンチンの危機も、
ラテンアメリカの金融危機は関わりの無いはずの周囲まで波及し、
人々の生活に大きい打撃を与えてしまいました。
貧富の格差に関しては、
(1)昔から土地の持ち分が平等ではなく大土地所有者に偏っていたため、
世代を超えて貧富格差が階級化していた
(2)国によっては先住民との人種・民族的分断がある
(3)先進国で格差縮小を導いた熟練労働者の大きい需要がなかった
(4)急速な国営企業民営化・産業転換の過程で大量の失業者が発生した
(5)新自由主義は富裕層優遇のイデオロギーと深く結びついていた
(6)度々の金融危機が貧困層の生活を直撃した
(7)債務危機に陥った政府は福祉を切り捨てて対処した
といった事はあげられるのではないかと思います。
ただ私はこの辺りの事情を詳しく知らないので、
ラテンアメリカ経済の文献を当たった方がよほど正確でしょうけれども。
お礼
回答ありがとうございます。 たしかにラテンアメリカがそれなりに資源を所有していながら貧困とされていることには疑問を感じていました。過去にラテンアメリカが裕福だったというご意見、十分納得がいきます。しかしラテンアメリカが産業化に失敗した最大の要因は何だったんでしょうね。ご意見を参考にするなら政府の腐敗か、格差の広がりといったところでしょうか。…何故格差は広がったのか、それもまた疑問ですね。 戦後の改革が今の貧困につながっているのなら、アメリカに指揮をとってもらった日本は運が良かったということか。なぜラテンアメリカはヨーロッパ諸国に指揮をとってもらわなかったんだろう。それとも先進国の意向で今の状況が生み出されているのなら、他国がラテンアメリカに見出さずアメリカが日本に見出した「産業を発展させる」利点はどこにあったんだろう。……冷戦による朝鮮戦争か? どことなく調べる指針を見つけたような気がします。参考にさせていただきます!! ありがとうございました!!