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反結合性軌道の意味について
反結合性軌道は結合を作らないのですか?例えばエチレンの2重結合がPxとPxの軌道からπ結合を作っていたとします。位相が同じならπ結合をつくり、位相が違えばπ結合を作らないのでエチレンの物質自体できないという意味なんでしょうか?結合性軌道のときのみ存在する、というような考え方でいいのですか?授業で習ったばかりなので意味がよく分かりません。できるだけかみ砕いて教えてください。
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難しい理論は抜きにして: 反結合性軌道:これは「反」という語がついているので悩まされてしまいますが、結合に今は使われていない軌道と理解しております。 例えば(間違っていたら申し訳ない)、ある部屋に2人住んでいて、誰かお客さんが来たら、そこから先の住人が出て行かないとお客さんが入る余地がありません。そのとき、無理やり部屋に入り込むことは「出入り口」でぶつかり合ってスムーズに行きません。しかし、部屋の「勝手口」からはいりこめば、出て行く人もで出て行きやすいです。 この「勝手口」は普段は使われていないので隠れているのです。 ここで少し、視覚的に言いますと、この「勝手口」に入り込むときには「方向」が有るようです。 即ち、「入り口」の「真後ろ」にあるか、「少し斜め」に有るかです。 σ結合の場合:真後ろ(SN2反応による置換反応の場合) π結合の場合:少し斜め、大体109度(カルボニル基への求核付加の場合が当てはまります) だそうです。 少しは感覚的につかめたでしょうか。
反結合性軌道は化学反応に深く関わっています。特に最近では有機化学反応などを立体電子効果によって説明することが多くなってきているため、その関連で反結合性軌道が重視される傾向があります。 たとえば、求電子剤が求核剤を攻撃する時に、求電子剤の反結合性軌道に求核剤が電子を送り込むことによって反応が進むと説明されます。つまり、反結合性軌道(空軌道と言った方がよいかもしれません)を使うことによって反応が進むということです。 すなわち反結合性分子軌道は、分子の構造には直接関係ないかもしれませんが、化学反応が起こる上で重要な役割を果たしていると言えます。 また、いわゆるペリ環状反応と呼ばれる反応においては、反結合性軌道の位相も重要な役割を果たしています。この辺りのことはウッドワード-ホフマン則との関連でならうかもしれませんが、少々専門的な話題なので、ならうとしてもかなり先の話でしょう。
- パんだ パンだ(@Josquin)
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結合性軌道に電子が入ると結合を強め、反結合性軌道に電子が入ると結合を弱めると考えてください。 通常の分子軌道では、結合性軌道の方が反結合性軌道よりエネルギーが低いため、電子は結合性軌道に入っているため分子として存在しています。 反結合性軌道に電子を入れるためには、光や熱で電子を励起する、イオン化するといった方法があります。 「結合次数」というものがあり、次の式で表されます。 結合次数 = (結合性軌道の電子数 - 反結合性軌道の電子数)/2 分子軌道は電子のスピンのことを考えずに結合を理解するための道具なので、とりあえず、スピンを考える必要はありません。
- A-Tanaka
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反結合性軌道とは、電子のスピンに影響して生じる軌道のことです。よって、結合性軌道の時のみ、原子(分子)間で結合が行われず、反結合性軌道の場合には、原子(分子)間における結合が行われるということです。 ここからは量子力学的になりますが、すこしだけ噛み砕いて説明してみましょう。電子が原子核周辺に存在するとき、ある確率事象ないしある存在確率で電子軌道を形成します。これを相対論的に書き直されたシュレディンガー方程式であるディラック方程式によって記述されます。 このディラック方程式及び実験結果(異常ゼーマン効果)からの帰結によれば、電子はフェルミ統計に従うため、半整数のスピンを持ちます。さて、全ての核子はその結合規則によって、ボーズ・アインシュタイン統計か、フェルミ統計に従います。フェルミ統計の場合には、反対称状態のみが許されることになります。よって、反結合軌道の場合には、反対称状態のスピンを持つ電子軌道同士が結合するため、あのような分子結合が行われるのです。 つまり、同じ軌道間での結合は電子軌道の稠密性によって決まり、同じように別の軌道間での結合も電子軌道の稠密性によるわけです。 それに対して、核子間の結合は対称性軌道によるわけですから、同じ陽子同士の結合は出来ず、中性子をはさんで結合が行われることになるわけなのです。