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温暖化対策について
今、温暖化対策の一つとして二酸化炭素などの温室効果ガスの「国内排出量取引制度」が検討されています。 環境省と経済産業省を中心に意見が対立していますが、実際のところこの「国内排出量取引制度」を取り入れるべきなのでしょうか? 賛否とともに理由もつけていただけると嬉しいです!
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- larme001
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難しい質問ですね。「入れるべきか否か」という個人的な意見としてはいるようなきがしますが、どちらの主張にも一理あり、どのような視点(価値基準)に立つかによって長短あります。 長期的に温暖化問題を解決していくにあたって、国内の温暖化対策の枠組みを具体的に構築していかなければならないのはおそらくどちらも納得する意見です。日本の取組は、産業界でいえば経団連の自主的取り組み枠、とトップランナー等のものしかなく、それだけでは不十分とのことで国内排出権取引や環境税が何度も議論されては流され現在に至っています。 排出権取引を導入すべきか否かの対立で結局のところもめているのは「排出権取引が機能するのか否か?」という点に限ります。経済的な理論の部分は割愛しますが、理論と実際にうまくいくかどうかは難しいところがあります。また、下流型の排出段階で各企業にキャップをかけるのであればそのキャップのかけ方などの「衡平性」などの問題もあります。このあたりで、十分に機能するという「裏付け」がない以上、経団連や経産省を納得させることは難しいのが現状でしょう。 また、排出権取引は2005年からEUで行われているEU-ETSが来年から第二フレーズ入りますが、第一フレーズ後の現在では決して十分に機能したとは言われていないことも躊躇する理由です。京都議定書の排出権取引も、あまり活性化しているとは言えないことからも、今後必ずしも国際的に主流になるかわからないという議論が浮上します。米国に限れば、カリフォルニア州などでは一部導入することが決まっています。 日本の場合、企業の自主的取り組みというものが、海外に比べて十分機能するという研究もあり、そこも議論の余地があります。たとえば、アメリカの一部の企業がNGOなどと協力して排出権取引等の枠組みを求めているのは、「明確な制度設計(ルール)をしてくれた方が、公平に活動が行えるので、何もないよりもやりやすい。」というような視点からです。 以上を踏まえると、個人的には「排出権取引が完璧だとは思わないけど、他のすぐれた案がない以上近いうちに導入するべきだ。」とは思います。温暖化問題は、長期的な問題であり、そのために”具体的な”制度設計をもって低炭素排出型の社会へと移っていかなければならないと思うからです。そのために、排出権取引をとりあえずやってみるのは悪くないと思います。また、京都議定書以降の枠組みがどうなるかわかりませんが、最悪でも今後も国際排出権市場は維持、活性化を目指すとは考えられるので、それと関連づけが可能である点でも少しでも基盤を作っておくことは重要だと考えるからです。 長くなりましたが、最後にだからといって排出権取引だけで解決できるような問題ではないという考えは持っています。そこを、今後も議論していくことが重要だとおもいます。