靖国問題は、単に特定の宗教を国が応援するという問題だけでなく、太平洋戦争を侵略戦争と認めるかどうか、という問題に関わってきています。
なぜなら、靖国神社には、「遊就館」という軍事博物館があり、軍歌のBGMの流れる中、「大東亜戦争」は正義の戦争だったという展示やビデオ放映を行っているからです。
太平洋戦争という名称は、米国との戦争のイメージが強いと思いますが、「日中15年戦争」の一部が太平洋戦争という見方も重要であると思います。
日本軍の侵略を受け、中国東北部と朝鮮半島に「満州」という日本の従属国を打ち立てられ、日本語や日本名を強制され、非戦闘員を含む多くの仲間を殺された中国や韓国・北朝鮮の人たちが日本軍をうらむのは当然です。
1995年に当時の村山首相(社会党)は、「戦後50周年の終戦記念日にあたって」という文書(いわゆる村山談話)で、不十分ではありますが、中国に一定の謝罪を示しました。
ところが、その後の歴代総理の言動は、村山談話に逆行するようなものばかりです。
これには、アジア諸国ばかりでなく、日本の情勢に詳しい欧米のジャーナリストからも批判が高まっています。
中国が国策で日本を仮想敵国にするという意見をよく見ますが、それでは、「靖国第一主義」が朋友のブッシュ氏にまで批判されたということが説明できません。
安部さん自身は、A級戦犯の孫ということもあり、靖国参拝を総理大臣の肩書きで行いたいのでしょう。
それどころか、憲法を変えて、9条をなくし、米軍とともに海外で先制攻撃が出来る軍隊を持ちたいのだと思います。
少なくないマスメディアも動員して、「中国や北朝鮮が攻撃してくる前にこちらから攻撃できる自衛隊にしよう」という世論に持っていきたいのでしょう。
平和憲法を持つ日本が、アメリカの次に好戦的だとは悪いジョークだと思うのですが。