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生前でも遺言書の効力があるのですか。
夫が先妻との離婚の際に作成した遺言書ですが、内容としては、当時の自宅の相続に関してのもので、その中に「相続者が生存中に自宅(土地付き1戸建て)を処分した場合は、負債を差し引いた残額の3分の1の金額を先妻に支払う」といった内容のものが付記されていました。 約5年前子供との生前贈与の話が持ち上がったりして、自宅を売却をしてしましました。(結果的には生前贈与はしていません。) その際に家庭裁判所に申し立てをして(先妻の方から)法律的な判断を仰ごうとしましたが、「死んでもいないのに遺言書の履行ななんて」と、裁判官に却下されたそうです。 ところが、先妻の代理人として弁護士から、「遺言書の停止条件にあたるので、売却、負債金額等の提示と、差額があればその3分の1の支払い」を要求されました。家庭裁判所の意見との相違に判断に困っています。 近々弁護士の方に会うことになりますので、法律的な見地からの助言をお願いいたします。 尚、離婚の際には1千万円を支払ったそうです。
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問題となっている『遺言書』が、自筆証書遺言(民法968条)であろうと、公正証書遺言(民法969条)であろうと、秘密証書遺言(民法970条)であろうと、また、条件付の遺言であろうとなかろうと、遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます(985条1項)。 遺言者が死亡していない以上、遺言書は効力を生じません。つまり、その遺言書にどのような内容の条件を付そうと、遺言書自体の効力が生じていない以上、遺言書に付けた条件のみが独立して有効になるようなことはありません。 したがって、「死んでもいないのに遺言書の履行ななんて」と、家庭裁判所が却下したのは当然のことです。 民法985条2項にいう『停止条件つきの遺言書』は、あくまでも遺言書自体が有効である場合に適用される条文です。 つまり、遺言者が死亡し、その遺言書が作成された後も、その内容と抵触する内容の遺言書が作成されておらず、その停止条件つきの遺言書のみが有効な遺言書である場合にのみ意味を持つ条文です。 したがって、遺言者であるご主人が死んでいないことを相手の弁護士が知りながら、「遺言書の停止条件にあたるので、・・・・」という内容の、配達証明付きの内容証明郵便を送ってきたとすると、考えられる可能性はただ一つ。 m-chakoさん側の法に対する無知に付け込んで、あたかも先妻の側に請求権があるかのごとくに装って請求しているのであろうと考えられます。 (ちなみに、最初の遺言書の内容ですが、「生前、不動産を売却した場合には、その死後、その売却金額のうちの一定額を贈与する」旨の、このような内容の『遺言書』も可能です。) 言うまでもないことですが、どのような内容の要求であろうと、要求すること自体は違法でもなんでもありません。 例えば、m-chakoさんのご主人に対して、何らかの理由をつけ、「1億円支払え」という内容の配達証明つき内容証明郵便を誰かが送ったとしても、その送り主が、先妻であろうと、先妻から依頼された弁護士であろうと、全くの赤の他人であろうと、その内容が脅迫や詐欺にあたるものでない限り、違法でもなんでもありません。 そして、その要求通りに支払うかどうかは、要求を受けた側の自由です。 「理由が無いから支払わない。何でそんなもの支払う必要があるのだ!」と言ってしまえばそれまでです。 ところが、法律の知識が無い人は、弁護士名で内容証明が送られて来たりすると、あたかも支払わなければならないような錯覚に陥って、支払ってしまう人が多いのです。 これを、「債務が存在しないのに弁済した」という意味で、『非債弁済』と言います。 そして、このような場合、一度、相手方の要求通りにm-chakoさんのご主人が支払ってしまいますと、もう、そのお金を取り戻すことはできなくなります(民法705条)。 この民法705条は、「自分に債務が存在しないことを知りながら相手の要求通り支払った人がいる場合、その人は自分の意思で勝手に支払ったのだから、そのような人を法律は保護しませんよ」ということを規定した条文です。 おそらく、相手の弁護士も、遺言書が効力を生じていないことは全て承知の上で、m-chakoさんのご主人が、誤解して支払ってくれる可能性に賭けて、そのような内容の文書を送ってきたものと思います。 したがって、今回の場合、「遺言書は効力を生じていないから自分は支払う必要は無いし、支払う気も無い。」と言えば済むことです。新たに作成した遺言書の内容について、相手方に述べる必要はありません。 相手の弁護士とお会いになる時は、「後日の証拠として会話を録音させて頂きたい」と断ってから話し合いに臨めば、相手方弁護士も下手なことはしないでしょう。 それでも、ご不安であれば、どなたかm-chakoさん側も弁護士をお立てになれば良いのではないかと思います。今回の場合、そこまでの必要はないと思いますが。 そして、仮に、弁護士を立てずに相手方弁護士と会う場合、何らかのm-chakoさんの御主人の側に不利なものが出てきたような場合には、決してその場で返事はしないことです。 「後日、こちら側も弁護士を立て、改めてお話致します。」くらいに言っておけばよいです。 そして、本当にm-chakoさんのご主人に不利であると考えられる場合には、その時こそ、弁護士をお願いすれば良いと思われます。
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- cmoc
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ご返事読みました。 まだなおいくつかの疑問が残ります。そして、読めば読み返すほど どうとも解釈できるような気さえしてきました。手もとにも適当な資料が なく、すぐには結論も出ません。 しかし、「遺言書の停止条件」が裁判所に認められれば、支払い義務が あることになります。 許容範囲であれば、弁護士に示談してもらうことも選択肢のひとつでしょう。 そこで、ここではごく一般的と思われることを述べることにして おきますので、細かいことは弁護士に確認してください。 1 自筆証書は民法に細かい規定(内容ではなく作成方法に関して)が あるのですが、それを満たしているのでしょうか? そうでなければ 公正証書にしてないのもご主人にとって幸いで、錯誤などを主張 できるでしょう。 2 配偶者は常に順位第一位の相続人ですから、通常、相続分のみを 遺言するだけでたり、遺贈とか死因贈与は必要ありません。したがって、 そういう文言がないかぎり、推定もされないと思われます。 3 弁護士からの内容証明書(ですよね)には死因贈与という言葉は なかったと思われますが、このことからも死因贈与ではないと 思われます。 4 家庭裁判所の判断ですが、家庭裁判所は家事、身分に関する事を主に 扱い、債務履行請求については簡易裁判所、地方裁判所の管轄です。 また、正当な理由があっても請求の仕方によっては、門前払いになる ことはありえます。ここのところも文面からはよくわからないのです。 5 元妻は、遺言書作成にあたって専門家の指導を受けていると思われ、 用意周到なところがあります。 ざっとこんなところですが、軽々しく結論を出せないことはおわかりだろうと 思います。争点は、「遺言書の停止条件」が有効か否か、ということです。
お礼
何度もありがとうございます。 第九百八十五条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。 と言う大前提が、「遺言書の停止条件」とどうかかわるのか、弁護士が書いてきた停止条件の意味と、民法の条文の中にある意味が違うような気がしていたのですが お陰様で、ぼやけていた輪郭がだんだんはっきりしてきたような気がします。
- shoyosi
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もとの遺言書というものが、死因贈与である可能性があります。遺言(遺贈)であれば、本人の都合で何時でも、改廃できますが、死因贈与でありますと、契約ですので、変更するには当事者の承諾が要りますし、仮登記もできます。弁護士はこの契約の違約による損害賠償の請求だと思われます。結局、もとの遺言と思っているものが死因贈与にあたるかどうかの判断です。なお、死因贈与契約の取消をすることがやむを得ないと認められる特段の事情がない限り、自由な取消を認めるべきではないとの最高裁の判例もあります。先妻の印鑑があるかどうかがどちらであるかの判断基準になります。
お礼
ありがとうございました。 勉強になりました。 夫が遺言書の自筆証書としての(内容的におかしな文章ですが、)手順を踏んで作成したそうです。 家裁もその文章を見ての判断だったと思うのですが、今回の弁護士からの手紙は何か抜け道があるのかと、不安です。
- cmoc
- ベストアンサー率40% (2/5)
一部訂正します。 遺言に停止条件をつけることは可能で(民法985条第2項)、 遺言は条件が成就したときから効力を生ずる、と規定されています。 昔のことで、記憶があいまいになっていました。生前に成就した場合と 死後に成就した場合とがありまして、本件の場合は、「相続者が 生存中に処分した場合」とは、相続発生後のことと解釈することは できます。 もう少し調べてみますので、ここのところは保留としておいてください。 ただ、遺言はいつでも取り消すことが可能ですので、新たに公正証書に よる遺言書を作成するなどの対策をとるのがいいでしょう。
補足
No2で補足させていただきました。 専門家のご意見で心強く思っています。 宜しくお願いいたします。
- cmoc
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遺言書は公正証書だったのでしょうか。そうでなければどのような形式を していたのか。 家庭裁判所に判断を仰ごうとしたということは、具体的にどのような 申し立てをしたのでしょうか。 「相続者が生存中に」の ”相続者”とは、夫のことでしょうか、? こう解釈しないとつじつまがあわないようですが、もしそうなら ”被相続人” が正しい用語で、しかも、遺言書とは死後のことのはず ですが、これは生存中のことになり、遺言書とは言えなくなります。 「遺言書の停止条件」とは、これは通常成立しないはずだけど、弁護士が そんなことを言うとは考えにくいので、ここもどこかにかんちがいがあるの ではなかろうかと。 つまり、ご質問は、どうにも解釈に苦しみます。 問題は、遺言書だったのか、あるいは生前贈与の約束だったのか、 という問題になるのではないかと推測しますが、私の最初の質問に ご返答ください。
補足
ありがとうございます。 裁判所には、先妻の方から「遺言書の履行の要求」と申し立てでした。(平成10年に、自宅の売却した直後) 遺言書は自筆証書です。生前贈与の約束ではありません。先妻の強制により書いたようです。1千万円の財産分与では足りないと離婚に応じず、「家を売れ」と迫られたとのこと。先妻との婚姻後の財産は建物のみで、離婚の話し合いの際法律相談に相談したところ500万円でも十分との話だったそうです。夫は、子供の迷惑になるような行動はして欲しくないと、土地を担保に銀行から借り入れをして支払ったそうです。 相続人とは先妻のことです。つまり「先妻が生存中に、夫が家を売却した場合、夫が支払う」と言う意味ですが、説明が悪くて申し訳ありません。 私も夫から話を聞いた時は、裁判所の見解もありこういう変な遺言書自体が無効ではないかと思っていましたが、今回法律家であるはずの弁護士から配達証明で「遺言の停止条件云々」という先ほどの内容の手紙が郵送されてきたので、法律的に何かあるのかと、今回ご相談した次第です。 夫は、何を言い出すかわからないような先妻だからと、一応4年前に自筆証書で、これまでの遺言書はすべて無効という意味の遺言書を書いたと言っております。
タイトルの件で言うと、遺言は遺言者の死亡の時から効力を生じるはず(民法985条)で、死亡していない状態で受遺者に権利があるの? と私は疑問に思います。 それは間違いなく「遺言」なんですよね。 素人の意見なので、専門家のご回答をおまちください。
お礼
ありがとうございました。 夫は、遺言状と書いて作成し、封筒に入れて封筒にも遺言状と書いたそうです。 一応自筆証書としての段取りは踏んで作成したそうです。 法律に詳しい弁護士からのお手紙で困惑してます。
お礼
拝読しながら、大きく頷いてしまいました。 相手が法律に詳しい弁護士なので、何かあるのかととても不安でした。 作成してから10年以上になるという遺言書だけに、「不利なものが出てきたような場合に...」とは、大変参考になる力強いご助言だと、近々弁護士に会う夫の準備が99パーセント整った感じがします。大いに内助の功を発揮させていただきます。 ありがとうございました。