樹脂関係の仕事をしています。
ガムがくっつくのは
1.ぬれている
2.高分子である
事が理由です。
■分子間力
2枚のガラス板を重ね合わせた場合、
1.通常はくっつくが比較的簡単にはがせます
2.2枚の間に水一滴落とすと強くくっつきます
3.2枚の間に砂粒や埃があるとくっつきません
物と物がくっつく力を「分子間力」と言います。
しかしこれには分子同士が5オングストローム以下に接近している必要があります。
これは髪の毛の太さの10万分の1以下という小ささです。
実はガラスの表面はミクロのスケールでは結構凸凹があります。
(ヤモリはこの凸凹に足の裏の無数の微細な毛を「引っ掛けて」垂直によじ登ることができます)
そのため、重ね合わせた2枚のガラスの間には結構隙間の開いた部分ができます。
水滴はその「隙間」を埋めて強い分子間力を発生させます。
しかし、水自体は流動性の高い液体なので接着力は持続せず、ガラスを「ずらすように」動かすと流動し、簡単に離れます。
■高分子
ガムの分子は長い糸のような構造になっています。
絡まって固めた繊維(例えば綿)のような状態で簡単にばらけません。
これがガムのねばねばした性質になります。
■粘着と接着
セロテープや両面テープの粘着剤(天然ゴム)も同様に、圧力をかけることで
1.濡れた状態の粘着剤が材料の隙間に入り込み隙間を埋め
2.粘着剤に粘りあることで垂直・水平どちらにもはがれ難い分子間力を発生します
接着剤は
1.濡れた状態の接着剤が材料の隙間に入り込み隙間を埋め
2.固まることで持続的な分子間力を発生します
■袋や輪ゴム
袋や輪ゴムを手で持っても指紋や毛が「隙間」を作りますので。
くっつくのは樹脂より手の脂や水分が原因です。
また、輪ゴムやビニール袋は使う前に袋同士がくっつくと困るので、工場で作るときに表面にデンプン粉をまぶしています。
これを難しい言葉で「アンチブロッキング剤」と言います。
これが輪ゴムやビニール袋の間に隙間を作ってはがれやすくしてあります。
ビニール袋の表面は何だか「粉っぽい」感じがしませんか?
あれがそうです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 大変詳しくわかりやすいお答えで疑問が氷解します。分子間力!自分の中では新鮮なキーワードです。専門家の方のお話が聞けてうれしく思います。