倍数比例の法則は化学式による物質の表現が確立する前のものです。
化学式がわかっていなかった当時のことを考えると原子量もわかっていません。分子の存在もわかっていません。
そのことから言うと倍数比例の法則の意味自体が問題になるでしょう。
#2には
>化合物の構成比が、単純な比であらわされるというものです。
とあります。これから原子量を使って質量比を粒子数の比に直して比を出すという道筋になっています。(「分子量」は意味が違います。)
でも原子量が使えないとしたらどうなるでしょう。
多分教科書には載っていると思いますが倍数比例の法則は
「A、B2つの元素からなるいくつかの化合物があるときAの一定量に対するBの比率は簡単な整数比になる」
というものです。これだと原子量は関係しません。
与えられた数値を使って一定量の窒素に対する酸素の割合に直します。
(#1では窒素100gに対する酸素の質量を求めるとありますのでそれにあわせます。)
36.37/63.63×100=
53.33/46.67×100=
69.56/30.44×100=
を求めます。この値が簡単な整数比になることを求めます。
整数の範囲までの計算で充分です。
4桁割る4桁の計算ははしんどいです。四捨五入で3桁にしてやっても同じだと思います。
出題者は手計算でやるということにもっと配慮が必要です。当時のことを考えると2桁でもいいのではないかと思います。(私はこれを電卓でやっています。手ではやる気がしません。)
窒素と酸素の原子量は高校生でも知っていますからこの問題を原子量を使ってやったか、使わずにやったかを区別できるような回答様式になっていなければ意味の無い問題になってしまいます。
例えば「窒素1gに対する酸素の割合は( ):( ):( )」という問いだとします。これでは原子量を使ったかどうかの区別はできません。分子量を使っても同じ数字が出ます。
化学史上の問題を出すときは作成上の注意が必要です。作成者の理解の程度も問題になります。
前に別の質問で一酸化炭素と二酸化炭素で倍数比例を考えるというのがありました。化学式を前提にした名称を出して訊いても意味が無いのです。名前が既に比率を表しています。炭素1に対する酸素の比率が1:2になっているというのは計算なしにわかることです。これは無意味な問題です。