逆の話から入るのですが、両親から子供が生まれるわけですが、両親から子供へはDNA(遺伝子はDNAという物質で作られていて、DNAの1人分の全体をゲノムと言います)しか受け渡せないというのが、科学の主流の考え方です。もうひとつは、ゲノムは変化しないということになっています。
例えば、親がスポーツに励んだから、といって赤ちゃんが親の筋肉を直接もらうわけではなく、ゲノムの情報をもとにもう一度自分で作るわけです。それから、その親のゲノムがスポーツ向きにかわってそれが子供に受け継がれるということもありません。親が生まれたときのゲノムがそのまま子供にも受け継がれるわけです。(ただし、これらの説には反対する人もいます)
さて、ゲノムは変わらない、親はゲノムしか子供に渡せない(生物学的な話です。教育や遺産なんかは含みません)、という仮説をとりあえず信じることにします。すると、例えば、もしアンモニアがひどい匂いだということを誰も教えていないのに、また自分がアンモニアをかいだせいでひどい目にあったことがない、つまり学習してもいないのに、ちょっとアンモニアをかいだだけでなにかを察知して逃げたとすると、その原因は受け継がれたゲノムにあると言わざるおえません。と、いうことで、結局ゲノム(遺伝子)のせいにするしかない(その他に有効な科学的な説明が存在しない)わけです。
ただし、どの遺伝子がどのように働くと何が起こるのかというメカニズムは、まだまだ不明な点が多く、説明は全くつかないといっても良い状態です。世界で行われている遺伝子の研究というのは、いろいろな現象にどの遺伝子が関わっているかをつきとめたり、ある遺伝子が生物のなかで何をしているのか、を調べているわけです。
最後に、これらはあくまで生物学的な話であって、日常生活の数々の行動は、学習によるものも当然多いわけで、したがって人のさまざまなことは遺伝子だけで決定されているのではなくて、実際には環境も大きな影響を与えているわけです。全てが遺伝子だけで決定されるという風には誤解しないで下さい。
お礼
> 学習してもいないのに、ちょっとアンモニアをかいだだけでなにかを察知して逃げたとすると、その原因は受け継がれたゲノムにあると言わざるおえません。と、いうことで、結局ゲノム(遺伝子)のせいにするしかない やはりそういうことになってしまうのですか、、、 心理学では生まれながらに快感(あるいは不快)と感じるものを生得的好子というもので説明するのですが、ある本には「遺伝子に組み込まれている」と書いてあったので、そんな遺伝子が見つかっていたかと疑問に思ったというわけです。 確かに否定する根拠はありませんが、かといって遺伝子で説明をつけてしまおうというのは、、、何だか複雑な気分です。