現在「景気が回復している」と言われているのは、小泉の当初の経済政策が貫徹されたからではなく、政権が彼の改革路線を反故にし路線転換したからです。
彼は就任当時どんなことを言ってましたかね。確か「構造改革なくして景気回復なし!」みたいな勇ましいことをブチあげていたんではなかったっけ。極めつけは青木建設が潰れたとき「これで構造改革の成果があがってきた」とニヤつきながらつぶやいたこと。けっこうな数の失業者が出たことに対して何の感想もないらしい。このセリフの通り、小泉の改革の主眼である緊縮財政・不良債権処理・構造改革が進むと、企業倒産が増えて失業者が大量発生するというのは自明の理で、だからこそ平均株価も7,000円台へ暴落したのです。
しかし、潰れかけたりそな銀行を国が救済したあたりから様相が変わってきた。「潰れるべきところは潰れて良い」といった徹底した自己責任主義からすればりそな銀行も例外ではなかったはずです。ところがこの救済措置により「政府は銀行を安易に潰したりはしない」といった安心感が市場に蔓延し、株式市場が底を打って上昇に転じたことは御承知の通り。さらに、政府短期証券(FB)を発行し資金(円資金)を調達、こうして得た莫大な額の資金を為替市場に投入して輸出関連大企業のために「目先の円安」を演出しました。これは広義の財政出動です。少なくとも小泉の改革路線の主眼である緊縮財政や「小さな政府」とは相容れないものであることは確か。
要するに、一般庶民には「緊縮だぁ、自己責任だぁ」とガマンを押しつける一方、大企業などにはしっかり財政でフォローしている。だから国民の多くは「ガマンしたから景気が良くなったのだ」と勘違いしている。一般ピープルを含めた幅広い層にカネが回るように財政政策を打てば、景気回復は本物になっていたでしょうな。
関係ないけど、我々が国の経済政策を考えるとき、「ミクロ」と「マクロ」の違いを認識するのは必須事項ですね。もちろん、国がやるべきなのは「マクロ」の政策です。
お礼
回答ありがとうございます。 小泉首相のすごいところは、「改革者を演じながら実際はほとんど改革せず、それでいながら改革者のイメージを崩さなかった」ことです。歴史上、クラッスス兄弟をはじめ改革者っていうのは失脚するのが運命なんですよね。やっぱり、改革するとそれで失業する人が大勢出ますし財産を失くす人やいわゆる「産みの苦しみ」があるのですけれど、そこで保守反動が起きて失脚するんですよね。そういう意味では本当の改革者は田中長野県前知事だったのかもしれません(脱ダム宣言は保守反動で撤廃されましたし)。 最近の企業は「空前の黒字」などを計上しながら一体何にその資金を運用しているんでしょうね。従業員への給与どころか研究開発費にも回していないようです。日産のゴーン改革のゆきづまりの一因に開発費に予算が回ってこないことがあるとか。社内の錬金術師たちが「資産運用」とかなんとかいう名目でマネーゲームに興じている企業も多いのかもしれませんね。