フロン問題がややこしくなって、報道しにくくなっているというのがあるかもしれません。
フロンには3種類あって、
(1)オゾン層を破壊しやすいフロン(R11,R22など)
(2)オゾン層を破壊しにくいフロン(R123など)
(3)オゾン層を破壊しないフロン(R134a,R407Cなど)
が、あります。
(1)は特定フロン、(2)(3)は代替フロンと呼ばれますが、(1)はすでにほとんど廃止されていて、(2)も廃止されることが決まっています。今、(2)の全廃時期を前倒ししようということで少々話題にはなっています。
少し前までは、フロンといえば特定フロンが普通だったので、「フロンは環境に悪い」といっていればよかったので簡単でした。ですが、現在は代替フロンが出回り始めて、特定フロンは古い機械以外ではほとんど使用されていませんから、今では「フロンはオゾン層を破壊する」ということ自体、間違いになります。
実際、フロンに対してはいろいろな誤解があります。世間には、「フロンはすべてオゾン層を破壊するもの」と思っている人も多く、フロンを使っているというだけで、環境に悪いと思う人が非常に増えました。その結果、フロンを使用していないというだけで、エネルギー効率の低い空調設備が大量に導入されたり、逆にフロンを使用しているというだけで、省エネルギー機器が使ってもらえなくなったりしたのです。昔、ノンフロンの冷蔵庫を輸入して使ったら、電気代が跳ね上がって、地球温暖化を推進してしまったなんて「失敗談」もありました。
今でも、フロンの温暖化ガスとしての影響を挙げて、これが環境に良くないという人も多いのですが、熱源機など多くのエネルギー機器、特に業務用で24時間運転しっぱなしのものなどでは媒体自身の温暖化への影響はたいていの場合割合としては小さなもので、それよりも運転に要するエネルギーの大小が大きく影響します。最近はフロン回収破壊法というものもあるので、フロンは大気に放出されないという前提で考えると、フロンを使用する機器のほうがはるかに優位にたつ場合も少なくありません。これはまじめにLCA(ライフサイクルアセスメント)をやらないと、個々の場合になにが温暖化原因物質の削減に有効かはわからないのです。
そんなこんなで、マスコミ等では取り扱いが難しくなって、あまり目にしなくなったのではないでしょうか。